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起業や独立をしたとき、事業費を支払うためのクレジットカードで経費を管理しようと考える方が多いのではないでしょうか。
クレジットカードについて調べたとき、「法人カード」と「ビジネスカード」、「コーポレートカード」の違いを正しく理解できている方は多くありません。
そこで今回は、コーポレートカードが何かについてご紹介します。
ビジネスカードとの違いやメリット・デメリットなども解説するので、「法人カード」と「ビジネスカード」、「コーポレートカード」の違いを正しく理解したい方は必見です!
結論:違いは企業の規模感
先に結論を簡潔に言えば、コーポレートカードとビジネスカード、法人カードの違いはカードの所有者またはターゲット層の違いです。
具体的にどんな違いがあるのか、最初に大まかにご紹介しましょう。
法人カード:ビジネスカードとコーポレートカードの総称
「法人カード」は、後述するビジネスカードとコーポレートカードの総称です。
法人カードとは、個人で所有する「プライベートな用途」への使用を目的としたカードではなく、「事業用途」での使用を目的としたカード。
そのため、例外はありますが、基本的に法人カードの引き落とし口座は法人口座となります。
ビジネスカード:個人事業主や中小企業向け
「ビジネスカード」は、法人カードのひとつ。
基本的には、個人事業主や法人経営者、中小企業をターゲットにしています。
引き落とし口座も名義も、法人口座が基本です。
ビジネスカードには法人経営者向けと個人事業主向けがある
ビジネスカードのなかには、企業を対象としたものだけでなく、個人事業主や法人経営者に向けて作られるカードも。
それらのカードの場合、企業向けのビジネスカードと基本的なスペックは同じです。
個人事業主や法人経営者向けのカードの場合、企業名(または屋号)と個人名を併記できるビジネスカードもあります。
コーポレートカード:大企業向け
「コーポレートカード」は、法人カードのひとつ。
基本的には、大手企業をターゲットにしています。
引き落とし口座も名義も、法人口座が基本です。
コーポレートカードにはコーポレートカードとパーチェシングカードがある
コーポレートカードには、パーチェシングカードと呼ばれるカードがあります。
指定した加盟店でしか決済できないクレジットカードで、うっかり取引先の競合他社で買い物をしてしまうような事態を回避可能です。
法人カード:ビジネスカードとコーポレートカードの総称
法人カードは、ビジネスカードとコーポレートカードの総称。
事業用途であれば、個人事業主向けでも大手企業向けでも、すべて「法人カード」に括られます。
雑な言い方をすれば、「個人向けカード以外は法人カード」といえるでしょう。
キャッシングには非対応の場合が多く、キャッシング対応の法人カードの多くは海外でのみキャッシング可能です。
ビジネスカード:個人事業主や中小企業向け
ビジネスカードは、個人事業主や法人経営者、中小企業向けの法人カード。
追加カードの発行枚数は多くて20枚ほどを想定している場合がほとんどで、役員や数名の社員が所有するイメージです。
比較的多くの特典を受けられる
ビジネスカードを利用すると、カードの特典を比較的多く受けられます。
もちろん特典の内容はカードに依存しますが、ポイントやマイレージの還元、各種保険に空港ラウンジ利用など、さまざま。
コーポレートカードはこれらの特典が基本的になく、あってもかなり限られています。
追加カードの年会費は有料の場合が多い
ビジネスカードの追加カードは、年会費有料の場合が多いです。
親カードの年会費が1,000円ほどなら追加カードの年会費が無料な場合もありますが、そうでなければ年会費はかかる場合がほとんど。
年会費は親カードと同じかやや安いのが相場といえるでしょう。
追加カードの限度額は親カードに依存
追加カードを発行すると、追加カードの利用額は親カードに依存。
親カードの範囲内でしか利用できず、追加カードで利用した料金も親カードに請求されます。
選択肢が多くステータス性はカードによってバラバラ
ビジネスカードの種類は、非常に多彩。
さまざまな企業がさまざまなビジネスカードを発行しています。
同じ企業が同じランクのカードを複数種類発行している場合も少なくありません。
また、カードの種類もプロパーから提携、一般からプラチナやゴールドまで非常に多いのも、ビジネスカードの特徴。
そのため、ビジネスカードのステータス性は一括りにできません。
審査対象は法人代表者または個人事業主
ビジネスカードは、個人事業主や法人代表者、中小企業向けの法人カードです。
カード発行時の審査で対象になるのは、法人代表者や個人事業主。
そのため、中小企業でビジネスカードを発行しようとしている方は、法人代表者の信用をよくする必要があります。
個人事業主の利用を前提にしたカードも
ビジネスカードのなかには、元から個人事業主の利用を前提に作られたカードもあります。
「オリコ EX Gold for Biz S」などがその例です。
中小企業向けのビジネスカードでは審査に通らなくても、個人事業主向けのビジネスカードなら審査に通る可能性が高いので、個人事業主にはそうしたカードがおすすめ。
コーポレートカード:大企業向け
コーポレートカードは、大企業向けの法人カード。
発行可能な追加カードの発行枚数が多く、官公庁や政府機関でも導入実績があります。
ビジネスカードは発行上限を20枚ほどとしていますが、それ以上の枚数を発行したり月の利用額が多かったりする企業ならコーポレートカードがおすすめ。
企業全体の利用枠に対してカードや部署ごとに配分可能
コーポレートカードの場合、企業全体の利用枠がカード会社から与えられ、それをカードや部署ごとに配分可能です。
たとえば企業全体で500万円として、
- 営業に200万円
- 社長と副社長に各100万円
- その他に100万円
など、自由に設定できます。
部署やカード所有者に合わせて裁量を与えられるので、カードを必要以上に使い込まれたり予算不足になったりする心配がありません。
追加カードは年会費無料の場合も
法人カードに比べ、コーポレートカードは年会費が高めに設定される場合が多いです。
そのため、追加カードの年会費は無料が一般的です。
経費把握や支払いしやすい
コーポレートカードは、経費の把握や支払いをしやすいのがメリット。
利用明細は企業全体のものと部署別、カード別の3種類が用意されます。
3種類すべてが送られるようになっていたり、どの種類の明細を送ってもらうか選べるようになっていたりするので、利用を検討しているカード会社の情報を確認しましょう。
選択肢が少なくステータス性に乏しい
コーポレートカードは、発行している企業が少なく、ビジネスカードに比べてかなり選択肢は限られます。
基本的にプロパーカードですが、カードのランクは一般またはゴールド。
そのため、プロパーカードとはいえステータス性は乏しいといえるでしょう。
前述の通り、コーポレートカードはビジネスカードに比べて年会費は高め。
しかし、ステータス性に乏しいので、プラチナやブラックステータスのビジネスカードに比べるとコストパフォーマンスが悪い可能性も十分あります。
この点はコーポレートカードのデメリットです。
審査対象は法人(企業)
コーポレートカードは、大企業向けの法人カードです。
ビジネスカード発行時の審査で対象になるのは法人代表者や個人事業主でしたが、コーポレートカードの場合は企業そのものが審査対象になります。
特定の加盟店のみで使用できるパーチェシングカードも
コーポレートカードの一種として、特定の加盟店だけでカードを使用できる「パーチェシングカード」もあります。
発行単位や明細のまとめ方などはコーポレートカードと同じです。
コーポレートカードとビジネスカードの違いの比較表
法人カード | |||||
ビジネスカード | コーポレートカード | ||||
法人代表者向け | 個人事業主向け | 大企業向け | パーチェシングカード | ||
審査対象 | 法人代表者 | 個人事業主 | 法人 | ||
引落口座 | 法人口座/個人口座 | 法人口座 | |||
利用対象 | 対象店舗 | 対象店舗 | 特定の加盟店 | ||
利用可能枠 | 親カードの範囲内 | カードや部署ごとに設定可能 | |||
カードの選択肢 | 多い | 少ない | かなり少ない | ||
特典 | 多い | 少ない | かなり少ない | ||
カードランク | 一般からブラックまで | ゴールド | 基本的に一般 | ||
追加カード | 年会費 | 基本有料だが無料の場合も | 基本無料 | ||
枚数制限 | 発行不可のものから無制限まで | 基本無制限 | |||
ETCカード年会費 | 基本有料だが無料の場合も | 基本無料 |
実例で比較するコーポレートカードとビジネスカード
つぎに、コーポレートカードとビジネスカード両方を発行しているカード会社の例を3つご紹介します。
今回ご紹介する例は、すべて一般ランクのカードです。
American Express(アメリカン・エキスプレス)
まずは、American Express。
国際ブランドのプロパーカードで、今回ご紹介するなかでは最もステータス性のあるカードといえるでしょう。
アメリカン ・エキスプレス・ビジネス・カード
「アメリカン ・エキスプレス・ビジネス・カード」では、ターゲット層を「中小規模企業の経営者様、個人事業主様」と明記。
年会費は13,200円で、追加カードは親カードの半額の6,600円です。
「グリーンカード」と称される個人用一般カードですら、他社のゴールドカードよりコストパフォーマンスがいいとされるアメックス。
ビジネスカードで受けられる特典は多く、クラウド会計ソフトにクレジットカードの明細を紐づけられたり、各種プロテクションが充実していたりします。
アメリカン・エキスプレス・コーポレート・カード
「アメリカン ・エキスプレス・コーポレート・カード」では、ターゲット層を「中堅・大規模企業様」と明記。
追加カードも含めて年会費は要問合せです。
特典は国内外の旅行傷害保険など、ビジネスカードに比べるとごく一部に限られます。
三井住友カード
続いて、三井住友カード。
国内三大メガバンク・三井住友銀行のプロパーカードで、American Expressほどでないにせよステータス性はかなり高いといえます。
三井住友ビジネスカード for Owners
「三井住友ビジネスカード for Owners」は、満20歳以上の法人代表者と個人事業主をターゲットにした法人カード。
年会費は1,375円で、追加カードは親カードのおよそ1/3の440円です。
利用限度額は10~150万円。
登記簿謄本や決算書は不要かつ初年度は年会費無料です。
三井住友ビジネスカード
「三井住友ビジネスカード」は、満20歳以上の法人代表者と個人事業主をターゲットにした法人カード。
利用者は20人以下を念頭に置いています。
年会費は「三井住友ビジネスカード for Owners」と同じです。
利用限度額は20~150万円と、下限がやや多め。
三井住友コーポレートカード
「三井住友コーポレートカード」は、大企業をターゲットにした法人カード。
利用者は20人以上を念頭に置いています。
年会費は「三井住友ビジネスカード for Owners」と同じですが、上限は33,000円です。
ただし、ゴールドカードの場合は個別決済方式の場合に限り1社33,000円、61名以上の追加会員ごとに550円が発生します。
個別決済方式は、利用代金をカード使用者の個人名義口座に請求する決済方法です。
利用限度額は要問合せです。
三井住友パーチェシングカード
「三井住友パーチェシングカード」は、大企業・中堅企業をターゲットにした法人カード。
年会費は「三井住友ビジネスカード for Owners」と同じですが、上限は33,000円です。
企業間取引の決済に非常に便利なカードで、一般的なプラスチックカードは発行されません。
発行時に三井住友カードからカード番号や有効期限などが記載された紙面が届き、それらの情報を使って決済可能。
カードを発行しないので、紛失や盗難のリスクを心配しなくていいのが大きなメリットといえるでしょう。
クレディセゾン
最後にご紹介するのは、クレディセゾン。
ステータス性は高くありませんが、クレジットカードの種類が豊富です。
そのため、ステータス性重視の方も一度チェックすると、思いがけずいい法人カードに巡り合えるかもしれません。
UC法人カード
「UC法人カード」では、ターゲット層を「法人および個人事業主」と明記。
名称は「法人カード」ですが、区分としてはビジネスカードになります。
年会費は1,250円で、追加カードの発行はゴールドカードのみ可能です。
利用可能額は20~300万円。
UCコーポレートカード
「UCコーポレートカード」では、ターゲット層を「大企業・中堅企業」と明記。
年会費や利用可能額は、一般・ゴールドともに要問合せです。
コーポレートカードの審査は厳しい?審査基準と審査落ちの理由とは?
コーポレートカードについて紹介してきましたが、ここでは審査について解説ていきます。
審査の厳しさや審査前にしておくべきこと、審査落ちをする場合の理由をまとめたので、申込み前に一読しておきましょう。
審査の厳しさは?
まずは、審査の厳しさについてです。
結論から言うと、コーポレートカードの審査は、一般的な法人用クレジットカードよりも甘い場合が多いといえます。
この理由は、コーポレートカードは会社名で申し込むため会社の信頼により判断されるためです。
大企業向けのカードになるため、大企業という面で審査が通る確率が高いというのは言うまでもありません。
実際に、個人のクレジットカードを作る際に審査が通らなかった方でも、コーポレートカードは審査が通った方もいます。
審査の前にすべきこと
次に、審査の前にすべきことについてです。
先ほど、コーポレートカードの審査は甘い場合が多いとお伝えしましたが、もしもカードの滞納がある場合は審査前に支払ってを済ませておくことをおすすめします。
他にも、固定電話がない場合は固定電話を用意しておきましょう。
携帯番号のみの場合に比べて、審査に通りやすい傾向があります。
また審査基準についてですが、審査が比較的易しいとはいえど、個人払いのコーポレートカードの場合は異なるため、注意が必要です。
この場合は、個人の審査が重要となるため、年収や今までのクレジットカードの使い方に問題はないかなどを審査されます。
審査落ちの理由
次に、審査が落ちてしまう場合の理由についてです。
これらに当てはまってしまわないように、確認しておきましょう。
滞納履歴と申込書の不備
審査に落ちてしまう場合の多くは、今までのクレジットカードの滞納履歴がある場合、もしくは申し込みの際の記入漏れや記載内容に不備がある場合になります。
可能性は低くはなりますが、今までのクレジットカードの滞納履歴があり、新入社員で勤続年数が少ない場合は落ちてしまうことも少なからずあるでしょう。
また、申し込みの際の記入漏れや記載内容に不備がある場合は、正しい情報に訂正せずにそのままにしてしまうと落ちてしまう確率が高いです。
訂正した場合、再度審査をかけるため、訂正内容によっては審査落ちすることも少なからずあるでしょう。
複数のカードを同時に申し込む
滞納履歴と申込書の不備の他にも、審査に落ちてしまう理由として多いのが、複数のカードを同時に申し込むことです。
審査に不安だからという理由で、同時に複数枚のカードを申し込む方がいます。
しかしこのようなことで、クレジットカード会社は、
と疑いをかけるのです。
実際に、クレジットカードの限度額をギリギリまで利用した後に、連絡が途絶えた事例も少なからず存在します。
同時に、複数枚の申し込みをしてはいけないという決まりはありませんが、良い印象を与えるものではないため、これについては必ず避けて申し込むようにしましょう。
コーポレートカードとビジネスカードの違いを理解して効果的に利用しよう
今回は、コーポレートカードが何かについてご紹介しました。
一見同じに見えても、追加カードの発行枚数など細かいところに違いがあるため、現状はもちろん今後の経営ビジョンも見据えてどの法人カードを選ぶか判断する必要があります。
正しくビジネスカードとコーポレートカードの違いを見極め、自分のビジネスに最適な法人カードを選びましょう!