法人印鑑証明書を取得する3つの方法とは?注意しておきたい点も紹介

法人印鑑証明書を取得する3つの方法とは?注意しておきたい点も紹介

法人印鑑証明書は、会社の設立登記や不動産の売買契約など、あらゆるシーンで提出を求められる重要書類です。

そのため、会社を経営していく上で必要なときにすぐ印鑑証明書を取得できるようにしておくことは、スムーズに物事を進めるためにも必須となるでしょう。

この記事では、印鑑登録に関する以下の疑問について、分かりやすく解説しています。

  • そもそも印鑑証明書は、どういう時に必要になるの?
  • 法人の印鑑証明書の具体的な取得方法は?
  • かんたんに取得する方法はないの?
  • あらかじめ法人の印鑑証明書について知っておくべきことはある?
  • もし会社実印などを紛失したらどうなる?

また、法人印鑑証明書を取得する際に注意しておきたいポイントもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

あらゆる場面に備えて、スムーズに法人の印鑑証明書を取得していきましょう!

どんなときに法人印鑑証明書が必要になる?

どんなときに法人印鑑証明書が必要になる?

法人印鑑証明書は、設立登記の際に必ず必要になります。

そのため会社を設立するときには、必ず印鑑登録をして、法人印鑑証明書がいつでも取得できるようにしておく必要があるのです。

設立登記以外にも、不動産売買に関連する契約や、所有権の移転登記にもこの印鑑証明書は必要となるでしょう。

また、会社を運営していくのに欠かせない法人口座開設のときや、取引先との契約で必要になるケースもあります。

個人の契約では、認印のみで完了できる契約が多いですが、法人の場合では印鑑証明書を必要とする場面が案外多いものなのです。

いずれにしても、いつでも法人印鑑証明書を取得できる状態にしておくことは、事業を円滑に進めしていくためにも必要なこととなるでしょう。

ここまでの話を踏まえ、以下では法人印鑑証明書が必要となる場面をまとめておきます。

法人の印鑑証明書が必要となる場面の例
  • 会社の設立登記
  • 不動産売買に関連する契約
  • 所有権の移転登記
  • 法人口座開設
  • 取引先との契約
  • 金融機関での融資

法人印鑑証明書の有効期限に注意しよう

法人印鑑証明書には、取得してから会社の名称や所在地を変更していなければ、有効期限はありません

しかし、基本的に取引で使用する場合は、「3〜6ヶ月以内に取得したものを使用すること」と条件が出されます。

そのため、法人印鑑証明書に期限がないからと言って、事前に多めに準備しておくのは止めた方がいいのです。

法人印鑑証明書を求められた場合は、必ず取引相手に有効期限を確認しておくようにしましょう。

また基本的に期限がない理由としては、期限を設けてしまうことで、期限切れとともに印鑑の信頼性まで失うことになってしまうためです。

さらには、契約までの交渉が長期に渡ったときに有効期限が切れてしまう可能性もあるでしょう。

そういった不都合が多くなってしまうことも、ひとつの理由になります。

法人の印鑑登録をする方法

法人の印鑑登録をする方法

法人印鑑証明書を取得するには、印鑑登録をする必要があります。

ここからは、法人印鑑証明書を取得する事前準備として、印鑑登録をする方法を解説していきます。

どんな印鑑が登録できる?

印鑑登録ができる印鑑は、大きさなどに規定があります。

大きさは1〜3cmと決まっているため、印面が直径1〜3cmの印鑑を準備しましょう。

形状は、一般的には丸か四角で作られますが、特に規定がないので楕円形や複雑な形状でも問題はありません。

注意

ただし、一般的には丸や四角の形状以外は使われないため、複雑な形状の印鑑を使う場合は、管轄の自治体に確認しておきましょう。

印面は2層に分かれており、外周には会社名が彫られます。

内側には、

  • 株式会社、有限会社:「代表取締役印」
  • 合資会社、個人経営:「代表者印」

と彫刻します。

書体は、なるべく複雑なほうが偽造しにくくなります。

一般的に使用されるのが、複雑で偽造されにくい篆書体吉相体です。

Tips

また、個人で銀行印などにキャラクターを彫刻するのが流行しましたが、法人ではキャラクターが彫刻された印鑑は登録できません

今後長い付き合いになる印鑑なので、きちんとした形で印鑑を作成しましょう。

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印鑑届書を法務局に提出する

実印として使用する印鑑を作成したあとは、印鑑届書を法務局に提出します。

印鑑届書は法務局の窓口で貰うか、法務省のサイトからダウンロードできます。

印鑑届書には、

  • 商号(会社名)
  • 本店の住所
  • 代表者の氏名

などを記載し、実印に登録する印鑑を押印します。

記載する項目は、必ず設立登記する内容と同じにする必要があります。

POINT

また、押印は鮮明に確認できるようにしないと、提出を再度やり直すことになるので、しっかりと押印しましょう。

印鑑カードの交付

印鑑届書を提出すれば、実印の作成は完了ですが、印鑑証明書を取得するためには印鑑カードが必要です。

法務局の窓口、または法務省のサイト上でダウンロードできる「印鑑カード交付申請書(PDF)」を提出して印鑑カードを交付してもらいましょう。

印鑑カード交付申請書に記載する内容は、基本的に印鑑届書と同じです。

実印の押印会社の法人番号が必要になるので準備しておきましょう。

また、代理人が取得する場合は、申請書の委任状欄を記載します。

法務局の窓口に行く時間がない場合は、管轄の法務局に郵送することで申請もできます。

印鑑カードが返送されるので、返信用の封筒を忘れずに同封しましょう。

法人印鑑証明書の取得する3つの方法

法人印鑑証明書の取得する3つの方法

法人印鑑証明書を取得する方法は、

  1. 法務局の窓口で取得する
  2. 郵送で取得する
  3. オンラインで取得する

の3つの方法があります。

状況に応じて取得方法を使い分けるといいでしょう。

1.法務局の窓口で取得する

法務局の窓口で取得するのが一般的な方法で、法務局に行く時間はかかりますが、申請から取得までが最も早い方法です。

必要になるのが、以下の書類や費用です。

  1. 申請書
  2. 印鑑カード
  3. 手数料(450円)

申請書は、法務局に用意されています。

申請書に、

  • 会社名
  • 住所
  • 代表者の氏名
  • 印鑑カード番号

などを記載して、手数料分の収入印紙を貼ります。

あとは申請書を印鑑カードと一緒に提出するだけです。

混み具合にもよりますが、それほど時間はかかりません。

また、法務局の場所は全国どこでも申請できます。出張先や本社とは所在地が離れた支社でも、最寄りの法務局で取得できます。

注意

ただし、基本的に窓口は土日、祝日は利用できません

一部の自治体では、土日、祝日も受け付けていることもあるので、事前に確認しておくといいでしょう。

証明書発行請求機でも取得できる

一部の法務局には「証明書発行請求機」が設置されています。

これは、法人印鑑証明書や登記事項証明書などの申請ができるATMのような無人の機械です。

取得したい証明書を選択し、印鑑カードを読み取ると会社情報が自動で入力されます。

代表者の生年月日などは入力する必要がありますが、申請書を記入するよりも手間が省けます

あとは、呼び出されるまで待ち、窓口で印鑑カードを確認してもらい、収入印紙を貼り付けると取得できます。

申請書の記入の手間が省けるので、設置してある場合は、積極的に利用しましょう。

2.郵送で取得する

窓口に行く時間がない場合は、郵送での取得もできます。

ただし、郵送での取得は時間がかかるので、時間的に余裕があるときにしましょう。

必要になるものは、以下の書類や費用です。

  1. 申請書
  2. 印鑑カード
  3. 手数料(450円)
  4. 返信用の封筒

申請書は法務省のサイトからダウンロードできるので、窓口に行く必要はありません。

申請書に必要事項を記入し、必ず印鑑カードも封筒に同封して最寄りの法務局に送りましょう。

法務局から法人印鑑証明書が送られてくるので、返信用の封筒も忘れずに同封しましょう。

POINT

送る際は普通郵便でも問題ありませんが、事故があった場合に備えて、書留で送ることをおすすめします。

3.オンラインで取得する

法人印鑑証明書は、オンラインでの取得もできます。

事前に法務省が提供している「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールし、登録する必要があります。

また、法務局で電子証明書の取得もしなくてはいけません

事前の登録や電子証明書の取得は初回のみですが、時間と手間がかかるので、時間に余裕のあるときに行いましょう。

1度登録して取得できるようになれば、オンラインで申請し、指定した住所に郵送するか、窓口で受け取れます。

手数料は他の方法よりも少し安く、

  • 郵送で受け取ると410円
  • 窓口で受け取ると390円

となっています。

手数料の納付には、インターネットバンキング、電子納付に対応したATMでできます。

法人印鑑証明書の取得で知っておきたいこと

法人印鑑証明書の取得で知っておきたいこと

ここからは、法人印鑑証明書を取得する上で、知っておきたいことを解説していきます。

時間をかけずにスムーズに取得するために、事前に確認しておきましょう。

代理人でも取得はできる?

法人印鑑証明書は重要な書類なので、基本的には代表者か信頼のおける従業員が取得するべきですが、代理人でも取得できます。

申請書に代理人の氏名や住所などを記載するだけなので、委任状は不要です。

ただし、代表者の生年月日が必要になるため、取得の際は生年月日を忘れずに伝えましょう。

また、印鑑カードさえあれば取得できるので、代表者の家族や会社に無関係の第三者でも取得できます

つまり、印鑑カードを渡す行為が「法人印鑑証明書を取得することを任せる」ということになります。

委任状は不要ですが、印鑑カードを渡した時点で委任していることになるので、不用意に信用できない人物には印鑑カードを渡さないように注意しましょう。

法人印鑑証明書の取得は法務局のみ

個人の印鑑証明書は、自治体によって異なりますが、役所やサービスセンターなどで取得できます。

マイナンバーカードや住民基本台帳カードを利用すれば、コンビニでも取得可能です。

しかし、法人印鑑証明書は、「窓口・郵送・オンライン」といくつか方法はありますが、必ず法務局での手続きが必要になります。

役所やコンビニでは発行できないので、注意しましょう。

また、急に必要になった場合は、法務局に窓口に直接行くのがトラブルなく、確実に取得できる方法です。

窓口は、平日は8時30分~17時15分までしか受け付けていないので、時間にも注意しましょう。

一部を除き、基本的に土日・祝日は受け付けていません。

法人印鑑証明書の取得にかかる手数料は?

法人印鑑証明書の取得にかかる手数料は、法務局の窓口と郵送での取得は450円となっています。

納めるには収入印紙を使用するので、事前に準備しておくと取得がスムーズにいきます。

オンラインで取得する場合は、

  • 指定した住所に送ると410円
  • 指定した法務局の窓口に受取に行くと390円

です。

インターネットバンキング、電子納付に対応したATMで支払えます。

オンラインで取得するほうが手数料は安く設定されています。

初回の登録などに時間はかかりますが、時間に余裕があるときにオンライン申請の登録をしておくといいでしょう。

銀行印・角印・住所印も用意しておこう

会社で必要になる印鑑は実印の他に、目的に合わせて印鑑を用意しておくのが一般的です。

必ず必要というわけではありませんが、実印だけでさまざまな書類を処理してしまうと、紛失や盗難の際に被害が大きくなってしまいます。

リスクの分散という意味で、目的に合わせて用意しておくのがおすすめです。

実印の他には、主に「銀行印」「角印」「住所印」が使用されます。

銀行印は銀行との契約に使用し、角印は認印としてさまざまな書類に使用します。

住所印は、会社の住所や電話番号が記載された印鑑で、住所や電話番号を手書きする手間を省くために利用されます。

注意しておきたいのが、どの印鑑も法律上の効力は、どれも同じということです。

角印や住所印だからといって気軽に使っていいことにはなりません

会社を設立した際に、印鑑の運用方法について徹底するようにしましょう。

実印や印鑑カードは厳重に管理しよう

実印は、不動産関連の契約や重要な取引で使用される大切な印鑑です。

紛失や盗難がないように、金庫などできちんと管理しておきましょう。

印鑑カードも同様に厳重な管理が必要です。

特に実印と法人印鑑証明書の2つがセットになっている契約は、一度契約が完了すると無効にするのが難しいです。

同時に盗難される危険を避けるために、実印と印鑑カードを一緒に保管しないことも大切になります。

また、再度取得するのが面倒という理由で、余分に法人印鑑証明書を取るケースがありますが、悪用される可能性があるため必ず必要枚数のみ取得しましょう。

もしも、余分な法人印鑑証明書を取得してしまった場合は、すぐにシュレッダーにかけて処分してください。

法人の印鑑カードを紛失!再発行する方法は?

法人の印鑑カードを紛失!再発行する方法は?

実印は会社から動くことが少ないため、紛失の可能性は低いですが、印鑑カードは法人印鑑証明書を取得するたびに必要になるため、紛失する可能性もあります。

万が一、会社印鑑に関するものを紛失した場合は、悪用される危険性もあるため、速やかに対処をしていきましょう。

紛失に気がついたら

紛失に気がついたら、まず「印鑑・印鑑カード廃止届書」を管轄の法務局に提出します。

提出すれば、紛失した印鑑カードは使用できなくなるので、悪用される心配もありません。

その後、最初に印鑑カードを交付したように「印鑑カード交付申請書」を提出して、再発行してもらいます。

もちろん、再発行には実印登録する印鑑が必要になるので、忘れずに持参しましょう。

また、実印を紛失した場合は、印鑑カードも証明するための印鑑がないため、意味を持たなくなります。

「印鑑・印鑑カード廃止届書」を提出し、印鑑と印鑑カードの両方を廃止する手続きをしましょう。

このときに、自身で用意しておくべきものをまとめておくと、以下の通りです。

自身で用意するもの
  • 本人確認書類
  • 代表者自身の印鑑
  • 代表者自身の印鑑証明書
  • 現在の会社実印
  • 新しく登録したい会社実印

会社実印や印鑑証明書を紛失してしまった場合は?

会社実印や印鑑証明書が第三者の手に渡ってしまうと、最悪の場合、複製されて悪用される可能性があり大変危険です。

この場合でも、速やかに「印鑑・印鑑カード廃止届書」を管轄の法務局に提出しておきましょう。

早めに効力を消してしまうのが、一番の対処となります。

新しい会社実印が用意できた段階で、「印鑑(改印)届出書」を法務局に提出し、改めて実印を登録しなおしてください。

このときに、自身で用意しておくべきものは、以下の通りです。

自身で用意するもの
  • 本人確認書類
  • 代表者自身の印鑑
  • 代表者自身の印鑑証明書
  • 新しく登録したい会社実印

法人印鑑証明書をスムーズに取得しよう

法人印鑑証明書は、設立登記や不動産の契約、重要な取引など、さまざまな場面で使用されます。

そんな法人印鑑証明書を、使いたいときにスグ取得できないとなれば、業務に支障をきたすことさえあるでしょう。

スムーズに業務を回していくためにも、事前に取得の方法をしっかりと把握しておくのが大切です。

もしあなたが法人を設立したばかりで、窓口に行く時間がない場合は、「郵送での取得」や「オンラインでの取得」も積極的に利用しましょう。

事業立ち上げ時は、どうしてもドタバタがつきものですが、あなたの貴重な時間をムダに圧迫する必要はありません。

できるところは、どんどん時短を目指していきましょう。

また、実印の他に銀行印や角印などを用意して、リスクを分散しておくことも忘れてはいけません。

とくに各印鑑を管理する場合は、ひとつの場所にまとめて管理するのではなく、ある程度分けておくことが大切です。

ぜひ、今回の記事を参考にして、スムーズな法人印鑑証明書の取得を目指してみてください。

それで短縮された時間は、事業拡大のために使い、ぜひ軌道に乗せていただければと思います。

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