この記事はPRが含まれていますが、直接取材・調査した一次情報を元に書かれています。
インターネットが普及したことによって登場した新しい資金調達方法が、クラウドファンディングです。
従来の資金調達で多かった、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関の融資とは違ったメリットが多くあります。
この記事では、
- クラウドファンディングがどのようなサービスなのか
- メリット・デメリットには何があるのか
- 仕組みはどうなっているのか
- 税法上の扱いはどうするのか
など、詳しく解説していきます。
また、やり方も解説しているので、クラウドファンディングがどんな流れで行われるかチェックした人も、ぜひ参考にしてください。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、複数の個人から資金を調達する仕組みです。
インターネットが急速に普及したことによって、ここ数年間で一気に市場規模が拡大し、日本語に対応したサイトも多く登場しています。
銀行からの融資が難しいような、斬新なアイデア商品や映画の制作費なども、活動を応援したい支援者さえいれば実現が可能です。
クラウドファンディングの大まかな仕組みとは
クラウドファンディングは、「起案者」と「支援者」に分かれています。
起案者とは?|大まかな仕組み
起案者は、何か商品やサービスを作るためにプロジェクトを立ち上げて、出資を募集します。支援者は応援したいプロジェクトに出資します。
起案者は、これまでは資金を集めるのが難しかったプロジェクトでも、アイデア次第では資金を集められます。
支援者とは?|大まかな仕組み
支援者は、興味がある起案者に資金を提供して応援が可能です。
成立した際には商品やサービス、分配金などのリターンを受け取れます。
基本的には、上記のような仕組みになっています。
クラウドファンディングの種類とそれぞれの仕組み
また、クラウドファンディングにも、いくつか種類があります。
大きく分けると、
- 購入型
- 寄付型
- 融資型
- 投資型
の4種類に分けられます。
次から詳しく解説していきます。1
1:購入型のクラウドファンディング|種類ごとの仕組み
映画の制作費や、製品の開発費などを集める際に利用するのが購入型です。
最新の家電やアイデア商品、CDや映画の制作費などと非常に幅広く利用できます。
支援者は、商品の早期購入や限定商品の購入などをリターンとして受け取れます。
映画などのリターンが商品ではない場合は、試写会への招待やエンドクレジットに名前が載るなどのリターンがあります。
最も多いのが、この購入型のクラウドファンディングです。
国内だけでも数十以上のクラウドファンディングサイトが存在します。
2:寄付型のクラウドファンディング|種類ごとの仕組み
寄付型はあくまで「寄付」になるため、他の種類とは異なり、支援者へのリターンはありません。
インターネットを利用した募金活動といったイメージです。
被災地や発展途上国への支援といったものから、絶滅危惧種の保護、研究・教育資金などがあるでしょう。
これまで、なかなか寄付の集まらなかった分野もクラウドファンディングを利用したことで、寄付が集まった例もあります。
また、基本的にリターンはありませんが、寄付金になるため、確定申告をすると寄付控除を受けられます。
3:融資型のクラウドファンディング|種類ごとの仕組み
融資型は事業資金を集めたい会社に対して、出資をするもので、ソーシャルレンディングとも呼ばれています。
銀行では、融資が難しい事業や少額からでも融資を募集できるのが特徴です。
支援者に対しては、運用期間が終了した後に預かった元本と利息が返済されます。
なかには、毎月分配金が支払われるプロジェクトもあります。
会社側は、少額からでも柔軟に融資を募集できるのが、最大のメリットです。
投資する支援者からは、利回りが高いこともあり近年注目されています。
4:投資型のクラウドファンディング|種類ごとの仕組み
投資型には、ファンド投資型と株式投資型の2種類があります。
ファンド投資型とは?
ファンド投資型は、特定の事業に投資をするクラウドファンディングです。
支援者に対しては、売上から分配金を支払う形になります。
非常に融資型と似ていますが、リターンが売上からの分配金という点が異なります。
株式型とは?
次に株式型は未上場企業に対して、投資をするクラウドファンディングです。
これまで未上場企業への投資は、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家しかありませんでした。
しかし、2015年に法改正がされたこともあり、日本でも普及し始めています。
支援者は株式がリターンとして得られます。
株式といっても上場企業ではないため、簡単に売買できるものではありません。
そのため支援者にとっては、他のクラウドファンディングよりもリスクの高いものになっています。
クラウドファンディングのメリット
ここから、クラウドファンディングのメリットを起案者と支援者に分けて解説していきます。
起案者のメリット
起案者は、事業資金を得られるのが最大のメリットです。
どんな斬新なアイデアや成長の見込める分野でも、資金がないと事業は進められません。
クラウドファンディングでは、元手がなく会社としての知名度がなくても、事業資金を集められます。
また、クラウドファンディングサイト自体に宣伝効果があるため、事業をSNSなどを通じて広く知ってもらうこともできます。
支援者との距離が近いのもメリットの1つです。
支援者から意見をダイレクトに開発に取り入れることもできます。
支援者のメリット
支援者のメリットは、どの種類のクラウドファンディングを選択しているのかによって異なります。
ここでは、種類ごとの支援者のメリットを紹介しておきます。
購入型の場合
購入型のメリットとしては、商品や映画、本、CDなどを先行して入手できるのが最大のメリットです。
プロジェクトによっては、割引価格で購入できることもあります。
寄付型の場合
寄付型は商品やサービスなどのリターンはなく、社会貢献としての意味が大きいです。
また、通常の募金では、寄付金がどのように使われたか分からないケースが多いです。
寄付型のクラウドファンディングでは、その後どのような形で寄付金が使われたのか、分かりやすいのも大きなメリットになります。
融資型と投資型の場合
融資型と投資型は分かりやすく、利息や分配金を受け取れるのがメリットです。
株式投資やFXなどよりも手間がかからず、安定した利回りを得られます。
クラウドファンディングのデメリット
メリットが多く、ここ数年で需要を伸ばしているクラウドファンディングですが、デメリットもいくつかあります。
ここからは、デメリットについて詳しく解説していきます。
起案者のデメリット
起案者のデメリットは主に3つとなります。
時間がかかる
クラウドファンディングは、他の金融機関からの融資に比べると、資金を調達するまで時間がかかります。
プロジェクトによりますが、数カ月の時間がかかることを前提に計画を立てるようにしましょう。
また近々でどうしても資金が必要だというのであれば、別の資金調達方法も検討しなくてはなりません。
以下に紹介する記事では、最短数日で資金調達可能な「ビジネスローン」を紹介していますので、必要な方はお役立てください。
即日融資が可能なビジネスローンおすすめ13選!確実に融資を受ける方法とは?記録が残る
プロジェクトが失敗するリスクも考えなくてはいけません。
基本的に、一度サイトに掲載されたプロジェクトは、インターネット上に残り誰でも閲覧できるようになります。
どんなプロジェクトをして、どんな失敗したのか、社名とともに残るのは大きなデメリットです。
アイディアが盗用されることも
また、出資を募るためには、インターネット上にアイデアを掲載しなくてはいけないため、他社にアイデアを真似される可能性があります。
他社に盗まれないために、特許を取るなどの対策をしておきましょう。
ここまでで、デメリットについて3つほど見てきましたが、なかなかピンっと来なかった方もいるでしょう。
資金調達の方法はクラウドファンディングだけではありません。ほかにも多くの道がありますので、あきらめずに探していきましょう。
個人事業主も法人も要チェック!事業資金の調達方法14選支援者のデメリット
支援者のデメリットは、次の3つとなります。
資金がなくなることも
まず前提として、募集期間内に資金が集まらなければ基本的には、プロジェクトは開始されません。
また、資金が集まってプロジェクトが成立したとしても、最終的に事業が失敗してしまうと、資金は返ってきません。
できるだけ保証のあるプロジェクトを選ぶようにしましょう。
キャンセルできない
もう1つ気を付けたいのが、一度出資したら基本的には、取り消しはできません。
募集期間のあいだ、資金をずっと預けておく形になります。
出資した支援金があとから必要になった場合もキャンセルはできないので、支援するときは慎重に検討してからにしましょう。
途中引き出しができない
融資型や投資型では、運用期間中は株式投資やFXと異なり、途中で引き出しができないのも、大きなデメリットです。
また、クラウドファンディングはプロジェクトの数が非常に多く、なかには集めた資金を正しく使わない企業がいることがあります。
詐欺の可能性も疑って慎重に出資をしていきましょう。
クラウドファンディングのやり方
クラウドファンディングの流れとしては、
- 目標の設定
- 利用するサイトを決める
- プロジェクトを登録する
- プロジェクトの審査を受ける
- プロジェクトを開始する
- PR・活動報告をする
- プロジェクト終了
の7つのステップに分けられます。
種類や利用するサイトによっては、少し異なりますが、基本的には同じです。
では、次から詳しく解説していきます。
以下の記事では、人気のクラウドファンディングサイトを紹介しています。
自身が出資や資金調達をする上で、どこのサイトが良いのか、特性を見極める際にでもお役立てください。
クラウドファンディングおすすめサービス20選を比較!成功のコツは?1:目標の設定
最初に目標を決めなくてはいけません。
- プロジェクトの内容
- 資金がいくら必要なのか
- いつまでに資金が必要なのか
- どんな人の役に立つのか
これらは、クラウドファンディングにプロジェクトを登録する際に必要になるので、できるだけ細かく決めていきます。
最低限必要な経費や必要な支援者の数をきちんと計算して、現実的なプロジェクトに仕上げていきましょう。
2:利用するサイトを決める
利用するサイトは、まずはクラウドファンディングの種類から選びます。
前述しましたが、クラウドファンディングには、
- 購入型
- 寄付型
- 融資型
- 投資型
の4つの種類があります。
そして大きな種類のなかにも、細かい得意分野があるので、チェックしておきましょう。
例えば購入型の場合、家電などの商品が注目されやすいサイトと映画などのクリエイティブなプロジェクトに強いサイトに分かれます。
自分がやりたいプロジェクトに合ったサイトを選びましょう。
3:プロジェクトを登録する
サイトが決まったら、次はプロジェクトを登録します。
登録する内容は、
- プロジェクトタイトル
- プロジェクトの概要
- 目標金額
- サムネイル画像
- 支援者へのリターン
- 連絡先
- PR文章、動画
などです。
とくに最後のPR文章は非常に重要です。
プロジェクトに出資するのは主に個人なので、みんなが共感し、応援したくなる文章を書くことが大切になります。
動画を作成すると資金が集まりやすいというデータもあるため、できればPR動画も作成しておくといいでしょう。
PRの文章や動画は、過去に成功したプロジェクトを参考にするのがおすすめです。
過去のプロジェクトは、インターネット上で閲覧できるので、どんなプロジェクトが成功しているのか分析しましょう。
4:プロジェクトの審査を受ける
プロジェクトを登録したら、次は運営側からの審査を受けます。
審査はガイドラインに沿っているか、法律に反していないかといったことを審査し、何か問題が見つかれば審査は通りません。
ガイドラインと法律に沿っていても、プロジェクトがきちんと成功するかどうか運営側からも審査されます。
サイトによっては、運営側から内容の変更やPR方法などのアドバイスが貰えます。
プロジェクト自体に問題がなければ、アドバイス通りに改善すると審査は通りやすくなります。
クラウドファンディングの運営側は経験も知識も持っているので、もしアドバイスがあったら、受け入れて審査が通るように改善していきましょう。
5:プロジェクトを開始する
審査が通れば、いよいよプロジェクトの開始です。支援者がどのくらいのペースで増えているか、こまめに確認しましょう。
ツイッターやブログ、自社サイトなどで、できるだけ多くの人に支援者になってもらうように宣伝していくのも大切です。
クラウドファンディングは、SNSでの拡散で一気に資金が集まる可能性があります。
ツイッターやブログ、自社サイトがない場合は、作成しておくといいでしょう。
6:PR・活動報告をする
プロジェクトを開始したら、定期的に活動報告をしていきましょう。
どんな活動をして、どんな問題にぶつかっているのかを報告することで、支援するか迷っていた人も応援したくなります。
すでに支援している人は、自分もプロジェクトに参加しているような一体感が生まれます。
その支援者が、SNSなどで共有することで、さらに支援者が増えていきます。
また、サイトによっては活動報告をすると、サイトのトップページにプロジェクトが表示されることがあります。
活動報告をこまめにすることで「プロジェクトを成功に導きたい!」という想いが伝わり、結果的にそれが大きなPRにもなります。
プロジェクトを開始したら、積極的に活動報告をしましょう。
7:プロジェクト終了
プロジェクトが成立すれば、手数料を引かれた金額が口座に振り込まれます。
成立しなければ、プロジェクトは終了し、集まった資金は支援者に返金されます。
プロジェクトの種類によっては、終了時までに集まった金額を得られるものもあります。
成立、不成立にかかわらず、支援者に対してはお礼のメールや手紙を出しましょう。
そして、商品などのリターンがある場合は、発送までの日数などを改めてお知らせして、きちんと支援者の元に届けましょう。
クラウドファンディングで得た資金に税金はかかる?
では仮にクラウドファンディングを実施したとして、そこで資金調達が成功した場合、その得た資金にかかる税金はどういった扱いになるのでしょうか。
ここでは、クラウドファンディングの種類ごとに、税法上の扱いを紹介していきます。では、順にみていきましょう。
購入型クラウドファンディングでの税金の扱い
リターンに何らかの商品やサービスを提供する購入型クラウドファンディングの場合、得た資金に対してかかる税金は、以下にようになっています。
法人として資金を得る場合:法人税
個人として資金を得る場合:所得税
この場合、取引的には一般的な商品購入と同じものとして取り扱われるため、売上や収入とみなします。
個人の場合は、
- 事業として得られた「事業所得」
- それ以外の「雑所得」
のどちらかの所得区分に、状況によってわかれます。
寄付型クラウドファンディングでの税金の扱い
見返りがない、つまりリターンが発生しないクラウドファンディングである寄付型の場合は、状況によって税法上の扱いが変わります。
主なパターンとしては4種類があり、それぞれの税法上の扱いは以下となります。
■ 法人として資金を得る場合
- 資金提供者が法人:法人税
- 資金提供者が個人:法人税
■ 個人として資金を得る場合
- 資金提供者が法人:所得税
- 資金提供者が個人:贈与税
個人で資金を得る場合の補足
所得税については、保険の満期金と同様に「一時所得」として扱います。
一時所得の場合は、必要経費のほかにも特別控除額が最高で50万円ありますので、それら合計を一時所得から引いた額が課税対象となります。
一方贈与税では、基礎控除額として110万円と定めています。そのため、資金調達額が110万円を超えた場合に、贈与税が課税されると覚えておきましょう。
また詳しい税率については、国税庁の「贈与税の計算と税率」にて確認するようにしてください。
融資型・投資型クラウドファンディングでの税金の扱い
まず、融資型のクラウドファンディングでも、他のタイプと同様で「益金」として扱います。
また運用した結果、利益が出る場合には分配も必要となるでしょう。この分配金については、損金として算入することができますので、それを差し引いた額が課税対象となります。
法人として資金を得る場合:法人税
個人として資金を得る場合:所得税
一方の投資型クラウドファンディングについては、一般的な新株発行をする際の処理と同じになります。
クラウドファンディングでやりたいことを実現しよう
クラウドファンディングの基本的な部分から、仕組みやメリット・デメリット、やり方を詳しく説明してきました。
銀行からの融資が難しい事業でも、クラウドファンディングなら資金調達できる可能性があります。
ただし、資金調達までに時間がかかるなどのデメリットもいくつかあります。
メリット・デメリットを正しく理解して、上手にクラウドファンディングを利用していきましょう。
通常の金融機関からの融資とは、やり方が異なるので利用する際は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。