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「廃業」と「倒産」をどちらも同じ意味として捉えている人が多いですが、実際には大きな違いがあります。
またそれら手続きについても、大きな違いがあるのです。
そこでこの記事では、「廃業」と「倒産」の違いを明確にしてもらうための解説や、似た言葉である「破産・経営破綻・休業」との違いについてもわかりやすく解説していきます。
またそれ以外にも、以下のような疑問も解消できますので、しっかりと読み込んでみてくださいね!
- 廃業をするとどんなメリットやデメリットがある?
- 最近の倒産率や廃業率はどうなってる?
- 倒産率が高い業種はなに?
- 廃業する以外の最良の選択肢はある?
今後は堂々と使い分け、しかるべき選択をしていきましょう!
廃業のメリット・デメリットや後継者問題を解決するM&Aについてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「廃業」と「倒産」に違いはある?
廃業と倒産はどちらも暗いイメージがあり、会社がなくなってしまう言葉として使われることが多いですが、実は2つには違いがあります。
会社の廃業と倒産2つの数は、別々に集計されて計算されています。
2つの違いをきちんと知って、きちんと使い分けましょう。
廃業とは
廃業とは、経営者が計画的に自ら会社をたたむことです。
経営不振だけではなく、後継者がいないことや健康・体力的な問題で、自主的に廃業を選ぶ経営者も少なくありません。
廃業するには会社が抱えている負債などの支払いや株主総会の解散など、計画を立てて、きちんと手続きを終える必要があります。
会社がなくなるため、取引先や従業員に迷惑をかける形にはなりますが、しっかりとした廃業の計画を立てれば、周囲への影響を最小限にできます。
倒産とは
倒産とは、会社の資金が底をつき、取引先や従業員への支払いが不可能になり、会社が続けられなくなることを言います。
会社の資金がないため、取引先や従業員に大きな迷惑をかけることになります。
倒産では法的に負債や資産を整理して、可能な限り返済するのが基本です。
法的な手続きをしなかったり、手形の不渡りを出している場合は銀行との取引が停止されるため、「事実上の倒産」と言われます。
「廃業」と「倒産」の手続きの違い
「廃業」と「倒産」の概要は、なんとなくでもお分かりいただけたでしょうか?
これらは、厳密に意味合いが異なり、当然その手続きについても異なります。
ここでは、それぞれの手続きについて、カンタンにまとめておきますので、サッと目をとおしてみましょう。
それぞれの違いについて、深掘りできるはずです。
廃業手続き
まずは「廃業」する際の手続きについてです。
会社を廃業する場合は、「解散」や「清算」という手続きが必要となります。
解散の手続きは、解散から2週間以内に管轄の法務局で解散登記を行う必要があり、それと同時に清算人の選定登記も行わなくてなりません。
解散手続きを行うと、代表取締役などは登記は抹消されますが、その後の清算については清算人という立ち位置で行うこととなります。
清算人と選定は、基本的に定款で決定している者や株式総会によって選定された者となることが一般的です。
それらで決まらなければ、取締役が清算人となる形となります。
その後、清算事務や決算が完了すれば、清算結了登記となります。
こちらも、管轄の法務局にて行う作業です。
ただし、こちらは解散から2ヶ月経過していないと登記できませんので、その点には注意が必要となるでしょう。
倒産手続き
支払い不能などの理由で、会社存続できなくなる倒産では、「清算型」か「再建型」のどちらかを選択することとなります。
「清算型」では、破産手続きや特別清算といった手続きが必要で、会社や債務とも抹消させる手続きとなります。
一方で「再建型」では、民事再生や経営陣の交代が必要な会社更生などを選択することが可能です。
どちらも、会社を存続させ立ち直らせるための手続きと考えておくと良いでしょう。
ここまで紹介してきたように、「廃業」と「倒産」では、その特性の違いから、手続きの方法もまるで異なるのです。
次からは、「廃業」や「倒産」と勘違いされやすい言葉の違いを紹介していきます。
今後は、使い分けがしっかりとできるように、ゆっくりと読みすすめてみてくださいね!
では進めていきます。
「廃業」や「倒産」と似た言葉との違い
ここまでで、「廃業」や「倒産」の違いについて見てきましたが、一見似た意味の言葉は他にもあります。
それぞれでは、少し意味合いが異なってきますので、違いを理解してスッキリしていきましょう!
ここで紹介する単語は、以下の3つ。
- 破産
- 経営破綻
- 休業
では、それぞれについて解説していきます。
「破産」と「倒産」の違い
破産とは、資産や負債を整理する法的な整理のことです。つまり、破産の手続きをした会社は倒産したことになります。
正確には倒産に法的な定義がなく、さまざまな形があり、その一つとして「破産」というものがあるのです。
ただし、倒産が必ず破産というわけではないので、注意しましょう。
また、破産は会社だけではなく、個人にも使う言葉です。
個人の場合も、資産や負債を法的に整理することを指します。
「経営破綻」と「倒産」の違い
経営破綻は明確な定義がないため、倒産と同じような意味で使われています。
しかし、場合によっては、倒産前の経営が困難な状態を「経営破綻」と呼ぶこともあります。
倒産よりも広い意味で使われると覚えておきましょう。
「休業」と「廃業」の違い
休業とは会社の事業を停止させることです。廃業に関する手続きは複雑ですが、休業は税務署と自治体への届け出のみで休業ができます。
廃業ではなく休業になるため、いつでも簡単な書類の提出で会社を復活できます。
ただし、休業中であっても法人住民税や役員変更登記は必要になるため、一定の負担は必要になります。
廃業や倒産している件数はどれくらい?
ここ数年で副業の解禁や起業などが注目されていますが、毎年廃業や倒産している会社は決して少なくありません。
ここからは廃業と倒産の件数について解説していきます。
廃業の件数
東京商工リサーチの調査による休廃業の件数は以下の通りです。
- 2008年 24,705件
- 2009年 25,178件
- 2010年 26,086件
- 2011年 25,273件
- 2012年 27,266件
- 2013年 29,074件
- 2014年 27,167件
- 2015年 27,341件
- 2016年 29,583件
- 2017年 28,142件
ここ10年間で最も少ないのが2008年の24,705件、最も多いのが2016年の29,583件となっています。
多少上下していますが、ここ10年間で休廃業が増えていることが分かります。
経営者が高齢化し、黒字であっても年齢や体力的な問題、後継者問題などで休業しているケースが増えています。
倒産の件数
東京商工リサーチの調査による倒産の件数は以下の通りです。
- 2008年 15,646件
- 2009年 15,480件
- 2010年 13,321件
- 2011年 12,734件
- 2012年 12,124件
- 2013年 10,855件
- 2014年 9,731件
- 2015年 8,812件
- 2016年 8,446件
- 2017年 8,405件
- 2018年 8,235件
以上が10年分の倒産件数です。
2008年の15,646件から年々減り続け、2017年には1万件以下の8,405件となっています。
また最新情報の2018年度では8,235件と、2017年よりもさらに170件減少する結果となっています。
休廃業の件数が年々増えていることを考えると、負債などによって倒産に追い込まれるのではなく、自主的に休廃業を選択している会社が多いことが分かります。
それだけ経営者の高齢化が進んでいるとも考えられるでしょう。
休廃業・倒産した企業代表者の年齢分布と推移
では、先ほど立てた「経営者の高齢化が進んでいる」という仮説が本当にそうなのかをみていきましょう。
東京商工リサーチによると、休廃業した企業の代表者年齢は、以下のような分布となっていました。
2018年 | 2016年 | 2014年 | |
~20代 | 0.16% | 0.15% | 0.17% |
30代 | 0.97% | 1.24% | 1.45% |
40代 | 4.80% | 5.86% | 6.03% |
50代 | 10.36% | 10.73% | 11.04% |
60代 | 29.00% | 34.76% | 35.69% |
70代 | 37.53% | 33.29% | 33.61% |
80代~ | 17.18% | 14.00% | 12.01% |
※参考:東京商工リサーチ(2018年「休廃業・解散企業」動向調査)より
これを見てもわかるとおり、休廃業した70代80代以上の代表者が、年々増えてきていることが分かります。
つまり後継者がいないため、代表者が続投するしかない状況とも取れるわけです。
それが仮に優良な企業であったとしても、後継者がいないために廃業するのは、どこか勿体ない気もしますね。
しかし、それが実情なわけです。とはいっても、この状況を解消する方法も確かに存在します。
その方法については、この記事の後半で紹介していきますので、今はこのまま読み進めていきましょう。
廃業・倒産が多い業種とは
2017年の休廃業が多い業種は、東京商工リサーチによる調査によると、最も多いのが「サービス業他」で7,609件、次に多いのが「建設業」の7,072件となっています。
休廃業した件数の合計は28,142件なので、50%以上が2つの業種で占められていることが分かります。
倒産に関しても、「サービス業他」が最も多く2,434件、次に多いのが「建設業」の1,579件です。
こちらも2つの業種だけで50%近く占めています。
建設業とサービス業に廃業・倒産が多い理由
建設業とサービス業に休廃業・倒産が多いのは、他の業種よりも開業の件数が多いことが原因です。
開業件数は2017年で131,981件あり、そのうち「サービス業他」が52,773件、「建設業」が18,171件と非常に多い件数となっています。
開業のハードルが低い割には、経営を続けていくには難しい業種と言えるでしょう。
特にサービス業は入れ替わりが激しく、開業・休廃業の件数も多いです。
廃業する際に多い理由
ここからは廃業するの理由について解説していきます。
廃業する際の主な理由は、
- 後継者がいない
- 事業承継をする資金が不足している
- 業績不振のため
- 経営者の年齢や体力的な問題
の4つです。
次から1つずつ詳しく解説していきます。
1:後継者がいない
中小企業の多くの経営者は、後継者を育てるよりも通常の経営に力を入れていることが多く、後継者を育てていないケースが多くあります。
後継者を決める段階になっても、親族や従業員が会社を継ぐ意思がないことも多いです。
その結果、多くの会社が後継者を見つけられずに廃業を選択しています。
また、後継者がいたとしても、経営者が自身の代で会社を辞めると決めていることもあります。
2:事業承継をする資金が不足している
事業承継をするには経営権を後継者に譲渡する必要があります。
その際には多額の資金が必要になるのです。
後継者が現金を所有していれば問題ありませんが、資金がなければ事前に資金を確保しなくてはいけません。
上手く資金が確保できない場合は、事業承継をせずに廃業を選択する会社が多いです。
3:業績不振のため
廃業を選択する会社で、最も多いのが業績不振による廃業です。
何期にも渡り、連続で業績が落ちている場合、回復させることは簡単ではありません。
資金が不足すれば、新たな融資を検討する必要も出てきます。
その際、無理に経営を続けた上で倒産するよりは、ある程度は資産や従業員を守れる廃業を選択する経営者が多いです。
また、業績が悪くなくても会社に将来性がなく、今後業績不振が見込まれる場合も廃業が選択されることが多くなっています。
4:経営者の年齢や体力的な問題
事業承継が上手くいっていない中小企業が多いこともあり、経営者の平均年齢は年々上がっています。
そこで問題になるのが、経営者の年齢や体力的な問題です。
従業員の人数が多い会社では、経営者の仕事を分散し負担を減らすことも可能ですが、小さな会社では経営者の負担は想像以上に大きくなっています。
本来の予定では引退しているはずの年齢でも、経営者を続けていることも少なくありません。
廃業にはメリットもある?
廃業は、一から作り上げた会社をなくすため、マイナスのイメージが大きいですが、メリットも多くあります。
ここからは廃業のメリット・デメリットについて解説していきます。
廃業のメリット
廃業の主なメリットは、
- 資産を守れる
- 経営の責任から解放される
の2点があります。
それでは詳しく解説していきます。
1:資産を守れる
赤字が続いたり、今後の経営の見通しが危ういときには、無理に経営を続けて状況が悪化するよりも廃業するほうが資産を守れます。
ただし、思うように会社の設備などが売却できずに結果的に赤字になることもあります。
それでも、倒産するよりは資産を残せるでしょう。
2:経営の責任から解放される
会社の経営では、個人ではなく会社が取引しているとはいえ大きな金額を動かし、従業員の生活も守っていかなくてはいけません。
廃業すれば、そのような責任から解放されます。
廃業のデメリット
廃業の主なデメリットは、
- 従業員が失業してしまう
- 資産を売却する際に低く見積もられる
- これまでに築き上げた関係が終わってしまう
- 関係各社に迷惑がかかる
の4点です。
次から詳しく解説していきます。
1:従業員が失業してしまう
廃業すれば当然ですが、従業員が失業してしまいます。
基本的には、従業員に退職金を支払い、退職後の就職先のサポートもしますが、それでも解雇することに変わりはありません。
従業員に大きな負担をかけることになります。
2:資産を売却する際に低く見積もられる
廃業での資産売却が計画通りに進むとは限りません。
廃業となれば、安く売却しなくてはいけないこともあります。
計画が甘く、最終的には赤字になってしまうこともあります。
廃業の際は、現実的な計画を立てるようにしましょう。
3:これまでに築き上げた関係が終わってしまう
廃業すれば、会社がなくなるため、会社を通して繋がっていた関係は全て終わってしまいます。
信頼関係を築き上げるのは、決して簡単ではなく、時間もかかります。
しかし、廃業すれば、あっという間に関係が終わってしまいます。
4:関係各社に迷惑がかかる
会社がなくなれば、取引先にも大きな迷惑をかけることになります。
取引先は大きな収入源を失ってしまうことにもなります。
廃業になった際は、可能な限り迷惑をかけない形で、事前に理解を得られるように説明する必要があるでしょう。
後継者がいなくても大丈夫!M&Aの利用も視野に入れよう
中小企業にとって大きな問題になっている後継者問題は、M&Aを利用することで解決できます。
M&Aは経営権を譲渡するため、経営権は完全に第三者に渡ってしまいますが、会社は継続して事業を続けられます。
個人で行うこともできますが、多くの場合はM&A専門の会社にサポートを依頼して行います。
ここからはM&Aのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
M&Aのメリット
M&Aの主なメリットは、
- 後継者問題が解決できる
- 従業員の雇用を確保できる
- まとまった資金が手に入る
の3点です。
廃業のデメリットをしっかりとカバーできる多くのメリットがあります。
それでは次から解説していきます。
1:後継者問題が解決できる
従業員や親族に後継者がいない場合でもM&Aを利用すると、経営権を譲渡して他の会社に事業を任せられます。
という経営者には、このM&Aが最適でしょう。
2:従業員の雇用を確保できる
M&Aを利用すれば、廃業ではないため会社はなくなりません。
当然、従業員を解雇する必要もなく、きちんと雇用を確保できます。
もちろん、取引先に迷惑をかけることもありません。
3:まとまった資金が手に入る
M&Aでは、事業を売却した報酬として、まとまったお金が経営者に報酬として支払われます。
事業を継続して、従業員も守り、さらに経営者の引退後に必要になる資金まで確保できます。
M&Aのデメリット
M&Aの主なデメリットは、
- 会社の労働環境が変わってしまう
- 売却先が見つからないことがある
- 取引先や関係者から反対される可能性がある
の3点です。
メリットも大きいですが、デメリットもきちんと理解した上で利用しましょう。
1:会社の労働環境が変わってしまう
M&Aを利用すれば経営者が変わるため、労働条件が変更される可能性があります。
その際に、従業員から不満が出て、モチベーションが下がったり、離職することも考えられます。
また、買収した会社に合わせて、さまざまなシステムを変更する必要もあります。
経営者が変わった直後は、従業員に大きな負担がかかるでしょう。
2:売却先が見つからないことがある
M&A専門の会社を利用したとしても、今後の収益が見込めないと判断されれば、売却先は簡単には見つかりません。
今は黒字で事業が上手くいっていても、将来性がないと上手く売却はできません。
また、売却先が見つかっても低く見積もられてしまい、想定以下の価格でしか売却できないこともあります。
3:取引先や関係者から反対される可能性がある
前述したとおり、M&Aの利用で労働条件が変更され、取引の担当者が変わる可能性があります。
その際に、取引条件も変更され、長年付き合ってきた取引先から反対されることがあります。
場合によっては、契約を切られる可能性もあるでしょう。
M&Aで迷うなら「オーナー社長のための事業承継総合センター」
M&Aのことはまだまだ勉強が必要だけど、とりあえず準備だけを進めておきたいという方は、まずはM&Aの専門サイトに登録するのがいいでしょう。
M&Aの専門サイトについては探せばたくさん出てきますが、リクルートが運営する「オーナー社長のための事業承継総合センター」は相談や着手金が無料です。
上手に買い手を見つけてくれたり、M&Aに必要な知識も手に入るので、まずは無料相談してみるのがいいでしょう。
もしM&Aについて、詳しく知りたい場合は以下の記事も参考となります。
前提知識を付ける上でもご活用ください。
検討前に知っておくべきM&Aのメリット・デメリット20選すぐにM&A仲介会社を確認したい方は、まず比較が大切です。
以下では、厳選されたM&A仲介会社の比較を行っているので、併せて参考にしてみましょう。
M&A仲介会社の比較ランキング!おすすめ厳選18選を徹底紹介廃業と倒産は似ているようで大きく違う
廃業と倒産は、会社がなくなってしまう暗いイメージがありますが、実際には大きく異なります。
また、一度倒産してしまうと、廃業という道を選択することができなくなります。
そのため廃業に関しては、経営状況が悪化する前に、前向きに検討する必要があるのです。
常に現状の経営状態を把握し、倒産という道を辿らないよう、計画的に廃業やM&Aは進めていってください。
とくにM&Aでは、手元に残るキャッシュも増えますから、できる状況にあるのなら積極的に活用すべきでしょう。
ぜひ今回の記事を参考に廃業と倒産の違いをきちんと理解して、会社の今後について考えていってくださいね!