法人の作り方の手順とは!事前準備や登記後に行うべきことも

法人の作り方の手順とは!事前準備や登記後に行うべきことも

法人として事業を開始したいと考えた際、法人の作り方はどのようにすればいいのかについて、迷う方は非常に多いものです。

またその手順を疎かにしているために、各工程で躓いてしまうこともあれば、登記後に予期せぬトラブルに巻き込まれる要因にもなるでしょう。

ここではそういった事態にならないよう、法人の作り方手順に焦点を合わせ、以下の疑問にわかりやすく答えていきます。

  • 会社設立は本当に必要か
  • 会社設立前にはどんな準備をしておくべきか
  • 定款の作成の仕方が知りたい
  • 法人の作り方や流れは何か
  • 登記後にすべきことはなにか

事業でスムーズにスタートを切るためにも、ここで紹介する内容をぜひお役立てください。

では早速みていきましょう。

会社設立は本当に必要かを再確認しよう

この記事を読んでいる方は、すでに法人設立することが確定している方が大半でしょう。

しかし本当に法人設立をするべきかについて、再度確認するようにしてください。

それで問題がなければ、次に進むようにしましょう。

ここでは、法人設立することのメリットとデメリットについて紹介しておきます。

HINT

法人格にはいくつか種類があるものです。

この点についても、明確な理由がなく法人格を選んでいる方は、まずは以下の記事を参考に法人格の種類を決めていきましょう。

法人の種類と特徴を理解しよう!それぞれの比較と注意点も紹介法人の種類と特徴を理解しよう!それぞれの比較と注意点も紹介

法人設立のメリット

まずは、法人設立することのメリットから紹介していきます。

法人設立のメリットには主に以下の4つが挙げられるでしょう。

  1. 個人事業主とくらべ社会的な信用がつく
  2. 節税する手段が増える
  3. 法人の種類によっては有限責任になる
  4. 社会保険へ加入できるようになる

法人設立して一番のメリットとなることは、社会的な信用度が上がることでしょう。

取引先の新規開拓時はもちろん、金融機関から融資を受ける場合でも、個人の時と比べ有利になります。

特に取引相手を新規開拓する場合では、そもそも法人でないと取引しないという企業も存在しますので、取引幅が広がることは大きなメリットとなるでしょう。

また節税面については、計上できる経費の幅が広がるため、個人の時では計上できなかったものについても計上できるようになります。

所得税についても、所得額によっては最大で40%となりますので、年間500万円以上の所得となる場合では、法人設立してしまった方が税金が安くなるケースもあるでしょう。

法人設立のデメリット

次にデメリットについてみていきます。

法人化するにあたってネット上では、良い事ばかりの情報を多く見かけますが、反面でデメリットも当然ながらあります。

具体的なデメリットについては、次の4つです。

  1. 法人住民税として赤字でも毎年7万円がかかる
  2. 源泉徴収の納付など会計処理が複雑になる
  3. 定款で決めた役員報酬の額は1年間は変更できない
  4. 社会保険への加入義務がある

基本的に設立したばかりの企業では、資金に余裕はなく1円でもコストは抑さえたいと考えるものです。

しかし、「1」と「4」を見ていただくとわかる通り、「毎年」「毎月」と必ずかかってくる費用というものもあります。

特に社会保険への加入義務については、個人事業主の場合で、

  • 特定の業種
  • 従業員の人数が5人以上

の場合に限り、加入義務となっていますが、法人化した場合では、代表一人であっても加入義務が発生します。

これは従業員を雇えば雇うほどかかるコストなので、売り上げが安定していない場合では、無視できないデメリットとなるでしょう。

まずは準備!法人設立に向けて

まずは準備!法人設立に向けて

まず法人を設立するためには、それなりの準備が必要です。

また、ここで紹介する内容を事前に準備しておくことで、設立をする際もスムーズにいくようになりますので、ひとつずつしっかりと準備しておくようにしましょう。

では早速、順に紹介していきます。

準備①:事業計画書の作成

まず事業計画書とは、新規事業を軌道に乗せるための計画を、図などを使用しながら具体的にわかりやすくまとめたものをいいます。

その記載内容としては、主に以下のような項目があるでしょう。

事業計画書の記載内容
  • 事業目的
  • 市場・競合分析
  • 事業の成長戦略と具体的な実行方法
  • 売上げ推移表
  • 事業における財務計画

これらの項目が記載された資料を作成することで、自身のビジネスプランをより具体的なものにし、資金面で必要となる額をより明確化することが可能です。

また、後に資金調達をする場合や人材確保をする際にも、この事業計画書は良い説明資料となりますので、法人設立する際は、事前に作成しておくことをおすすめします。

実際に事業計画書を作成する際は、以下の記事その作り方について詳しく紹介していますので、参考にしながら作成してみましょう。

事業計画書の書き方!融資を受けられる確率をアップさせるには?事業計画書の書き方!融資を受けられる確率をアップさせるには?

準備②:定款に記載する事項の決定

法人を設立するための提出資料として、定款というものが存在します。

定款とは、簡単にいうと「会社における憲法」のようなもので、会社はこの内容に沿って事業を運営していく必要があります。

また、「会社の憲法なら自由に作成できる」というわけでもなく、あくまでも会社法に準じた内容でなくてはなりません。

さらに、この定款には発起人全員の「署名・押印」が必要となります。

そのため内容については、発起人が複数人いる場合、各自が納得できる内容とする必要があるでしょう。

定款に記す具体的な内容については、後に詳しく紹介していきますので、ここでは定款の概要について理解しておけば問題ありません。

準備③:各種印鑑の作成

法人を設立するとなれば、当然会社名についても決定するでしょう。

その決定をした段階で、会社にとって必要な印鑑の作成をするようにしてください。

具体的な印鑑の種類については、以下に紹介しておきますので、参考にしてみましょう。

  1. 代表者印(会社名と代表者印が刻印された丸印)
  2. 社印(社名のみが刻印された角印)
  3. 法人銀行印

これらの印鑑は、法人設立の手続きをする際にも必要となってきます。

そのため、早い段階で作成しておき、時間にゆとりを持つようにしておくことが大切です。

法人印鑑おすすめ15社を比較!会社の印象をも左右する法人印の選び方は?法人印鑑おすすめ15社を比較!会社の印象をも左右する法人印の選び方は?

準備④:各発起人の印鑑証明書の用意

法人設立を行う手順の中では、定款を認証してもらう際の公証役場と、法人登記を行う際の法務局の2箇所に印鑑証明書を提出する場面があります。

その提出では、各発起人の印鑑証明が必要となりますので、各自で住民票のある市区町村役場にて、印鑑証明書2通を発行しておきましょう。

注意

ただし合同会社などの場合、定款認証は行う必要がありません。

また、登記時で必要となる印鑑証明書は、代表社員のみとなります。

そのため合同会社などでは、「印鑑証明書は代表者の1通だけ」となりますので、株式会社の場合と混同しないようにしましょう。

準備⑤:資本金の用意

法人として事業を行うためには、ある程度の資金が必要となります。

資本金とは、その資金のことをいい、事業以外に使用することは認められていません

この資本金は、法人設立の際に払い込みをしなくてはならないため、事前の準備が必要です。

準備⑥:会社設立費用の用意

法人の種類にもよりますが、その設立手続きにはあらゆる工程で費用が掛かるものです。

ここでは、代表的な法人格として「株式会社」と「合同会社」を例に、具体的にどのような費用を用意しておくべきなのかについて、表を用いて紹介しておきます。

では早速、確認していきましょう。

株式会社の場合 合同会社の場合
収入印紙代 4万円

※電子定款:不要

4万円

※電子定款:不要

定款認証手数料 5万円
定款謄本作成手数料

※謄本1ページ:250

約2,000円
登録免許税 15万円~

※資本金額の1000分の7

6万円~

※資本金額の1000分の7

合計 約24万2,000円 約6万

法人の定款作成前に決めておくべきこととは

法人の定款作成前に決めておくべきこととは

ここでは、法人設立に必要な書類のひとつである定款において、作成する前に事前に決めておくべきこととは何か、またその決め方や注意点についても紹介していきます。

また合同会社の設立では、公証役場での定款認証を行う必要がないため、ここでの定款提出もありません。

ただし、法人登記の際には定款が必要となりますので、このステップは飛ばさず行うようにしてください。

会社名(商号)はどうするか

会社名は、

なんでも好きなように決めていい!

というわけではありません。

また会社名によっては、不正競争防止法などに抵触する可能性もあるでしょう。

そういった可能性のある会社名については、どんなに考え抜いたものであっても、それは使用することができません。

では、

どういったことに気を付ければいいのか

についてですが、それらは以下にまとめておきますので、会社名を決定する際には再度確認するようにしてください。

会社名検討時の確認事項
  • 有名企業の社名と同一名でないか
  • 同一所在地に同一名ではないか(法務局の商業調査簿で確認する)
  • 株式会社や合同会社などの法人の種類を記載しているか

事業目的は何か

定款には法人設立後、どのような事業を行う予定なのかを記載しなくてはなりません。

たとえば、何かを販売予定であれば「○○の販売」となりますし、サービス提供するのであれば「○○サービス業」となるでしょう。

また、その際に気をつけなくてはいけない点として、あれもこれもと事業予定がない内容まで、記載しないようにしましょう。

多岐にわたって事業目的を記載し過ぎた場合、何をしている会社なのかが不明瞭となり、融資の際など審査員に疑念を抱かせる原因にもなります。

事業目的は、行う予定のあるものだけに絞りましょう。

事業年度はどうするか

まず事業年度を締めくくる決算日は、法人設立日から1年以内であれば自由に設定することが可能です。

ただし自由とはいっても、決算日は法人の設立月から翌年の前月末に設定するのが良いといえるでしょう。

この点の説明ですが、まず資本金が1,000万円を超えていない企業の場合では、法人設立から2期目まで(最大2年間)は消費税が免税となります。

しかし、法人設立日から最初の決算日までの期間が極端に短い場合、免税期間である最大2年間の恩恵を受け損ねてしまいます。

具体例

法人設立が3月1日で決算が同月の末日だった場合、1期目は1ヶ月のみとなり、2期目と合わせても13ヶ月のみとなってしまいます。

本来、消費税の免税は最大2年間ですから、この具体例では11ヶ月分も免税期間が短くなってしまうということです。

また決算月は、業務が忙しくなく売上げが落ち着く時期に設定すべきです。

決算処理では、書類作成などで多くの時間を割くため、繁忙期を決算月としてしまえば、当然業務への負担も増えることとなります。

そういったことにならないよう、事業年度の開始月は決算月から逆算して決めることが大切です。

本店所在地はどこか

定款には本店所在地を記載しますが、まず注意したいのがバーチャルオフィスを予定している場合となります。

バーチャルオフィスは、実在している事務所を借りているわけではないため、法人口座開設をする際に、実在している事務所を本店所在地としている企業と比べ、信用面で劣るケースもあることを理解しておきましょう。

また、賃貸契約の自宅を事務所として利用する場合でも注意点があります。

賃貸の場合では、法人登記をする際、貸主から事前に許可を受けているかの確認をされることもあります。

そのため、賃貸契約の自宅を本店所在地に記載したい場合は、法人登記してもよいのかについて、事前に許可をとる必要があるでしょう。

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資本金額はいくらか

新会社法が施行される前では、法人設立に資本金1,000万円が必要でした。

現在では1円からでも設立できることはご存知の方も多いでしょう。

しかし、あまり費用を掛けたくないからと、資本金額を極端に少額にしてしまうことは避けるべきです。

というのも、資本金額は会社の信用度を計るモノサシとして見ている企業も少なくないため、その金額があまりに少額では、法人口座開設はもちろん、取引先を新規開拓する際にも、信用は得られにくくなります

資本金額は少なくとも数十万円にしておく必要があるでしょう。

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株式会社設立の場合は

株式会社の場合では、定款に記載する内容として、決算公告や株式にかかわる記載も必要となります。

それらの詳しい内容について、ここでは順に紹介していきます。では早速みていきましょう。

公告方法はどうするか

主に公告方法には「官報(国家の機関誌)で公告」や「日刊新聞で公告」、「インターネット上で公告」の3種類が存在し、株式会社ではこれらに対して、会社の決算情報や、会社の合併や分割などの情報についても公告することが義務付けられています。

また、どの公告を選択するかによっても費用は異なってくるものです。

ここでは、それぞれの費用について簡単に表にまとめておきますので、参考にしてみてください。

公告費用
官報で公告 1枠36,489 円~
日刊新聞で公告 安く設定されている場合でも数十万円
インターネット上での公告 自社サイトへの掲載なら無料

発行可能な株式の総数はいくつか

まず発行可能な株式の総数を決める際には、

1株あたりの金額はいくらにするか

という点を決めなくはいけません。

大体の企業では、1株1万円とするのが一般的でしょう。

また、発行可能な株式の総数の上限については、

設立時に発行する株式数 × 4

とあらかじめ決められています。

たとえば1株1万円に設定しており、設立時の資本金が100万円であった場合、発行可能な株式の総数の上限は400株となります。

このように、まずは「1株をいくらにするか」ということから決定するようにしましょう。

株式の譲渡に対し制限はあるのか

最後に株式の譲渡についてですが、まず原則として株式というものは自由に譲渡できるものです。

そのため、特に株式の譲渡に対し制限を設けていなかった場合、望まぬ人物が株主となってしまう可能性があります。

また株の保有率によっては、経営に支障をきたすことすらあるでしょう。

そうならないためにも、定款には「取締役会などで承認を受けなければ、株式の譲渡による取得はできない」というような内容を、必ず記載しておく必要があります。

安定した経営のためにも、定款作成時はそういった記載があるか、再度確認するようにしてください。

法人の作り方手順(流れ)

法人の作り方手順(流れ)

法人を設立するための準備が整ったところで、次はいよいよ法人の作り方手順について順に紹介していきます。

実際に法人を設立する際は、これから紹介する手順をよく確認しながら進めていくようにしてください。

では早速みていきましょう。

作り方手順①|定款を作成し認証の手続き

まず定款はPDFなどの電子定款とすることで、4万円の印紙代を節約できます。

また定款に記載する事項には、

  1. 「絶対的記載事項」
  2. 「相対的記載事項」
  3. 「任意的記載事項」

の3種類が存在します。

まずはその3種類が一体どういったものなのかについて、以下の表にまとめておきますので確認していきましょう。

絶対的記載事項 この事項に漏れがある場合、定款として無効となり登記申請が通らない
相対的記載事項 この事項を記載しておくことで、初めてその内容の効力をもつ
任意的記載事項 定款外で決定してもよい。

ただし、重要事項については定款に記載するのが一般的

またそれぞれの事項において、主な例をここでは紹介しておきます。

定款を作成する際は、以下の表も併せて確認しながら記載していくようにしましょう。

また公告方法については、定款に記載する義務はありませんが、記載しない場合は官報で公告するものとみなされますので、注意する必要があります。

絶対的記載事項 相対的記載事項 任意的記載事項
・   事業目的

・   社名(商号)

・   本店所在地

・   資本金額

・   発起人の氏名、または名称及び住所

・  発行可能株式総数

・   設立費用

・   現物出資

・   財産引受

・   発起人の報酬

・   株式の譲渡制限

・   公告方法

・   定時株主総会の召集時期

・   基準日

・   事業年度に関する規定

・   取締役、監査役の数

次に作成した定款は、不当なものでないことを公証役場の公証人に証明してもらわなくてはなりません。

その作業のことを「定款の認証」と一般では呼ばれています。

また、その際に必要となる書類については以下にまとめていますので、認証時には忘れず用意しておくようにしましょう。

定款認証に必要な書類
  • 定款3通(自社用・公証役場保管用・謄本用)
  • 発起人全員分の印鑑証明書(3ヶ月以内に発行のもの)
  • 収入印紙;4万円(電子定款の場合は不要)
  • 定款認証手数料:5万円
  • 定款謄本作成手数料:約2,000円

作り方手順②|資本金の払い込みと払込証明書の作成

定款の認証が完了すれば、次に行うべきは資本金の払い込みと払込証明書の作成となります。

また、この払込証明書についても、法人登記をする際に必要となる書類ですので、しっかりと作成するようにしましょう。

ではそれぞれの手順について、順に詳しく紹介していきます。

資本金の払い込み

まず、資本金の払い込みを行う口座についてですが、複数の発起人がいる場合では、代表者の個人口座にまとめて払い込みをする必要があります。

また払い込みが完了した段階で、通帳に記帳を行い、以下に紹介する3点の通帳コピーを取るようにしましょう。

これらは、払込証明書の作成で必要となります。

通帳のコピー箇所
  • 表紙
  • 表紙の裏
  • 払い込み記録が記載されたページ

払込証明書の作成

払込証明書の内容については、以下に挙げる項目を記載するようにしましょう。

払込証明書の記載項目
  • 払い込み金額の総額
  • 払い込み分の株数
  • 1株あたりの払込金額
  • 払い込み完了日付
  • 本店所在地
  • 会社名(商号)
  • 代表者氏名

上記項目を記載した払込証明書には、

  • 「代表者名の右側」
  • 「払込証明書の左上」

に、代表者印での押印を忘れずしておいてください。

またこの際の代表者印は、個人のものではなく、会社の代表者印となります。

払込証明書が完成したら、通帳のコピー3枚と重ね合わせ、左端の2か所をホチキスで留めましょう。

最後は各ページの綴り箇所に、代表者印で割印をして完了となります。

作り方手順③|登記の書類を作成し申請

まず登記書類の作成ですが、これは法務局の公式HPで登記の申請書様式が公開されています。

この申請書様式では、登記申請書に添付すべき書類についても明記されていますので、設立したい法人の種類に合わせて、事前によく確認するようにしましょう。

※参考:法務局(商業・法人登記の申請書様式)

また法人を登記申請する方法には、主に以下の3つの方法があります。

  1. オンライン(登記・供託オンライン申請システムを利用)での提出
  2. 電磁的記録媒体(CD-R,DVD-Rなど)で郵送か持参による提出
  3. 法務局へ出向き、申請書に記入して提出

上記の「登記・供託オンライン申請システム」を利用するオンライン申請の方法についても、法務局の公式HPにてその使用方法が詳しく解説されていますので、オンライン申請を希望する際は、まずその使用方法について確認するようにしましょう。

参考:法務局(法人登記のオンライン申請について)

法人の登記後は行政などへ届け出が必要

法人の登記後は行政などへ届け出が必要

法人登記の申請をしてから、10日程度経過しても法務局から連絡がなければ、法人登記は無事完了したこととなります。

オンラインで登記申請した場合では、手続きの完了状況をオンライン上で確認することも可能です。

ここまでくれば、あとは事業を行う上で必要な届け出を、行政などへ提出するのみとなります。

その際に登記事項証明書」や「代表者印の印鑑証明書」が必要となりますので、法務局かオンライン請求で、最低でも3部ずつ発行してもらうようにしましょう。

また各種届出は種類も多く、多少面倒に感じるかもしれませんが、非常に重要な作業ですので、最後までしっかりと行うようにしてください。

税務署に提出するものとは

まず、税務署に提出すべき届け出や申請書は、以下のような書類となっています。

また法人設立届出には登記事項証明書が必要となります。

税務署に提出する書類
・  法人設立届出

・  青色申告承認申請

・  給与支払事務所等の開設届出

・  源泉所得税の特例承認に関する申請

・  棚卸資産の評価方法の届出(任意提出)

・  減価償却資産の償却方法の届出

年金事務所に提出するものとは

次に、年金事務所に提出すべき書類は下表のようなものとなり、「健康保険・厚生年金保険」にかかわる新規適用届は、代表者1人の企業であっても提出の義務があります。

年金事務所に提出する書類
・  新規適用届

・  被保険者資格取得届

・  被扶養者(異動)届(役員や従業員に家族がいる場合)

地方公共団体に提出するものとは

地方税の関係で、都道府県と市区町村それぞれへ「法人設立届出書」を提出必要があります。

また提出期限については、東京23区に本店所在地がある場合は、会社設立より15日以内が期限となり、それ以外では1ヶ月以内であることにも注意しておきましょう。

会社設立の相談を専門家にしてみるのも手

会社設立の相談を専門家にしてみるのも手

これまで、法人の作り方の手順やそれについて紹介してきましたが、「やっぱり難しそう」、「時間がない」という方におすすめの方法があります。

それは、専門家に相談することです。

専門家に頼ることで、事業に集中することもでき、難しいことはやらなくて済みます。

そこでこちらでは、会社を設立する際に頼ることができる専門家について、4つ紹介していくので参考にしてみてください。

それでは見ていきましょう。

「行政書士」に相談してみる

まず、1つ目に紹介するのは行政書士です。

行政に関連していることを専門としているため、許認可を取らなくてはならない旅行業や不動産業、建築業や酒屋などの業種の方は頼るといいでしょう。

具体的に、どんなことを頼むことができるのかというと、許認可を必要とする手続きについてや定款作成です。

実際に、自分で調べて許認可を取得することができずに、開業までに時間がかかった例もあります。

そういったことを避けるためにも、行政書士をうまく頼って、円滑に手続きを進めるといいでしょう。

「社会保険労務士」に相談してみる

次に紹介する社会保険労務士は、各種保険関連や年金に精通している士業となります。

また助成金や補助金について精通している方も多いため、法人設立時に利用できるものがないかを相談するのもいいでしょう。

とはいっても、普段社会保険労務士は、法人設立の代行を主にこなしているわけではありません。

つまり、設立時に利用するというよりは、設立後の手続きを効率良く進めるために、社会保険労務士と協力するのが良いということとなります。

「司法書士」に相談してみる

法人登記を行いたいのなら、司法書士の方に相談するのが最も適しているかもしれません。

というのも司法書士の方は、法人登記における手続きのほとんどに精通しているため、自分で行う作業もグッと減らすことができるためです。

また法人登記を代理申請できるのは、司法書士の資格を持つ方のみ

つまり、「法人登記の手続きがわからないからすべて任せたい」というのであれば、司法書士が最も適したパートナーとなるわけです。

「税理士」に相談してみる

最後に紹介するのは、税金関係に最も精通した税理士

税理士の方にお願いするとなれば、経営者でも割と苦手に思う方が多い、税金関係の書類作成や提出を代行を一手に引き受けてくれます。

とはいえ法人登記についてや定款の作成などには、さほど強いとは言えないため、「他の士業に別途依頼しなくてはいけない」といったこともあるかもしれません。

そうなれば、会社設立時にかかるコストは、さらに膨らんでしまうでしょう。

では税理士は、どういった時に協力してもらうべきかという点ですが、それは会社設立後となります。

税理士の方の強みは税金や会計周り

つまり、経営していくと避けては通れない会計処理の代行や資金調達の相談を親身なって行ってくれる、経営のパートナーとなるわけです。

もちろん節税への知識も有しているため、財務の健全化を図る上でも心強い味方となってくれるでしょう。

もっと簡単に法人を作りたいならこんな無料サービスも

ここまで読んでくれた方の中には、これまで紹介してきた専門家たちに相談する費用がネックとなっている方も、少なからずいるでしょう。

そういった方も、まだあきらめる必要はありません。

というのも、最近では法人設立を簡略化できる無料のサービスもあり、必要情報を入力をするだけで設立に必要な書類をサッと作れてしまうのです。

またこうしたサービスの大半は、わかりやすく順を追って進めてくれるため、専門家を頼らないのならせめてこういったツールで効率化を図るべきでしょう。

法人設立の書類作成ツールの代表例といえば、たとえば以下のようなものがあります。

どれもわかりやすいUIで、人気の無料ツールとなっていますので、サッとでも目を通しておくことをおすすめします。

法人の作り方を理解してスムーズに事業をはじめよう

ここまでで法人の作り方は以上となります。法人の準備から登記、各種届出の提出まではやることも多く、闇雲にやっていたのでは各工程で躓いてしまい、無駄に時間を割いてしまうこととなります。

しかしここで紹介した内容を参考に、法人の作り方手順を把握し着実に行っていくことで、事業を始めるまでの工程をスムーズに行えるようになるでしょう。

一歩ずつ丁寧に、登記に向けてまずは準備していってください。

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