地方活性化ビジネスの成功例と失敗例から学ぶ成功の秘訣とポイントとは?

地方での消費を促したり、人口の増加を促したりすることを目的とした地方活性化ビジネスですが、全国には成功した例もあれば見るも無残な形で失敗に終わった例もあります。

ここでは地方活性化ビジネスの成功例と失敗例をピックアップに、そこからわかる地方活性化ビジネスを成功させる秘訣をご紹介します。

地方活性化ビジネスとは

地方活性化ビジネスとは文字通り地方活性化を目的とした事業のことです。

日本は地方から都市部へ人口が流れ、地方の過疎化が進んでいることが問題になっています。

今後も地方はさらに人口が減少していき、後継者不足や人材不足などさまざまな問題が深刻化していくことでしょう。

そこで地方過疎化の問題を解決するために、地方の特色などを生かして人口の流入を促し、人口減少に歯止めをかけて地方をより活性化させようというのが地方過疎化ビジネスです。

地方活性化事業や地方創生などとも呼ばれています。

具体的な事業内容は地域のブランドや、ゆるキャラ、道の駅やテーマパークなどです。

最近ではアニメのモデルとなった場所(聖地)に乗っかった地方活性化ビジネスも増えてきています。

地方創生との違い

  • 地方活性化:地域の価値を長期的に向上させ、地域へのお羽の流入を増加させることや、そのために行われる施策のこと
  • 地方創生:各地域の特色を生かして自律的に持続的な社会を創生することや、そのために行われる施策のこと。また、人口を減らさない、もしくは人口を増やすための施策のこと。

地方活性化と地方創生にはこのような違いがありますが、明確に定義付けられているわけではありません。

そのため、地方活性化と地方創生は基本的には同じ意味で使われています。

地方活性化ビジネスの成功例

地方活性化では地方によってさまざまなビジネスモデルを展開しています。

ここでは成功例をいくつかピックアップしてご紹介します。

徳島県神山町の成功例

地方活性化ビジネスの成功例として取り上げられることが多い徳島県神山町は、まさに時代に合わせたビジネスモデルで成功を収めた地域だと言っても過言ではないでしょう。

神山町は山々に囲まれた田舎町であり1955年には21,000人ほどの人が暮らしていました。

しかし若い人たちは次々と都会へと移っていき、2016年には人口が4分の1以下の5,175人まで落ち込んでしまったのです。

過疎化が進む神山町ですが、田舎町にも関わらず大都会と同じくらいの高速通信網が構築されており、次々とIT関連企業のサテライトオフィスが開設されています。

神山町を救ったのは「グリーン・バレー」の理事長である大南信也氏です、大南信也氏はアートを軸としたまちづくりをしようと「神山アーティスト・イン・レジデンス事業」を開始し、国内外からアーティストを呼びました。

その結果、外国人アーティストたちに神山町の名が知られるようになり、国際交流によるまちづくり事業へと発展していったのです。

そして2010年に、東京のIT関連企業が次々とサテライトオフィスを開設し、自然の中でリモートワークをする姿がメディアに取り上げられるようになったのです。

サテライトオフィスでの働き方は新しい働き方として注目を集め、次々と神山町にオフィスが設立されるようになり、2016年には16社ものオフィスが集まったのです。

2019年には人口が5,319人にまで増え、さらに単身者向け、夫婦向けの集合住宅を作り、子どもが育つ環境作りも始めるなど、人口を増やす施策が現在進行形で次々と行われています。

福井県鯖江市の成功例

福井県鯖江市はめがね産業でおなじみの地域で、めがねフレームの国内シェアはじつに96%を占めているそうです。

しかし1992年に中国を台頭に、安価な海外産のものが輸入されるようになり、鯖江市のめがね生産量が落ち込みました。

とくに中国は低価格でなおかつめがねフレーム製造を強みとしていたため、鯖江市は大打撃を受けることとなりました。

そこで鯖江市がとった対策が、鯖江のオリジナブランドを確立すること、固有技術を活用して成長分野へ進出すること、新市場を開拓して産地製品の販路を拡大することを進めました。

2003年に地元メーカーが20社以上参加して、産地統一ブランドの「THE291(ザ・フクイ)」を設立し国内外へ宣伝すると、高級ブランドとして世界的に知られるようになりました、

落ち込んだめがね産業を復活させた鯖江市は、さらにJK課の設立やデータシティ推進など、新しい時代の最先端を走る地域活性化に取り組んでいます。

じつは鯖江市はめがね産業に変わる新たな地域産業としてIT産業にも力を入れているのです。

鯖江市をデータシティにするため、市長みずからがInstagramなどのSNSを積極的に使用し、鯖江市内の避難所やコミュニティバス、AEDの位置情報などのデータを150種類ほど公開しています。

また、公開しているデータをもとに子育て支援や災害対策に関するアプリを多数開発。

現在もイベントやゴミの分別がわかるなど、生活に役立つアプリを数多くリリースしています。

さらに若い世代の声を取り入れるため、地元の女子高生が自由にアイデアを出し合って、まちづくりに主体的に参加していく「JK課」を設立し、若い世代の人口減少対策を行っています。

鯖江市ではほかにもさまざまな地域活性化ビジネスが、自治体・民間問わず積極的に行われているようです。

北海道東川町の成功例

旭川空港から車で約10分ほどのところにある北海道の東川町は、行動経済成長期に札幌市や首都圏などの都市部へ人口が流出したため、人口が大きく減少しました。

しかし1995年より大規模な地域活性化が行われたことで、ここ20年ほどで2割も人口が増えているのです。

東川町は鉄道、国道、上水道と生活に欠かせない3つの「道」がありません。

しかし水道は旭岳から雪解け水が流れ出すので、無料で地下水を利用することができるのです。

ただ、鉄道がないのはやはり不便なところ。しかしなぜ東川町は人口が増えているのかというと、じつは東川町は30年も前から地方活性化のための施策を行っていました。

東川町で行われた地方活性化ビジネスのモデルがこちら。

  • 写真の町として宣伝し、写真甲子園や東川町国際写真フェスティバルなどのイベントを開催。写真の町にふさわしい景観を保全。
  • クラフトの町として木工芸の職人によるおしゃれなギャラリーやカフェなどを展開。
  • カナダのキャンモアとラトビアのイエナなどの行政関係者や観光業者を招待し、意見好感を行った。
  • アルペンスノーボード国際大会を開催し、観光客や移住者を呼び込む。
  • 移住できる環境を整備。集合住宅の建設、子育て施設や医療施設の充実、移住者に対する助成や支援など。

東川町は観光名所が多数あるような町ではありません。

しかし、東川町では移住者を受け入れる体制を万全に整え、さらにライフスアイルの提案まで踏み込んだことで、人口増加へとつなげることができました。

東川町では人口が増えたことで10年間で飲食店が25店舗から60店舗まで増加しました。

のどかな田舎町ではあるものの、暮らしやすい町として現在も成長を続けています。

地方活性化ビジネスの失敗例

地方活性化ビジネスにはさまざまな成功例がある一方で失敗例も多数あります。

ここでは、地方創生ビジネスの失敗例をご紹介します。

青森県青森市の失敗例

青森県青森市にあるJR青森駅前には、2001年に青森市が185億円を投じた複合商業施設の「アウガ」が建設されました。

津軽弁で「会おうよ」の意味を持つアウガは、地下1階、地上9階建てととても大きな建物です。

多数の店舗を入れることで、名前の通り人の出入りが絶えないような場所になるはずでした。

当時は新聞各紙にも取り上げられれ、全国から多くの視察が訪れました。

しかし初年度の売上高は目標の半分以下である約23億円。

初年度から赤字決算となったアウガは再生計画案を見直したものの経営状況はよくなることなく、2015年度には経営破綻に陥り2017年2月末に1~4階を閉鎖しました。

そして2018年1月により、アウガは駅前庁舎として青森市の窓口機能が移転しました。

アウガによる失敗は、地方活性化ビジネスの典型的な失敗例のひとつだと言えるでしょう。

福島県会津若松市の失敗例

福島県会津若松市は地域経済を活性化させるために「地域限定の電子マネー」をリリースしました。

この電子マネーは、会津若松市内でしか使用することができませんが、地元の加盟店で使用することでポイントを貯めることができます。

さらに電子マネーを使用しなくても、健康診断を受診したり、ボランティアへ参加したりすることでもポイントを貯めることができます。

電子マネーがうまく機能すれば、地元の経済が活性化されると同時に、ボランティアの参加など社会にプラスになる行動を後押しすることもできるため、経済だけでなく地域全体の活性化につなげることができます。

しかし会津若松市の電子マネーは大失敗してしまったのです。失敗の大きな原因は、会津若松市民が電子マネーの存在を知らなかったこと。

そしてさらに、電子マネーを使える店舗がほとんどなかったのです。

会津若松市は最低でも100店舗は使えるお店を確保しようとしましたが、導入してもらえたのはたった11店舗のみでした。

使える店舗数が少ないと、認知度が上がったところでうまく機能するとは考えにくいでしょう。

会津若松市はこの事業に交付金1200万円を投入したのにも関わらず、電子マネーで決算された総額はたった18万円でした。

会津若松市は継続を諦め、電子マネーによる地方活性化は大失敗に終わったのです。

地方活性化ビジネスを成功させるポイントとは

さまざまな成功例と失敗例をもとに、地方活性化ビジネスを成功させるポイントをまとめました。

成功例よりも失敗例を見るべき

地域によっては地方活性化ビジネスの成功例を真似して成功した地域もあります。

しかしそれはそもそもほかのビジネスモデルで成功していたからその相乗効果で成功したのであり、いきなり成功例を真似したところで成功するということはありません。

むじろ失敗例からどうすれば失敗しないかを学ぶべきでしょう。

とくに青森県青森市のアウガのような例は各地域で見られています。

たしかに、越谷レイクタウンなどを見れば大型商業施設を作ることで人で賑わう未来が予想できるかもしれませんが、そもそも都会的な生活を演出したところで都会に住んでいる人にとってはなんの魅力も感じません。

もともと人口が少ないところで都会的な演出をしても意味がないというところです。

こういった失敗例を徹底的にリサーチすることが、地方活性化ビジネスを成功させる大きな鍵だと言えるでしょう。

地域の現状についてよく知ること

会津若松市で失敗に終わった電子マネー制度ですが、アイディア自体は悪くはありませんでした。

失敗の大きな原因のひとつが「店舗側に導入してもらえなかったこと」です。

会津若松市内の店舗には、市から電子マネーの導入を説得されていたのにも関わらず11店舗しか応じてもらえませんでした。

店舗数が極端に少なかった理由は、レジでの作業が複雑になってしまうことです。

現金をもらってお釣りを渡すというシンプルなお会計が、電子マネーを導入することで新たな作業が発生してしまいます。

さらに電子マネーの集計やチャージなど、そのほかの業務も増えてしまうのです。

なので店舗側が会津若松市限定の電子マネーの導入を嫌がるのも無理はありません。

そもそも地域飲食店や小売店の現状をよく理解していればこのような失敗を防ぐことができたのではないでしょうか。

一方の地方活性化に成功した神山町は、徳島県内全域に光ファイバーが整備されており、過疎化が進む地域だったのにも関わらず抜群のITインフラ環境が整っていました。

さらに神山町は都会では味わえないような、山々に囲まれた生活環境があります。

こうした地域の現状をよく理解したからこそ、さまざまな企業の誘致に成功し人口を増やすことができたのでしょう。

その地域の現状と実績にあった施策を行うことが成功のポイントではないでしょうか。

受け入れる体制を整えること

そもそも地方活性化ビジネスを始めたところで、「消費につながる受け入れ体制」や「移住者を受け入れる体制」が整っていないと次につながることはできません。

たとえば観光客がお店に訪れても、目的のものだけを購入して帰ってしまうことが多々あります。せっかく来てもらえたのにこれは非常にもったいないです。

目的のものはそのお店もしくはその地域の特産品や限定品である可能性が高いですが、価値あるものがそのひとつだけでは消費を促すことができないのです。

消費を促すのであれば新しい価値をみずから創造し、客にいかによろこんでいかに消費してもらうかが重要です。

また、せっかく移住したいと思う人が居ても、移住者を受け入れる体制が整っていなければ人口は増えません。

いくら助成金などがあっても無意味に終わってしまいます。

移住者を受け入れる体制とは、移住者の住む家があることが第1です。

地方では空き家はいくらでもあると思いますが、住める状態でない空き家が多いのが現実です。

たとえ賃料が無料であっても、自分たちで住める状態まで回復させなければならないというのはなかなかハードルが高いです。

だからと言ってアパートやマンションなどの賃貸物件を探してもほとんどないのが現実でしょう。

消費を促すことも人口を増やすことも、地域がしっかり受け入れる体制を整えていなければつなげることはできません。

地方活性化ビジネスを成功させるのであれば、そのような基本的な部分の地盤をしっかり固める必要があるでしょう。

アイディアだけで地方活性化ビジネスは成功しない

地方を活性化させるいいアイディアはいくらでも思い付くと思います。

中には誰が見てもいいアイディアだと思えるものもあるでしょう。

しかし、いくらいいいアイディアでもアイディアだけで地方活性化ビジネスは成功しません。

地方活性化ビジネスで成功するには、地方の現状をよく知ること、そして地方活性化を受け入れる体制が整っていることが大切です。

アイディアも重要ではありますが、基本的な部分を抑えることがもっとも重要です。

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