節税効果の高い法人保険が販売停止に!その理由を分かりやすく解説!

節税効果の高い法人保険が販売停止に!その理由を分かりやすく解説!

2019年2月に国税庁が保険会社の担当者を招集し、法人が支払う保険料の経費算入について見直すことを伝えました。

それがきっかけとなり、各保険会社は次々と節税効果の大きい、いわゆる節税保険の販売停止になりました。

この記事では、なぜ今回法人保険が販売停止になったのか、詳しく解説しています。

また、

  • 次に規制が予想される保険はどういったものがあるのか
  • 保険以外で似た効果をもつ節税対策はあるのか

についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

なぜ法人保険が販売停止になったのか

なぜ法人保険が販売停止になったのか

2019年2月に、一部の法人保険が日本生命など大手の保険会社で販売停止になりました。

販売停止されたのは、節税効果の高い保険で「節税保険」とも呼ばれている保険です。

節税保険は、企業側からすると節税ができる便利な保険なのですが、国税庁からすれば税金をきちんと徴収できない原因にもなっていました。

今回国税庁から各保険会社に伝えられたのが、解約時に返戻率が50%を超える生命保険についてです。

これまでは、全額損金として認められていたところを今回の見直しで、損金の割合を抑えるという意向が伝えられました。

また、返戻率に応じて損金算入できる割合を定めるとしています。

これまでは、単純に全額損金にできていたものが、解約返戻金が最も高くなったときの返戻率に応じて損金算入の割合が変わることになります。

具体的に、どのような見直しになるかはこれから決まりますが、これまでと同じ節税目的の保険は販売できないと考えていたほうがいいでしょう。

販売停止になっているのは法人向け定期保険

今回問題となっているのが、解約時の返戻率が50%を超える「法人向け定期保険」です。

全ての法人保険が販売停止になったわけではありません。

また、今後の規制次第ですが、すでに契約した商品に関しては、影響はないでしょう。

定期保険はあらかじめ解約が決まっており、解約返戻金があれば、契約期間中は節税ができて、さらに解約時には多額の返戻金を受け取れます。

企業からすると節税効果があり、保険会社としては節税効果を売りにして商品を販売できます。

ただし、実際は支払うべき法人税を先送りにしているだけに過ぎません。

返戻金は益金として扱われるため、課税の対象になります。結局は、法人税を支払わなくてはいけないのです。

それでも企業とっては「とりあえず今支払う税金を回避できる保険」として利用されてきました。

保険会社としても、節税を全面に押し出して販売できるメリットがありました。

しかし、国税庁からすると先送りであろうと、税が徴収できないのは問題があります。

節税目的の法人保険の2つの問題

今回販売停止した法人保険には、2つの問題があります。

国税庁が問題視している「全額損金」と金融庁が問題視している「付加保険料」の2つです。

次から1つずつ解説していきます。

まずは、全額損金の問題から見ていきましょう。

全額損金が問題視されている

節税保険と呼ばれる保険は、保険料が全額損金として計上できます。

損金にできれば、所得が減るため、税金の負担が少なくなります。

保険料が1,000万円だとすると、1,000万円全てが全額損金として扱われます。

2分の1や4分の1損金になる保険と比べると、遥かに大きい金額です。

企業からすると、税金を回避できる全額損金ですが、国税庁からすれば、本来徴収できる税金を徴収し損ねていることになります。

元々は節税を目的とした保険は、少なかったのですが、一部の保険会社が節税保険を売り出しました。

そこから一気に、他の保険会社も同じように節税保険を売り出したのです。現在は販売停止になっているものの、数千億円規模の市場になりました。

国税庁は、大きな規模で当然のように節税保険が扱われている現状を重く受け止めて、今回の見直しに踏み切りました。

もう1つ、金融庁が問題としているのが、付加保険料の問題です。

次から詳しく解説していきます。

金融庁の認可対象外になる付加保険料

法人保険の商品は、必ず金融庁の認可が必要になります。

保険料や返戻率なども、金融庁がチェックしてからでなければ販売はできません。

そのため、通常は節税を目的にした不自然な法人保険であれば、金融庁の認可が下りず、作られないはずです。

しかし、付加保険料に関しては、金融庁からチェックされない仕組みになっています。

付加保険料とは、保険事業を維持するためのコストで、保険料にプラスされます。

保険会社は、自由に設定できる付加保険料を多く見積もり、損金にできる金額を増やして、節税の効果が大きいことを企業にアピールしました。

金融庁からすれば、保険の商品に関する部分以外で、あとから保険料を不当に増やされたことになります。

今回の販売停止に至るまでに、保険会社が金融庁から調査を受けて、いくつか保険商品が発売を延期したケースもありました。

過去にも法人保険が規制されたことも

実は法人保険の販売停止は、今回が初めてではありません。

過去に何度も法人保険が規制され、見直されてきました。

過去に見直された法人保険
  • 2006年 長期傷害保険
  • 2008年 逓増定期保険
  • 2012年 がん保険

上記の保険は、元々は全額損金でした。

しかし、見直しの対象になり、現在は保険料の2分の1や4分の1のみが損金として認められるようになっています。

今回の見直しに関しては、単純に対象の保険を規制するのではなく、根本から見直すものになる可能性が高いです。

保険商品の全額損金について厳しい規制がされると、今後は節税保険が登場しなくなる可能性もあります。

また、過去の規制は既契約の保険に関しては、規制の対象にはならない方針でしたが、今回はどうなるか分かりません。

可能性は低いですが、仮に既契約にも新しい規制が適用されると、節税効果を期待していた契約済みの企業にも影響が及ぶことになります。

これから規制される可能性のある法人保険

これから規制される可能性のある法人保険

今回は全額損金になる保険が対象でしたが、まだ規制される可能性がある保険はいくつかあります。

それは、

  1. 逆ハーフタックスプラン
  2. 逓増定期保険の名義変更プラン

の2つです。

あまり節税効果を期待して加入してしまうと、規制されてしまう可能性があるので、加入には十分注意しましょう。

では、1つずつどのような保険か解説していきます。

逆ハーフタックスプラン

逆ハーフタックスプランとは、死亡保険金と満期保険金の受取人が通常とは逆になっている養老保険のことです。

逆養老保険とも呼ばれています。

養老保険

養老保険は、

  • 死亡保険金の受取り対象者:被保険者の遺族
  • 満期保険金の受取り対象者:企業

になります。

 

逆ハーフタックスプラン

逆ハーフタックスプランの場合は、

  • 死亡保険金の受取り対象者:企業
  • 満期保険金の受取り対象者:被保険者

になります。

通常の養老保険では、損金として認められるのは、2分の1までです。

全額損金として扱えるもリスクが高い

しかし、逆ハーフタックスプランでは、2分の1は通常通り損金になり、残りの2分の1は役員報酬として計上します。

役員報酬は、従業員の給与と同様に損金になるため、結果として全額損金になります。

しかし、全額が損金として認められないケースも多く、リスクの高い方法となっています。

結局税金は多少なりともかかる

また、保険料の2分1を給与扱いするため、課税対象となる総給与額は増えてしまいます。

実際に役員報酬として、満期保険金を受け取るまでに支払う税金の金額は、増えていることになります。

さらに、満期になる前に解約してしまうと、元本割れになる可能性もあります。

規制を上手く回避するような逆ハーフタックスプランに関しては、規制がかかるのも時間の問題と言われています。

逓増定期保険の名義変更プラン

逓増定期保険の名義変更プランは、法人名義の保険を個人名義に変更することで、節税する方法のことです。

逓増定期保険は、満期保険金はありませんが、解約返戻率が早い段階で高くなります。

名義変更プランのなにが得?

早い段階で解約返戻率が高くなることを利用し、返戻率が最も高くなる直前に法人名義から個人名義に変更します。

名義変更の時点では、返戻率は低いため、低い金額で保険の買い取りが可能です。

その後、個人として保険料を支払い、返戻率が最も高くなった時点で、解約します。

名義は法人から個人になっているため、解約返戻金も個人が受け取ります。

会社から買取した金額と、その後に支払った保険料以上の金額を受け取れる仕組みになっています。

経営者からすると税金を回避しながら、会社の資産を自分の口座に移行できる方法です。

脱税の可能性も

しかし、国税庁側からすれば、制度を悪用した租税回避と捉えられる可能性があります。

名義変更の理由を節税以外で説明することも難しく、最悪の場合は脱税として疑いをかけられる可能性もあります。

保険会社によっては、逓増定期保険の名義変更プランを進めてくることがありますが、リスクの高い方法なので注意しましょう。

法人保険はこれからどうなる?

法人保険が販売停止になり、2019年4月現在では、まだ具体的な新しいルールが適用されていません。

今回も過去の規制と同様なら、損金として算入できる割合が2分の1になる可能性が高いでしょう。

これまで新しい保険を作っては規制される、ということを繰り返してきたため、今回も保険会社は規制されるのを予想していた可能性は十分にあります。

それは規制されたとしても、「既契約に関しては問題なし」とされていたからです。

もしも、今回の法人保険に関して、国税庁が既契約にも新しい規制を適用するとした場合、これからの法人保険に大きく影響してくるでしょう。

既契約にまで規制が及ぶ可能性は低いですが、そうなった場合は、企業側にも影響が出ます。

これから法人保険を契約するなら慎重に検討する必要があります。

法人保険の代わりになる保険はある?

法人保険の代わりになる保険はある?

販売停止した法人保険を検討していた企業にとっては、代わりの節税になる保険が欲しいところです。

しかし今回の件で、国税庁が規制に乗り出し、以前から続くイタチごっこを終わらせようとしています。

現状でリスクが少なく、節税できる保険はありません。前述したとおり、全額損金になる保険でも返戻金は益金になり、課税対象になるため、ほとんど節税効果はないです。

節税保険は、以前から当然のようにあるものなので、どの企業でも利用しています。

しかし、一般的に考えると節税保険は、税金を回避するためにある不自然な保険です。

まだ、どのような規制がされるのか発表されていないこともあるので、保険以外の方法で節税しましょう。

海外生命保険を利用する方法も

節税ではないのですが、海外生命保険は返戻率が日本の保険と比べ物にならないほど高いです。

役員の退職金や年金には、最適な保険といえるでしょう。

利回りが高い理由としては、オフショア地域と呼ばれる非課税地域に法人を置いて、税金対策をしています。

また、運用益を再投資し、複利運用をすることで大きな利益を上げています。

日本国内であまり知られていないのは、国内では金融庁が認可した商品しか販売しないためです。

日本の保険を守るためですが、富裕層を中心に海外の生命保険に加入している人も多くいます。

海外の保険会社と聞くと、信頼できるか不安な気もしますが、日本の保険会社よりも信頼度は高いと言われています。

海外の生命保険に加入するには、香港の保険代理店兼運用会社を通して申込みをする必要があります。

基本的に国内では販売されていない商品なので、規制が厳しくなり、保険金や返戻金を受け取れない可能性はあります。こういった選択肢もあると覚えておきましょう。

法人保険以外も節税対策も検討しよう

法人保険以外も節税対策も検討しよう

節税の方法は、法人保険を利用する以外にもあります。

これからどうなるか分からない法人保険で節税を考えるよりも、まずは確実にできる節税から始めていくことをおすすめします。

例えば、在庫を抱えている場合は、商品を廃棄すれば、その分税金はかかりません。

廃棄しなくても商品が破損したり、流行遅れで売れなければ、評価減を認められます。

その他にも、設備投資をする際に減税が認められる、中小企業を対象にした「特別減税制度」など、さまざまな節税対策があります。

ここでは、法人保険と似た特性を持つ節税方法や、その他の代表的な節税対策、また退職金に備える方法についても紹介しておきます。

法人保険以外で節税対策する方法は?

大きな節税というと法人保険が頭に浮かぶ方も多いですが、方法はそれだけではありません。

中小企業を対象にした共済への加入や、会社の将来のための投資という手段もあります。

たとえば共済への加入であれば、

  • 「中小企業倒産防止共済」
  • 「小規模企業共済」

というものがありますし、将来のための投資なら、

  • 「広告費」
  • 「人材を確保するための費用」
  • 「設備改善のために費用」

なども考えられます。

共済に加入する

先ほど紹介した、「中小企業倒産防止共済」「小規模企業共済」では、掛け金の扱いが法人保険と似ており、以下のようになっています。

掛け金の扱い
  • 中小企業倒産防止共済:全額損金に算入できる
  • 小規模企業共済:全額所得控除となる

またそれぞれの説明と、解約返戻率については以下のようになります。

■ 中小企業倒産防止共済

中小企業倒産防止共済とは、「経営セーフティ―共済」とも呼ばれているもので、取引先企業が倒産してしまった場合に、加入企業の被害を最小限に抑えるための制度です。

いざという時は、無担保・無保証人で借り入れすることができます。

 

※解約返戻金について

  • 納付月数が12ヶ月以上:掛け金の80%以上
  • 納付月数が40カ月以上:掛け金の全額
経営セーフティ共済の節税効果とは?見落としがちなデメリットがある!経営セーフティ共済の節税効果とは?見落としがちなデメリットがある!

■ 小規模企業共済

小規模企業共済とは、個人事業主や法人代表、また役員への退職金に備えた積み立て式の制度です。共済金の受け取りについては、分割と一括、どちらも併用の3つから選択できます。

 

※解約返戻金について

  • 納付月数が240カ月未満:掛け金の合計額未満
  • 納付月数が240カ月以上:掛け金の合計以上(最大120%もありうる)
小規模企業共済のメリットとデメリットまとめ!損をしないための方法とは小規模企業共済のメリットとデメリットまとめ!損をしないための方法とは

将来のために投資する

共済加入以外で大きく節税したいのであれば、先にお伝えした通り、大型設備の導入や広告費、人材確保という手段があるでしょう。

とくに設備投資や人材確保という面では、以下のように税額控除をできる可能性があります。

  • 設備投資の場合:中小企業経営強化税制
  • 人材確保の場合:雇用促進税制

これらの制度を活用すれば、将来のための投資をして節税にもなるため、積極的に取り入れていきたいものとなるでしょう。

またこれら以外の節税方法については、以下の記事が参考となります。

知らなきゃ絶対に損!法人・個人事業主におすすめの節税対策24選知らなきゃ絶対に損!法人・個人事業主におすすめの節税対策24選

法人保険以外で退職金に備える方法は?

法人保険を活用する理由には、役員などの退職金に備えるために加入するケースもありました。

しかし、退職金に備えるのであれば、方法は法人保険の他にもいくつかあります。

たとえば先ほど紹介した、「中小企業倒産防止共済」「小規模企業共済」でも対応は十分できますし、それ以外には「中小企業退職金共済」という手段もあります。

「中小企業退職金共済」でも、掛け金が全額損金扱いになり、退職金に備えながら節税対策ができるでしょう。

詳しくは以下の記事で紹介されていますので、検討する方は一読しておきましょう。

中小企業退職金共済とはどんな制度?メリットやデメリットを徹底解説中小企業退職金共済とはどんな制度?メリットやデメリットを徹底解説

節税の本質を見失わないように

どんな税金対策をするにしても大切なのが、

本当に節税になっているか?

という点です。

法人保険の節税対策は、厳密には税金を支払うのを先送りにしているだけになります。

なかには、

とにかく経費を使って節税しよう

と考える経営者もいますが、その方法では支払う税金は減っても会社にお金が残りません。

本当の意味で、きちんと節税できる方法を選択しましょう。

まずは、役員報酬の見直しなど、費用の掛からない節税方法から手をつけるのが一番となります。

節税目的での法人保険の加入は慎重に

節税を目的にした法人保険の販売停止について解説してきました。

節税保険は、企業側からすると、税金の支払いを先送りにできます。

保険会社側からすると節税を売りにして商品を販売できます。

企業側と保険会社側のどちらにもメリットのある取引でした。

しかし、税金を徴収する国税庁からすれば、節税保険は租税回避で、デメリットしかありません。

現在は節税できていても、これから規制されていく保険も出てくるでしょう。

節税を目的として保険に加入する場合は、慎重に検討する必要があります。

まずは、法人保険以外で節税対策を進めていきましょう。

その際は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

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