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自分がオフィスを移ることは何度か経験しても、オフィス自体の移転は、そう何度も経験することではありません。
そのため、いざオフィスを移転しようとなったときに具体的な費用を想像しにくいのではないでしょうか。
しかし、オフィスの移転費用はオフィスの広さや従業員の人数などから、ある程度の概算は可能です。
そこで今回は、オフィス移転にかかる費用や相場、移転コスト削減の秘訣をご紹介します。
オフィス移転にかかる費用は大きく分けて3つ
オフィス移転にかかる費用は大きく分けて下記の3つ。
- 旧オフィスの退去費用
- 新オフィスの入居費用
- その他の必要な費用
これから、順番に各費用の概要についてご紹介します。
詳しい内訳については、次項より順に紹介していきますので、併せて確認していきましょう!
旧オフィスの退去費用
旧オフィスの退去費用は、移転前のオフィスの撤退にかかる費用です。
たとえば、明け渡す前に入居前の状態に戻す原状回復作業にかかる費用や、新オフィスには持って行かない不用品の処分代などが含まれます。
新オフィスの入居費用
新オフィスの入居費用は、新オフィスの準備にかかる費用です。
たとえば、LANや電気の契約や工事にかかる費用や、旧オフィス処分したものの代わりになるものの購入費などが含まれます。
その他の必要な費用
その他の必要な費用は、上記以外の費用です。
たとえば、引っ越し業者への依頼料や、名刺や封筒などの印刷物の住所の更新にかかる費用などが含まれます。
旧オフィス退去費用の内訳・相場
ここからは旧オフィス退去費用の内訳・相場をご紹介します。
これらをもとに、ある程度の概算をはじき出してみましょう!
では進めていきます。
原状回復費用:約2~10万円/坪
現在契約しているオフィス(以下:旧オフィス)を解約するとき、どの物件でも原状回復義務が生じます。
原状回復義務とは、契約(入居)したときと同じ状態に戻す義務です。
工事費用の負担は契約にもよりますが、基本的に借主(企業)が負担し、貸主(管理人など)が負担する場合はレアケースといえます。
そんな原状回復に向けた工事の費用は、10~50坪のオフィスで坪単価2~5万円、それより広ければ坪単価5~10万円が相場。
坪単価はオフィスが広いほど高くなる傾向あり
あくまで相場なので、業者に見積もりを依頼しないと実際の単価は分かりませんが、オフィスが広いほど坪単価は高くなる傾向にあります。
オフィスによっては、契約書で原状回復工事を請け負う業者が指定されている場合もあるので、必ず契約書を確認しましょう。
不用品廃棄費用:約10万円/トラック
続いて、不用品廃棄費用の相場は、トラック1台で約10万円。
2トントラックなら相場より安く、4トントラックなら相場より高めになります。
4トントラックでも、15万円ほどが相場です。
粗大ごみのルールなどは自治体の情報を確認
まとめて不用品を回収してもらうこともあると思いますが、少しずつオフィスを片付ける場合は、粗大ごみに不用品を出すこともあるでしょう。
その場合は、ルールが自治体によって異なるので、旧オフィスがある自治体の情報を確認してください。
明け渡しまでの旧オフィス家賃:地域やフロア数による
旧オフィスの引っ越しから明け渡しまでには、タイムラグが生じます。
新オフィスの準備と並行して原状回復工事などが行われるため、新オフィスでの業務開始から少しの間は旧オフィスの家賃も発生します。
日割り計算が一般的
旧オフィスの家賃相場は地域やフロア数などにもよるので、一概には言えませんが、基本的に日割り計算です。
定期券などの都合で新オフィスでの業務開始は月初めになることが多いので、旧オフィスは月の半ばに解約することがほとんど。
そのため、計算式は、
家賃 × 解約日 ÷ 30(または31)
が旧オフィスの最終月の家賃となります。
新オフィス入居費用の内訳・相場
次は、新オフィス入居費用の内訳・相場をご紹介します。
内装工事費用:約20万円/坪
従業員が少なければデスクなどの配置だけで済みますが、会議室があったりエントランスなどを設置したりする場合は、追加で内装工事をしなくてはいけません。
また、電力会社との契約やLANの設定工事なども、内装工事費用に含まれます。
内装工事費用の相場は、坪単価約20万円です。
どんなオフィスにするかによって費用は大きく異なる
坪単価約20万円とした内装工事費用ですが、実際の価格はどんなオフィスにするかで大きく異なります。
たとえば極力費用を抑えたいのであれば、最低限の工事だけして坪単価10万円。
逆に、採用で新オフィスの環境をアピールするためのおしゃれなエントランスなど、こだわりがあれば坪単価30万円になります。
内装工事費用は、企業によって大きく差が出るところといえるでしょう。
新オフィスの入居費用:立地や広さによる
新オフィスの入居費用の相場も、立地や広さによって変わるので、一概には言えません。
しかし、入居時には初期費用が必要になるため、最もお金がかかるところです。
自社ビルの場合は前提が大きく変わるため、今回は多くのオフィスが該当するであろう、賃貸オフィスについてご紹介します。
敷金:家賃の6~12ヶ月分(事業用物件の場合)
敷金は、家賃の滞納や、借主の過失による器物損壊などの担保として支払う費用です。
問題がなければ退去時に返金され、問題があれば滞納した家賃や弁償代を差し引いた額が返金されます。
一般的な住居物件で敷金を支払う場合に比べ、オフィスの敷金は半年から一年分の家賃と、かなり高額な傾向に。
礼金:基本的に不要(事業用物件の場合)
礼金は、文字のとおり物件を契約した際のお礼として、オーナーに支払われます。
一般的な居住物件では、礼金を支払うことが一般的ですが、オフィスで礼金を支払うことは多くありません。
支払う場合は、家賃の1~2ヶ月分が相場です。
礼金は物件を契約した際、賃借人がその物件のオーナーに対してお礼という意味で支払うお金のことで、費用の目安は賃料の1ヶ月~2ヶ月分です。
前家賃・前共益費:地域やフロア数による
前家賃・前共益費は、契約時に入居開始月の家賃を支払うこと。
たとえば、新年度の4月から入居する場合、4月の家賃を契約時や3月などに前もって支払います。
しかし、大半の場合は月初めから新オフィスで作業できるように、前の月から入居してデスクなどを運んだり内装工事をしたりするでしょう。
このように月の途中から入居する場合は、日割り計算で初月の家賃を計算します。
月の途中から入居するときは、初月と翌月分の家賃を同時に支払うのが一般的。
共益費も前共益費として、入居前に支払います。
火災保険料:保険内容や補償内容による
火災保険料は、オフィスで火災が発生したときに備えた損害賠償保険。
基本的に契約時に加入を求められます。
どの保険に加入するかや、補償内容によって保険料は異なるため、相場は一概に言えません。
ただし、管理人などから指定された保険に加入しなくてはいけない場合もあるので、必ず確認しましょう。
仲介手数料:最大家賃の1ヶ月分
仲介手数料は、オフィスの賃貸契約成立時に、不動産業者に支払う手数料。
法律で家賃の1ヶ月分を上限とすることが定められているので、家賃の1ヶ月分を見込んでおくといいでしょう。
その他のオフィス移転に必要な費用の内訳・相場
最後に、その他の必要な費用の内訳・相場をご紹介します。
引っ越し費用:約2~5万円/作業員
まずは、引っ越し費用です。
旧オフィスから新オフィスの距離や、運搬してもらう荷物の量にもよりますが、作業員ひとりにつき2~5万円程度が一般的。
トラックはやはり1台につき10万円前後かかり、大掛かりで複数日にまたがる引っ越しになれば、それだけ値段は高騰します。
オフィスの移転が決まったら早めに見積もり依頼を出す
オフィスの移転が決まったら、できるだけ早めに業者に見積依頼を出しましょう。
そうすれば、引っ越し準備にかかる期間や費用の目処が立ち、計画的に引っ越せるからです。
また、早めに予約をすれば、割引が適用される業者もあります。
什器の新規購入:約10万円/社員
新オフィスで使うものを新調する場合、そこにも費用が発生します。
相場は社員ひとりにつき約10万円です。
人員増加に向けた予備も調達しておくべし
もしスタートアップ企業などで将来的な人員増加を予定している場合、予備もいくつか新調しておくといいでしょう。
新入社員が入社してから準備するのでは間に合わず、同じ商品が売っていないとオフィスの見た目も悪くなるからです。
印刷物の刷新・取引先への報告:約1~2万円/社員】
オフィスが移転すれば、当然住所も変わります。
取引先などに住所が変わった旨を伝える挨拶状を出したり、会社案内のパンフレットや名刺などの印刷物を新しいオフィスのものに修正したりしなくてはいけません。
相場は、社員ひとりにつき1~2万円です。
就活ナビサイトなどの企業情報変更も忘れずに!
注意しないといけないのが、就活ナビサイトなど外部サイトの企業情報の変更です。
たとえば、ナビサイト側が「注目企業」としてあなたの企業を紹介した配布物をつくる場合、企業情報を変更しないと旧オフィスの情報で掲載されてしまう恐れがあります。
そうすると、修正依頼を出さねばならず、ナビサイト側にも迷惑がかかるでしょう。
それ以上に、就活生など配布物を受け取った求職者が被害を受けるので、必ず外部サイトの情報変更も忘れずに。
引っ越し業務の追加に伴う手当:約1~5万円/社員
引っ越しには多くの準備が必要です。
旧オフィスで荷物を段ボールにまとめたり、新オフィスでそれをほどいたり・・・。
原状回復工事や旧オフィスの明け渡しに、立ち会う方もいるでしょう。
立ち合いのために休日出勤が生じたり、荷造りに時間を取られて残業が増えたり、通常業務ではないものの人件費がかかります。
見落としがちな費用なので多めに見積もっておくとベター
こうしたオフィスの移転にかかる社内の人件費は、移転費用として計上するのを忘れがちなので、多めに見積もっておくとベター。
一件人件費と引っ越し費用は別に見えますが、引っ越しのせいで増えた人件費と通常業務によって増えた人件費を分けることで、オフィス移転の前後の月の経費を正常に把握できます。
登録免許税:3万円(管轄内)、6万円(管轄変更)
オフィスを移転すれば、住所変更などを各機関に届け出なくてはいけません。
そのなかで、法人登記の書き換えをするときに登録免許税が発生します。
登録免許税は、法務局の管轄が新旧オフィスで変わらなければ30,000円、新オフィスの管轄が旧オフィスの管轄と異なれば60,000円です。
たとえば、旧オフィスが東京都新宿区で新オフィスも新宿区なら、管轄法務局は東京法務局で一緒なので登録免許税は30,000円。
しかし、新オフィスが埼玉県さいたま市の場合、さいたま地方法務局が新オフィスの管轄になるので、登録免許税は60,000円になります。
登記書換を弁護士などに依頼すると約10~20万円追加で発生
当期の書換は自力でも可能ですが、弁護士などに依頼することも可能。
その場合、10~20万円が弁護士費用として発生するので、プロに任せるのであればその費用も勘定に入れましょう。
オフィス移転費用を削減する5つの秘訣
オフィスの移転には、かなりの費用がかかるのがお分かりいただけたと思います。
そこで、オフィス移転費用を削減する、5つの秘訣をご紹介しましょう。
廃棄するものを減らして新オフィスでも活用する
一番わかりやすいのは、廃棄する不用品を減らし、不用品廃棄費用を削減すること。
廃棄物を減らせば、その分引っ越しトラックに積む荷物は増えますが、什器の購入費を抑えられるのでトータルで見ても節約になります。
状態がいいものをリサイクルショップで買い取ってもらうのもあり
新オフィスの雰囲気に合わないなど、どうしても処分しなくてはいけないなら、リサイクルショップで買い取ってもらうのも手段のひとつ。
出費がかさむなかで収入を作れるので、トータルで引っ越し費用を抑えられます。
引っ越し業者の繁忙期を避けて移転する
オフィス移転は、新年度前に集中します。
行政に合わせて4月始まり・3月決算にしている企業が多いので、1~3月に最もオフィス移転が多いです。
また、年度末や新年度にバタバタしたくない企業は年始に合わせて移転するので、9~12月もそれなりにオフィス移転が増えます。
繁忙期になると料金が2倍かかることも
これらの時期は引っ越し業者の繁忙期と重なり、人件費もトラック費用も通常に比べて高騰します。
引っ越し費用をできるだけ抑え長ければ、繁忙期にかぶらない4~8月の移転を検討するといいでしょう。
プロに頼めるところはプロに頼む
特に従業員が少ない企業は、引っ越し業者に依頼せず、自分らで引っ越し作業を完遂させようとする傾向にあります。
それができればベストですが、かなりリスクを伴う作業です。
そのため、プロに頼めるところはプロに頼みましょう。
節約のつもりでやったことが追加料金を発生させることも
「リスクを伴う」がどういうことかというと、移転費用を抑えるために自分たちで引っ越し作業をしたのに、引っ越しの素人が見よう見まねでやったがために旧オフィスに新しい傷を作ってしまうことも。
そうすると、原状回復工事で今まで不要だった傷の回復費用が発生し、結果的に高くつくことも少なくありません。
固定費用を見直す
オフィスの移転は、電力会社や通信会社など、一度契約するとなかなか切り替えにくい固定費用を見直すチャンスです。
特にLANは配線工事が必要だったり、IPアドレスが変わったりするので業務に支障が出やすく、コストパフォーマンスが悪く感じてもなかなか切り替えられません。
オフィス移転をすると、どのみち最初からサーバーを構築する必要があるため、通信会社の乗り換えも気軽にできます。
移転時に費用はかかっても、長期的に見れば移転後の固定費が削減できる
移転時の乗換は、契約満了などでなければ解約料もかかりますが、長期的に見れば固定費用を削減可能。
固定費用が下がれば、解約費用は数ヶ月で元を取れることもあるので、長期的に考えましょう。
デスクやロッカーに入れていたものは一度持ち帰ってもらう
最後に、引っ越しトラックに積むものを減らす手段として、デスクやロッカーに入れていたものは持ち主に一度持ち帰ってもらいましょう。
従業員が少なければ一緒にトラックに積んでも大丈夫ですが、従業員が増えれば増えるほど、ひとり当たりのちょっとした荷物が最終的にトラック一台分になったりするからです。
従業員が多ければ多いほど経費削減に繋がる
逆にいえば、従業員が多ければ多いほど引っ越し費用の削減にも繋がります。
ただし、機密情報などは漏洩・紛失を防ぐためにも、企業側で預かってトラックに積みましょう。
費用だけじゃない!オフィス移転の失敗事例も把握しておこう
さて、ここまででオフィス移転にかかる費用について見てきました。
しかし移転で失敗しないために注目すべきは、費用だけではありません。
ここでは、オフィス移転でありがちな失敗事例を、3つほど挙げて紹介していきます。
失敗事例から学んで、自社の移転では成功できるように、配慮していきましょう!
では早速、進めていきます。
時間がない中で物件を選んでしまった
まずありがちな失敗事例は、時間がない中での物件選び。
業務の合間をぬって、物件を探すことが多いため、どうしても情報足らずのまま契約に踏み切ってしまうケースが後を絶ちません。
その結果、
といった不満が出てしまうわけです。
時間がない中での物件選びでは、
- 立地
- 賃料
- 広さ
- 築年数
- 雰囲気
など、基本情報ばかりに目がいきがちでしょう。
確かにこれも大切なことですが、従業員目線でも満足できるものを選ばなくてはなりません。
また、オフィスの設備やメンテナンスはどうなっているのかも、把握しておくべきでしょう。
具体的には、以下の点にも注目する必要があるということです。
- 従業員たちの通勤負担は増えないか
- お昼時にサッと立ち寄れるコンビニや飲食店はあるか
- 日当たりは良好か(電気代のコスト削減のため)
- 空調設備に問題はないか
- 免震などの地震対策は万全か
- その他災害への対策はどうか
- エントランスなどはキレイに保たれているのか
ちょっと挙げるだけでも、これだけの注目ポイントがあります。
経営者目線だけなく、従業員の目線にもなって、物件選びはしていくようにしましょう。
費用だけで引っ越し業者を選んでしまった
次によくある失敗は、コストをできるだけ抑えたいがために、引っ越し業者を「費用だけで選んでしまった」ケースです。
これで起こり得るのは、
などが挙げられるでしょう。
単に引っ越し業者といっても、用意されているプランや補償は、業者ごとに異なるもの。
つまり、細かいところまで、しっかりと確認する必要があるということです。
一見費用が安く思えても、落とし穴もありますので、注意深くHPは確認するようにしましょう。
以下の記事では、優良な引っ越し業者を厳選しています。
どこから選んで良いのかわからない方は、参考になるはずですので、目を通してみてくださいね!
オフィス移転のおすすめ引っ越し業者比較!お得で信頼できる業者の選び方も回線業者との段取りが甘かった
業務影響してしまう失敗事例として挙げられるのが、この電話やネットの回線業者との段取り。
段取りが甘かったがゆえに、移転は完了しているのに回線環境が間に合わず、業務が進められないといった事態に発展するのです。
また選び方を簡易的にしてしまったために、通信環境は変わらず、コストだけが上がってしまったというケースもあります。
これらは、事業を行う上では見過ごせない打撃となるでしょう。
だからこそ、業者とは日数に余裕をもって打ち合わせをし、どういった段取り進めていくのか両者ともしっかりと把握しておく必要があるのです。
面倒がらずに、不明点はしっかりとクリアにしていくようにしてください。
賢く費用を削ってオフィス移転を成功させよう
今回は、オフィス移転にかかる費用や相場、移転コスト削減の秘訣をご紹介しました。
オフィス移転は何度もすることではなく、お金もかなりかかることなので、他社の知り合いにも聞きにくいことです。
しかし、情報収集をして早めの行動を心がければ、それなりに目処を立てられ、引っ越し費用を抑えられます。
オフィス移転コストを賢く節約し、ピカピカの新オフィスで働き始めましょう。