キャリアアップ助成金が受け取れるまでの流れ!申請方法や対象者の条件は?

キャリアアップ助成金が受け取れるまでの流れ!申請方法や対象者の条件は?

キャリアアップ助成金は有期契約労働者など、正規雇用労働者ではない労働者のスキルアップや正規転換などに活用できる助成制度です。

ただし、申請に至るまでには、守らなくてはいけない点がいくつかあります。

これらを適当にしていては、キャリアアップ助成金が支給されることはないでしょう。

ここでは、キャリアアップ助成金に関する以下のような疑問にわかりやすく答えていきます。

  • キャリアアップ助成金にはどんなコースがあるの?
  • 受給対象の条件はなに?
  • いくら支給されて、いつ受け取れるの?
  • 申請方法や流れは?
  • 申請を通すためにすべきことは?

ではまずは、キャリアアップ助成金の基礎知識から理解していきましょう。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、企業内にて非正規雇用労働者のキャリアアップなどを促進するために実施されている助成金のことです。

非正規雇用から正規雇用への転身や、人材育成など、非正規雇用労働者の処遇改善を目的としており、厚生労働省より返済不要で支給されています。

キャリアアップ助成金のコースと支給額

キャリアアップ助成金のコースと支給額

キャリアアップ助成金にはいくつかのコースが用意されており、それぞれで支給額が異なります。

ここでは3つのコースの概要と支給額をご紹介します。

正規雇用等転換コース

「正規雇用等転換コース」とは、非正規雇用から正規雇用への転換または直接雇用、有期契約労働者から正規雇用などに転換した場合に支給される助成金です。

1人あたりの支給額 1年度1事業所あたりの上限人数 対象者が母子家庭の母もしくは父子家庭の父である場合の加算額
中小企業 大企業 中小企業 大企業
有期雇用→正規雇用 40万円 30万円 10人 15人 10万円
有期雇用→無期雇用 20万円 15万円 10人 10人 5万円
無期雇用→正規雇用 20万円 15万円 10人 15人 5万円

人材育成コース

「人材育成コース」とは、有期契約労働者などに以下の訓練を実施した場合に助成されます。

訓練実施の条件
  • 一般職業訓練:実施期間が1年以内のOff-JT
  • 有期実習型訓練:ジョブカードを活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6ヶ月の職業訓練
  • 中長期的キャリア形成訓練:厚生労働大臣が専門的・実践的な教育訓練として指定した講座(Off-JT)

■ Off-JTとは:

研修や座学、グループワークなどで業界知識やビジネス知識などを学ぶこと。

 

■ OJTとは:

Off-JTで学んだことを職場で実践し行うトレーニングのこと。

Off-JTでの支給額

■ 賃金助成

1人1時間あたり中小企業800円大企業500円

■ 経費助成
一般職業訓練・有期実習型訓練 中長期的キャリア形成訓練
中小企業 大企業 中小企業 大企業
100時間未満 10万円 7万円 15万円 10万円
100時間以上

200時間未満

20万円 15万円 30万円 20万円
200時間以上 30万円 20万円 50万円 30万円

OJTでの支給額

■ 実施助成

1人1時間あたり中小企業・大企業問わず700円

※支給限度額は1年度1事業所あたり500万円まで

処遇改善コース

「処遇改善コース」は、すべての有期契約労働者などの基本給の賃金テーブルを3%増額した場合助成されます。

1人あたりの支給額
中小企業 大企業
1万円 7500円

※1年度1事業所あたり100人まで

職務評価を用いた場合は、1事業所あたり中小企業10万円大企業7.5万円加算されます。

健康管理コース

「健康管理コース」は、有期契約労働者を対象とした「法定外の健康診断制度」を新しく規定し、4人以上実施した場合に助成されます。

支給額は、1事業所あたり中小企業40万円大企業30万円で、1回のみの支給となっています。

短時間正社員コース

「短時間正社員コース」は、短時間正社員制度を規定して、労働者を短時間正社員に転換した場合、もしくは短時間正社員を新たに雇った場合に助成されます。

支給額は1人あたり中小企業20万円大企業15万円です。

上限は「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」と合計して、1年度1事業所あたり10人までとなっています。

なお、対象者が母子家庭の母もしくは父子家庭の父だった場合は、1人あたり10万円が加算されます。

短時間労働者の週所定労働時間延長コース

「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」は、週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者などを、週所定労働時間30時間以上に延長した場合助成されます。

支給額は1人あたり中小企業10万円大企業7.5万円です。

上限は「短時間正社員コース」と合計して、1年度1事業所あたり10人までとなっています。

キャリアアップ助成金を受給する際の要件

キャリアアップ助成金を受給する際の要件

キャリアアップ助成金を受給するにあたり、いくつかの要件を満たしていなければなりません。

ここでは全コースに共通した要件についてご紹介します。

支給対象事業主について

支給対象となる事業主は、以下の要件を満たしている事業主でなければなりません。

要件
  • 雇用保険に加入した事業主である
  • 雇用保険適用事業所ごとに、有期契約労働者のキャリアアップ管理者を設置している事業主である
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長による受給資格の認定を受けた事業主である
  • 作成したキャリアアップ計画期間内に、適切にキャリアアップに取り組んだ事業主である
  • 支給申請時点で対象労働者を、事業主による都合で解雇をしていない事業主である

※天災などのやむを得ない事業によって事業の継続が困難になった場合や、責に帰すべき理由によって労働者を解雇した場合は除きます。

なお、各コースで対象となる事業主の条件については、厚生労働省によって発表されている資料を参考にすることをおすすめします

各コースの支給対象者

各コースの支給対象者

ここでは、キャリアアップ助成金の全8コースからピックアップして、支給対象となる労働者の条件についてご紹介します。

なお、詳しい条件・細かな条件については厚生労働省より正式に公表されています。

ただし、とても細かな条件を設けているコースもあるため、不明な部分は都度問い合わせることをおすすめします。

正規雇用等転換コース

以下のいずれかに当てはまる労働者であることや、そのほかにも複数の条件が設けられています。

正規雇用等転換コースの条件
  • 雇用期間が通算6ヶ月以上となっている有期契約労働者である
  • 雇用期間が6ヶ月以上の無期雇用労働者である
  • 同一業務に6ヶ月以上継続して従事している派遣労働者である
  • 事業主による有期実習型訓練を受講、修了したあ有期契約労働者など

大きな条件となっているのは、6ヶ月以上雇用されているということです。

注意
6ヶ月以下で転換しても対象労働者にはならないので注意が必要です。

処遇改善コース

有期契約労働者の基本給を3%以上増額させることで支給されます。

なお、対象となるのは、有期契約労働者を雇用している事業主です。

有期契約労働者を雇用している以外にも、賃金テーブルが作成されていること、増額改定した賃金テーブルを6ヶ月以上適用していることなどが条件となっています。

健康管理コース

健康管理コースの対象となる労働者は、以下の条件に該当する労働者です。

健康管理コースの条件
  • 無期雇用ではない
  • 1週間あたりの所定労働時間が、正規雇用労働者の4分の3以上ではない
  • 健診受診日に雇用保険の加入者である
  • 支給申請美に離職していない
  • 社長や取締役などの3親等以内の親族ではない

短時間正社員コース

短時間正社員コースで対象になるのは、

  • 1週間あたりの所定労働時間を増加させる前日より6ヶ月間
  • 社会保険加入者ではなかった有期契約労働者

となります。

また、1週間あたりの所定労働時間の増やした時間よって、基本給の増額も条件となっています。

ほかにも、社長や取締役などの3親等以内の親族ではないことも条件のひとつとなっています。

キャリアアップ助成金を受給できない事業主とは?

じつはキャリアアップ助成金の受給条件を満たしている事業主であっても、一部受給できない事業主がいます。

以下の条件に当てはまる事業主は、審査を通過することができません。

審査に通過できない事業主
  • 助成金の不正受給をして3年以内である
  • 支給申請した日の前年度よりも前に、労働保険料を納めていない
  • 支給申請申請日前日から過去1年間、労働関係法令違反を犯している
  • 暴力団との関わりがある
  • 風俗関連業(性的なサービスを行う飲食店も含む)や、これらの営業を一部を受託している

ほかにもいくつか条件がありますが、基本的にきちんと法令を守って営業しているのであれば問題ありません。

ただし、法令を守り適切経営されていても、風俗関連業である場合は、キャリアアップ助成金は無条件で受給できません

キャリアアップ助成金を受け取れるまでの流れ

キャリアアップ助成金を受け取れるまでの流れ

キャリアアップ助成金を受け取れるまでの流れは、人材育成コースとそれ以外のコースで大きく異なります。

人材育成コースでは、訓練を行うことおよびあいだにジョブ・カードセンターが介入することで、それ以外のコースとで流れが変わってきます。

人材育成コースの流れ

  1. キャリアアップ計画を作成し、労働局・ハローワークに提出する
  2. 訓練計画届を作成する
  3. 訓練計画届を提出し、労働局・ハローワークにて訓練計画届の確認を行う
  4. 訓練を実施し、労働局・ハローワークにて訓練実施状況の確認が行われます。
  5. 支給申請をし、支給審査後に支給が決定する

手順2の補足

有期実習型訓練を行う場合は、訓練対象者にジョブ・カードの交付が必要となります。

ジョブ・カードの交付および、キャリアコンサルティングはハローワークもしくはジョブ・カードセンターにて実施しています。

手順4の補足

ジョブ・カードセンターにて、訓練実施に関する相談や援助が行われます。

人材育成コース以外の流れ

  1. キャリアアップ計画を作成し、労働局・ハローワークに提出する
  2. キャリアアップを実施する
  3. 支給申請をし、支給審査後に支給が決定する

申請してからの流れとかかる期間

キャリアアップ助成金の申請をすると、労働局・ハローワークより審査が開始します。

なお、審査結果の連絡は約3~4ヶ月ほどかかり、さらに助成金が支給されるまで3~4ヶ月ほどかかります。

合計で6ヶ月以上の期間が必要となり、長期的な計画を行う必要があります。

キャリアアップ計画書とは?

キャリアアップ助成金を申請するためには、まずはキャリアアップ計画書を作成しなければなろません。

キャリアアップ計画書とは、企業においてどのくらいの期間でどのようなプランで、労働者のキャリアアップを行っていくのかということを記入したものです。

なお、キャリアアップ計画書は、キャリアアップが行われる前(正規雇用等転換コースの場合は正規雇用などに転換する前)に、提出を済ませておかなければなりません。

また、審査通過後の支給申請に関しても、各コースで申請するタイミングが異なるため、よく確認をしておきましょう。

ちなみに、キャリアアップ計画書の申請様式は厚生労働省のホームページにてダウンロード可能です。

注意

順序を間違ってしまうと、申請が通らずキャリアアップ助成金を受け取ることができなくなるため注意が必要です。

確実にキャリアアップ助成金の申請を通すためには?

確実にキャリアアップ助成金の申請を通すためには?

細かな条件などが設けられているキャリアアップ助成金の申請を確実に通すためには、下準備をしておくこと、そして必要な書類を揃え、提出期限をしっかり守ることが大切です。

とくに、キャリアアップ計画書などの必要書類の提出期限を守ることと、書類提出から実施の順番を守ることは非常に重要です。

注意

1日でも順番が前後したり、期限を過ぎてしまった場合、キャリアアップ助成金の受給はできなくなりますので注意しましょう。

キャリアアップ助成金には申請期限もある

キャリアアップ計画書の提出期限もそうですが、助成金の申請についても期限が設けられています。

たとえば、「正規雇用等転換コース」の場合では、計画を実施したのちに正社員として登用するでしょう。

その後、6ヶ月分の給与を支払い終えた次の日から2ヶ月以内に、キャリアアップ助成金の申請は行わなくてはなりません。

これは非常に重要なことなので、メモやカレンダーに書き込むなどして忘れないようにしておきましょう。

もし仮に忘れてしまえば、これまでの苦労が水の泡となります。

申請に間に合っても書類に不備があると?

仮に申請に間に合ったとしても、その提出書類に不備があれば、再提出を求められることもあります。

また場合によっては、追加で書類が必要となったりと手間が増えることにもなります。

それだけならまだいいですが、内容に事実と異なる点があった場合や給与のズレ、保険加入がなされてないことが発覚すれば、当然助成金の支給もされません。

申請が認められるまでには、厳しく内容をチェックされますので、正しい内容で提出書類は用意するようにしましょう。

キャリアアップ助成金のスケジュール管理は徹底的に

すでにお分かりのとおり、キャリアアップ助成金では、期限や順序に対してかなり厳しめです。

また、キャリアアップ計画書の作成から申請に至るまでには、長い期間を要します。

これらを踏まえると、助成金の検討をしている段階で、申請までのスケジュールを明確に洗い出しておく必要があるといえるでしょう。

どのステップも細かく丁寧に行わなくてはなりません。

それでも不安なら専門家に相談

やはり確実に申請を通すためには、申請前に、

  • 厚生労働省やハローワークなどのホームページを確認すること
  • 不明点は都度担当窓口にて相談をすること

がおすすめです。

受給条件を満たすためには、長い月日が必要となるため、社会保険労務士に相談することもおすすめです。

じつは厚生労働省管轄の助成金申請は、社労士の独占業務なのです。すなわち社労士はキャリアアップ助成金の専門家ということです。

専門家に相談することで、雇用環境が適切かどうかを判断してもらえるうえ、改善すべき点や不明点、不安点の解決などが可能となるため、申請が通りやすくなるでしょう。

キャリアアップ助成金でよりよい労働環境に!

キャリアアップ助成金は、企業の労働環境をよりよくするための助成金です。

賃金がアップし、従業員のスキルやキャリアもアップすることで、より生産性を向上することができるようになります。

ただし、助成金を活用するのであれば、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。

それなりに踏む手順も多いですから、期限や書類不備が起きないような工夫をしていきましょう。

その点がクリアできれば、キャリアアップ助成金は、人材育成の面でも財務の面でも心強い味方となります。

実際に手をつける際は、ここで紹介したことを再度確認し、丁寧にステップを踏むようにしてください。

賃金アップが困難で悩んでいる事業主や、より環境をよくしたいと思っている事業主はぜひ、キャリアアップ助成金を活用してみてはいかがでしょうか。

 

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