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銀行融資で設定される金利は、わずかに上がっただけでも、時に経営を圧迫するほどの影響力があるものです。
そういったことから、少しでも低金利で融資を受けたいと考える経営者の方は多いでしょう。
そこでここでは、法人や個人事業主の方向けに、銀行融資においての金利相場に関する以下の疑問にわかりやすく答えていきます。
- 銀行融資で扱う金利の種類は?
- 銀行融資ではどうやって金利が決まるの?
- 金利の相場はどの程度?
- 融資審査の信用格付けってなに?
- 1%台の金利を狙うためにすべきことは?
これから紹介していくことをしっかりと把握し、低金利での銀行融資を目指していきましょう。
銀行融資の金利の種類とは
まず銀行融資の金利相場を把握する前に、銀行の金融商品で適用される金利の種類について把握しておきましょう。
金利の種類には大きく「固定金利」と「変動金利」の2種類があり、どういった金融商品に適用されることが多いのかについても、ここでは触れていきます。
では早速、順にみていきましょう。
①固定金利|銀行融資の金利の種類
固定金利とは、完済までの期間において、一定の金利で変わることがないものをいいます。
この固定金利は市場金利に左右されないため、銀行側が利益を追求する目的で、後に紹介する変動金利よりも高めに設定されていることが大半です。
この固定金利を適用している銀行融資の種類では、「制度融資」が挙げられます。
■ 制度融資とは
制度融資とは、
- 銀行
- 信用保証協会
- 地方自治体
の3者が連携して支援する融資のことをいい、信用力の劣る企業でも利用しやすい銀行融資となります。
②変動金利|銀行融資の金利の種類
変動金利とは、完済までの期間において、一定の期間ごとに金利を見直すものをいいます。
この変動金利を適用している銀行融資の種類では、銀行と直接取引をする「プロパー融資」が挙げられるでしょう。
またプロパー融資では、間に信用保証協会などを挟まないため、信用力が高めの企業が向いている銀行融資となります。
銀行融資の金利の決め方と相場について
銀行融資では、各法人や各個人事業主によっても設定される金利は異なるものです。
では、金利は一体どういった決め方で設定されているのでしょうか。
また銀行融資の種類によって、金利相場に違いはあるのでしょうか。ここでは、それらの疑問について順に解消していきます。では早速みていきましょう。
金利の決め方は2種類
銀行融資での金利の決め方は、
- 「信用格付けによるもの」
- 「融資条件の合致によるもの」
の2種類があります。
またこれらは、銀行融資の種類によって、どちらの決め方を適用するかは異なるものです。
ここでは、その点も踏まえ紹介していきます。
①信用格付けにより決定|金利の決め方
まず信用格付けを適用しているのは、「プロパー融資」と信用保証協会を間に挟む「保証付き融資」となります。
信用格付けとは、銀行が企業の経営状態や信用力などをスコアリングしていき、どのランクに属するのかを判断したものです。
これは、企業の成績表のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
この信用格付けでは、上位のランクに属するほど、低金利で融資を受けることができます。
また、どういった内容で信用格付けをするのかについては、後に紹介しておきますので、順に読み進めていきましょう。
②定められた融資条件により決定|金利の決め方
定められた融資条件によって金利を決定するのは、先に紹介した制度融資となります。
この金利の決め方では、制度ごとに融資条件を設けており、それらの条件を満たしていれば、あらかじめ設定されている金利が適用されます。
これは同じ制度を利用していれば、業績に関係なく、同じ金利になるということを意味します。
銀行融資の金利相場とは
金利の大まかな決め方を把握したところで、次は種類ごとに銀行融資の金利相場を見ていきましょう。
具体的な目安については、以下の表にまとめておきますので、目を通してみてください。
プロパー融資 | 1~3%程度 |
保証付き融資 | 3~5%程度(保証料を含む) |
制度融資 | 2~4%程度(保証料を含む) |
上表の通り、信用保証協会を間に挟まないプロパー融資では保証料の必要がないため、金利が全体的に低い傾向にあります。
ただしそんなプロパー融資であっても、信用格付けの結果によっては、制度融資で設定されている金利よりも高くなることもありますので、必ずプロパー融資の方が低金利であるということでもありません。
銀行融資の信用格付け(企業審査)は何で決まるのか
プロパー融資や保証付き融資では、信用格付けと呼ばれる企業審査の結果により、金利の8割は決定するようなものです。
では、この信用格付けでは一体どういった点を審査し、企業をランク分けしていくのでしょうか。ここでは、その詳細について順に触れていきます。
信用格付けの6つの区分
まずは銀行融資での企業審査の結果、企業が属するランクの区分について把握していきましょう。
大まかなランクは、下表のような6つの区分に分けることができます。
正常先 | 経営・財務とも健全な企業 |
要注意先 | 財務状態が不安定で、今後注意を要する企業 |
要管理先 | 3ヶ月以上の長期延滞が発生しているなど、財務状態に問題を抱えている企業 |
破綻懸念先 | 財務状態が悪化しており、破綻の可能性が高い企業 |
実質破綻先 | 再建の見通しが立たず、破綻目前の企業 |
破綻先 | 破綻状態にある企業 |
上表でプロパー融資が可能なランクは、「正常先」のみであり、「要注意先」から下のランクでは、信用保証協会の保証付き融資を検討する必要があるでしょう。
また大抵の場合、各ランク内でさらに細かい区分が存在します。
それらの細かな区分は、各銀行により異なりますが、ほとんどの場合で正常先ランク内の最下位区分では、金利が3%程度となっています。
そのため、この区分以下に属する企業であれば、制度融資の方が低金利となることもあるでしょう。
企業審査で信用格付け
銀行融資で必要な信用格付けは企業審査の結果をもとに行われます。また企業審査では、「定量評価」と「定性評価」とで分けて企業を審査していき、その比重は定量評価が8割、定性評価が2割となっています。
では、これら2つの評価では、それぞれ何を見て審査していくのかについて、ここでは紹介していきます。
①定量評価|銀行融資の企業審査
まず定量評価は、直近の決算書の情報を専用システムに登録し、その情報をもとに自動で財務状態などをスコアリングしていくのが特徴です。
この評価基準は、銀行ごとに異なることはもちろん、外部に漏れることのないよう厳重に管理されています。
そのため、それらを細かく知ることはできませんが、大まかな基準としては、以下の表のような項目となるでしょう。
またここでは、あくまで一般的な基準の目安を記載しておきます。
判断項目 | 目安のライン | |
安全性 | 流動比率は高いか
※流動資産÷流動負債 |
100%以上が健全な返済が可能と判断 |
自己資本比率は高いか
※株主資本÷総資本 |
一般的に40%以上で安定と判断 | |
ギアリング比率は低いか
※他人資本÷自己資本 |
一般的に100%以下で安全と判断 | |
収益性 | 売上高経常利益率は高いか
※経常利益÷売上高 |
3%以上:良好と判断
0%以下:問題ありと判断 |
総資産経常利益率は高いか
※経常利益÷総資本 |
9%以上:良好と判断
6%未満:問題ありと判断 |
|
成長性 | 経常利益増加率は高いか
※当期経常利益÷前期経常利益 |
継続的に増加をしていれば、将来性が高いと判断 |
返済能力 | 債務償還年数は短期か
※(有利子負債-運転資金)÷(経常利益+減価償却費-税金等) |
一般的に10年以内であれば、良好と判断 |
②定性評価|銀行融資の企業審査
定量評価を終えると、決算書の実態を把握すべく定性評価が行われます。
また定性評価では、決算書では把握しきれない要素についても評価していきます。
たとえば、以下のような要素がそれにあたります。
- 事業の強みや将来性
- 過去の返済履歴
- 経営計画の策定能力
- リスク管理などの財務能力
- 経営者自身の資質
このように銀行融資の信用格付けでは、あらゆる方向から企業を判断していきます。
そのため、信用格付けを行う銀行融資を検討している場合では、このような場面で悪い印象を与えないように、普段から決算対策や経営計画などには力を入れておく必要があるでしょう。
その他に銀行融資の金利に影響する要素とは
銀行融資での金利の決まり方で、大きな影響を与えるものについては、すでに紹介してきた通りです。
ここではその他に、金利に影響する要素には何があるのかについて紹介していきます。
具体的には以下の4つが挙げられます。
- 銀行の種類
- 融資希望額
- 返済期間
- 担保の有無
では順に解説していきます
①銀行の種類|銀行融資の金利に影響する要素
銀行融資での金利は、銀行の規模によっても異なってくるものです。
たとえば、以下のリストでは上位(規模が大きい銀行)ほど金利が低くなる傾向にあります。
これは利用者の多さに比例して、銀行側は利益確保ができるためといえるでしょう。
上限金利でいえば、5%程度の開きがあることもあります。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫・信用組合
②融資希望額|銀行融資の金利に影響する要素
基本的には、融資希望額は高額であるほど低金利となる傾向にあります。
ただしこれは、銀行との信頼関係がある程度できあがっていることが前提となります。
そのため、その銀行と初めての取引となる場合では、融資希望額を高く伝えたとしても、低金利になることは稀でしょう。
何度か取引をし、銀行との信頼関係が構築されれば、この方法で低い金利を狙うのも手となります。
③返済期間|銀行融資の金利に影響する要素
返済期間は、長期になればなるほど金利は高くなる傾向にあります。
金利だけを考えれば、返済期間は極力短期にするべきではありますが、実際には経営状態によって判断するべきでしょう。
短期返済をするということは、1回に返済する額が上がるということです。
金利が安くなるからと無理はせず、経営を圧迫しない範囲内で最短の完済ができるよう返済計画は入念に立てるようにしましょう。
④担保の有無|銀行融資の金利に影響する要素
銀行融資では担保を用意することで、低金利になるだけでなく、融資限度額を増やすことも可能です。
そもそも、銀行融資で信用力に劣る企業の金利が高くなるのは、貸し倒れリスクが高いことにあります。
そのため担保を用意しておけば、仮に融資先が返済不能となった際も、銀行側は担保としたものを売却して資金回収ができるため、金利を高くする必要がなくなるわけです。
ただし、返済不能となれば、担保とした資産は失うこととなりますので、その点は理解したうえで担保は用意すべきでしょう。
1%台を狙う!銀行融資の金利を下げるコツとは
銀行融資では、あるコツをしっかりと抑えておくことで、金利を下げることが可能です。
ここでは、そのコツについて7つほど紹介しておきます。
具体的には次の通りです。
- 申込み時期は銀行の決算前に合わせる
- 相見積もりをとり銀行同士を競わせる
- 事業の将来性の裏付けを明確に
- 返済実績を積む
- 銀行との関係を築く
- 改ざんのむずかしい会計ソフトを利用する
- 作成した決算書や帳簿の証明をしてもらう
実際に銀行融資を利用する際は、ぜひ参考にしてみてください。では早速順にみていきましょう。
金利を下げるコツ①:申込み時期は銀行の決算前に合わせる
特に融資を急いでいないのであれば、銀行融資の申込みは銀行の決算前に合わせるのが得策です。
その理由も、銀行では融資にノルマがあり、それを達成するために決算前では、融資に積極的になる傾向があるためです。
ただしその際は、融資の申し込み者から金利の引き下げ交渉はするようにしましょう。
銀行の担当者側から提案されることは稀です。
金利を下げるコツ②:相見積もりをとり銀行同士を競わせる
銀行融資を利用するのであれば、必ず複数の銀行に見積もりを取るようにし、その結果を銀行の担当者に伝えるようにしましょう。
銀行側にとって、その企業が取引したい相手であれば、他行よりも金利を引き下げてくれる可能性も各段に上がります。
ただし、頻繁に引き下げ交渉の話を持ち出すことは、担当者に対して悪い印象を与え兼ねないため、ほどほどにすることも大切です。
金利を下げるコツ③:事業の将来性の裏付けを明確に
いくら夢のある事業計画であったとしても、その裏付けがなければ、銀行側は安心して融資を実行できません。
どういった成長戦略を立て、その数字はどのようにして導き出されたのかは、しっかりと説明できるようにしましょう。
その内容が現実的で実現性の高いものであれば、それが信用や評価にも繋がり、金利の引き下げもしやすくなります。
金利を下げるコツ④:返済実績を積む
銀行融資は、信用の上に成り立つものです。
過去に一度も滞納することがなく、きっちりと期日通りに返済してきた実績があれば、銀行側からの印象は良くなるものです。
それがたとえ、小口の融資だった場合でも同様でしょう。
返済実績が着実に積まれていけば、自ずと金利や融資額についても有利になっていきます。
将来を見据えて、長期目線で対策をしていくようにしましょう。
金利を下げるコツ⑤:銀行との関係を築く
銀行融資で金利の引き下げ交渉をするのであれば、信用度を上げなければ、銀行側は聞く耳を持ってはくれません。
その信用度を上げるためのひとつの策として、融資を受けたい銀行を頻繁に利用し、関係を築いていく方法があります。
たとえば、対象の銀行に対して
- 口座を新たに開設し事業資金を移しておく
- 社会保険などの支払いをその銀行で行うようにする
などしてもいいでしょう。
これらを行うことで、銀行側は企業の財務状態を把握しやすくなり、企業側も現状を隠すことなく丁寧に説明することで、銀行側からの信用も着実に積み重なっていきます。
地道なことかもしれませんが、これは金利の引き下げ交渉のためだけではなく、いざという時に銀行が味方となってくれるかにも影響しますので、時間をかけてでも銀行との関係は築いていくようにしましょう。
金利を下げるコツ⑥:改ざんのむずかしい会計ソフトを利用する
銀行側の金利が高くなるのは、先にお伝えしている通り、信用度が低いために貸し倒れリスクを高く見積もっているためです。
その貸し倒れリスクを引き下げるためには、会計まわりを適当にはせず、しっかりと管理しなくてはなりません。
そのため、帳簿の改ざんができないような会計ソフトを利用することは、金利を引き下げるうえでは必須となるでしょう。
近年では、クラウド会計サービスなども多く存在し、また月額料金についても無料で利用できるなど、ひと昔前よりだいぶハードルは下がりました。
こういった会計ソフトを活用しながら、漏れがないように日々の管理を徹底していくことが重要なポイントとなります。
金利を下げるコツ⑦:作成した決算書や帳簿の証明をしてもらう
自身が作成した決算書や帳簿については、その信頼性を高めるために、専門家に確認してもらいましょう。
ここでいう専門家とは、会計事務所となります。
会計事務所で決算書や帳簿を確認してもらうことで、その内容に、
- 不備がないこと
- 数字が正確であること
を証明してくれます。
その際には、「記帳適時性証明書」や「書面添付制度」を発行してもらえます。
こういった書類を発行してもらうことで、適正な申告を行っているとみなされ、結果として企業の評価も上がりやすくなるのです。
ただし、内容に不一致が見つかった場合は、証明書の発行は当然されません。
銀行融資の金利相場を把握して低金利を目指そう
ここまでで法人や個人事業主の方向けに、銀行融資の金利の相場や決まり方、また金利を下げるコツについても紹介してきました。
金利はわずかに上がっただけでも、時には経営を圧迫するほどの影響力があるものです。
そういったことを防ぐためにも、銀行融資を検討しているのであれば、ここで紹介してきたことは再度確認をし、可能な限り低金利で銀行融資を利用できるように対策をしていきましょう。
金利相場を把握していれば、金利の引き下げ交渉の材料にもなります。