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法人カードは文字通り、法人向けのクレジットカードなのですが、法人だけでなく、個人事業主でも申し込むことが可能です。
しかし、法人や個人事業主でも、法人カードの審査基準の内容が気になります。
法人向けのクレジットカードなので、当然ながら審査はあります。
その審査を通過し、クリアすることで、初めて法人カードを利用できるのですが、一般人向けのクレジットカードより審査が厳しいのは間違いないと考えてもいいでしょう。
そこで今回、法人カードの審査基準の内容と、その審査基準において、押さえておきたいポイントを重点的に解説いたします。
法人カードの一般的な審査基準とは?
法人カードの審査基準は、法人カードを発行し、提供する金融機関によって異なるのですが、実は審査基準が基本的に公表されておりません。
公表されていない理由は現時点で不明なのですが、考えられる理由としては、公平性を保つことにあります。
審査基準を公表してしまうと、法人カードを利用したい法人や個人事業主は、審査基準を満たそうと表面上のみの改善や不正を図る可能性もあります。
そうなれば、本来の審査結果に悪影響を与えてしまうことにも繋がるため、クレジットカードの審査に限らず、一般的な審査ではその基準が公開されないのでしょう。
そこで一般的に知られ、もしくは考えられている審査基準を次に挙げて、その内容を詳しく解説していきます。
法人が設立してから3年以上経過していること
なぜ法人が設立してから3年以上が経過していることが、審査基準のひとつであるのかというと、まずは審査を行う立場を考えてみてください。
審査を行う立場はすなわち、お金を貸す側を意味します。
法人カードを提供している金融機関がもっとも恐れることは、会社の倒産(貸し倒れ)です。
個人事業主の場合は、
- 事業継続不可能
- 経営する店舗の倒産
などが挙げられます。
なぜ、金融機関が会社や店舗の倒産を恐れるのかというと、法人カードからの借入金の「回収」が不可能になるからです。
なぜ事業年数が3年以上なのか
法人が設立してから3年以上が経過しているということは、経営が順調であることがほとんどです。
個人事業主の場合は、経営する店舗または携わっている事業が、3年以上経過し順調であることが見込まれれば、個人事業主でも法人カードの審査が通過できる可能性が高くなるでしょう。
個人事業主から法人に移行した場合でも、個人事業主の時代から3年以上事業を継続しているのなら、法人成りした直後でも審査の通過が認められる可能性も高いといえます。
つまり、法人カードを提供する金融機関が求めるのは、法人または個人事業主の返済能力ということです。
返済能力を金融機関に示すことができれば、法人が設立してから3年以上が経過しているという審査基準を満たさなくても、審査をクリアできる可能性が高くなるといえるでしょう。
黒字決算2期連続であること
黒字とは、収益が費用より多いことを意味するのですが、その黒字決算が2期連続であるということ自体が、法人カードの審査を通過できる最大の要因のひとつとなるでしょう。
■ 黒字決算2期連続ってなに?
黒字決算2期連続を、もう少し噛み砕いてわかりやすく説明すると「経営する会社または店舗が2年連続黒字」という意味になります。
2期連続黒字であれば、法人カードを提供する金融機関の審査を通過できる可能性は非常に高いといえます。
「法人が設立してから3年以上経過していること」でも説明しましたが、金融機関の立場を考えると、「返済能力」については最も重要視するポイントとなります。
仮に赤字になりそうな場合でも、支出を抑えることで、黒字に転じる場合もあります。
その場合、資金繰りがうまく行っている証拠でもあるので、法人カードの審査を通過する要因となります。
無論、審査を通過できる確率は決して高くないといえるのですが、
- なぜ赤字になってしまうのか
- 赤字が続いてしまうのか
この部分を先に考えると良いでしょう。
固定電話があること
固定電話の有無によって、法人カードの審査に大きな影響を及ぼすとされています。
なぜなのかと言いますと、
- 本人確認
- 在籍確認
などです。
まとめると、そこに住所があり、本人がいるのかを確認するために、固定電話の設置が必要になります。
法人カードとは少し話しがずれるのですが、固定電話があることで審査が通りやすいのは、法人カードに限った話しではありません。
ビジネスローンなど、法人向けのローンの審査でも同様です。
法人でも個人事業主でも、会社や店舗を経営する以上は、固定電話の設置を行うようにしましょう。
法人向けの固定電話の開設方法を解説
個人事業主なら、自宅にある一般向けの固定電話があれば、審査基準にある固定電話設置をクリアしていると考えてもいいでしょうが、法人向けとなると、話が変わってきます。
しかし、詳しい説明は省略し、申込先について簡単に説明いたします。
固定電話は、NTTグループ(東日本または西日本)に問い合わせ、 申し込むのが一般的です。しかし、
- NTTドコモ
- au
- ソフトバンク
携帯会社のキャリアでも、固定電話の開設を申し込めます。
光ファイバーを利用した固定電話が一般的なのですが、お住まいの地域によっては光回線提供エリア外の場合もあるので、注意が必要です。
法人カードの審査基準をクリアするための対策方法はあるのか
上記で説明した、法人カードの一般的な審査基準についてですが、その審査基準を満たさなくても審査を通過できる方法があります。
しかし、留意しておきたいポイントがひとつだけあります。
それは、審査基準を満たさない状態である場合、法人カードの審査を通過できる確率が高くないということです。
審査基準を満たさない状態でありながら、その審査を通過するにはどうすれば良いのかと、まずは考えなければなりません。
そこで、法人カードの審査基準に満たさなくても、その審査を通過する方法を次に挙げて、解説していきます。
なお、次に挙げる方法は、一般的に知られたものではなく独自で考えたものであることをご理解願います。
対策方法1:開業届を用意する
正確にいえば、開業届の控えなのですが、開業届を提出する義務はありません。
今の時代、パソコンとインターネット環境など、最低限の準備をするだけで開業可能です。
しかし個人事業主として、本格的に開業するのでしたら、開業届を提出しましょう。なお、開業届の提出先は税務署です。
開業届を提出するだけで、メリットとデメリットがあります。
まずはメリットから説明していくと、以下のような3つが項目として挙がります。
■ 開業届を提出することのメリット
- 青色申告が可能となる
- 事業用口座の開設が可能となる
- 小規模企業共済など様々な制度が利用可能
上記3項目の中で最も注目していただきたいのが、青色申告についてです。
青色申告のメリットは、以下の5項目などが挙げられます。
■ 青色申告を利用することのメリット
- 最大65万円の特別控除が受けられる
- 3年間の赤字を繰り越せる
- 家族の給与が経費として課税対象外となる
- 30万円未満の備品などを全て必要経費として計上可能
- 自宅をオフィスにした場合は、一部の家賃や電気代などを必要経費として計上可能
ここで共通しているのは、税制上の優遇措置です。
一方、デメリットはというと、
■ 青色申告を利用することのデメリット
- 簿記の知識がないと大変手間がかかる
- 開業2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要がある
などが挙げられます。
「所得税の青色申告承認申請書」とは、青色申告を選択したい場合に、欠かせない書類です。
開業届だけでなく、その書類と一緒に、税務署に提出する必要があります。
法人カードの審査基準とは少し脱線したのですが、個人事業主と法人にとって、非常に重要な情報でもあることを覚えておきましょう。
対策方法2:固定電話の設置がむずかしくても
固定電話の設置は、審査基準のひとつであることに変わりはありません。
ただし財務状態によっては、その設置がむずかしい事業者の方もいるでしょう。
そういった場合では、携帯電話番号での登録はまず避けるようにし、「050」からはじまる番号を取得することをおすすめします。
また近年では、企業でも「050」番号を利用することが増えてきています。
「050」から始まる番号は、IP電話とも呼ばれ、電話回線ではなくインターネット回線を利用して通話を実現したものとなります。
固定電話と比較しても、値段もお手頃なものが多く、通話料も格安になるものが大半です。
ただし通信状態が不安定になると、通話が途切れてしまうこともあるため、その点は了承したうえで利用するようにしてください。
また「050」番号を提供するサービスには、
などがあるでしょう。
対策方法3:法人または個人事業主のホームページを開設する
ホームページを開設することが、法人カードの審査が通りやすくなる要因のひとつだといえます。
なぜそう言えるのかというと、根拠は自分自身を知ってもらうというところです。
ホームページを開設することで、
- 自社が開発した製品の宣伝になる
- 自社がどういう会社または店舗なのかを知ってもらえる
こういったメリットが得られます。
一方、デメリットはというと、
- 独自ドメインやレンタルサーバーなどの費用がかかる
- ホームページの運営には一定の知識が必要
などです。
ホームページはプロに製作してもらうのが手間を省くことが可能だといえるのですが、そのホームページの更新は、別途で依頼しない限りは全て自分で行わなければなりません。
自社のホームページを運営している法人および個人事業主に対し、法人カードを提供する金融機関からの評価が高く、そのホームページによって、自分自身をアピールできます。
ホームページを開設して、事業内容を見える化することで、よりカード会社からの信用度を高めることもできるでしょう。
実態のよくわからない会社には誰もが不安を感じるものですので、そういった不安を取り除くための対策が、審査を通過するためにも重要なこととなってきます。
面倒がらずに、しっかりと対策をして、法人カードの審査には臨むようにしてください。
対策方法4:審査が比較的通りやすい法人カードを狙う
法人カードの審査基準といっても、その難易度は個人のクレジットカードと同様に様々です。
大体の難易度は、カードの申込み条件や公式HPをみることで把握することができます。
たとえば、申込み条件に「事業年数が〇年以上」と記載されていれば、起業したての方は門前払いでしょう。
また公式HPに、
- 「起業したての方OK」
- 「赤字決算でもOK」
などの文言が記載されていれば、審査が比較的通りやすい法人カードともいえます。
代表例としては、「三井住友ビジネスカード for Owners」などがあり、これの場合は法人格よりも代表者自身が審査対象となるため、事業歴や財務状態は審査に関係しません。
事業周りで不安を抱えるのであれば、最初からこういった法人カードを選択するのが、賢い選択といえるでしょう。
実績ができれば、さらにステータスの高いカードも挑戦できます。
まずは取得できるカードから挑戦し、実績を作ることに意識を傾けるようにしてください。
これに注意!法人カードの審査基準を満たしていても
法人カードの審査基準を満たし、さらに審査通過の確率を上げるために開業届の提出などの準備を整えても、必ずしも法人カードの審査を通過できるとはかぎりません。
逆に、審査基準を満たしていないからと、必ずしも審査に落ちるわけでもないのです。
そこで、法人カードの審査を通過できない要因または注意点を次に挙げて、その内容を解説いたします。
なお、法人カード利用を申し込む前の段階で、次に挙げる要因と注意点を理解してから申し込むようにしましょう。
注意点1:代表者と会社自体の信用情報
代表者と経営する会社または店舗の信用情報に傷があれば、法人カードの審査基準を満たしたとしても、その審査を通過できない可能性は非常に高いです。
信用情報に傷があるとは、専門用語でいえば「金融事故」で、わかりやすく説明すると、支払いが正常にできなくなることを意味します。
具体的にどのようなケースが金融事故に該当するのかというと、以下のようなケースが挙げられるでしょう。
- 長期的な支払いの滞納
- 支払うべき料金を意図的に踏み倒した
- 任意整理
- 自己破産
そもそも信用情報とは、顧客のクレジットカードやローンの利用状況や、支払い状況などが掲載されている履歴情報です。
その信用情報は、信用情報機関(JICC、CIC、KSCの3つ)によって管理されており、信用情報機関に加盟している金融機関は、法人カード利用を申し込んだ顧客の信用情報を照らし合わせています。
法人カードの審査基準のひとつといえるのですが、仮に顧客と顧客が経営している会社および店舗がブラックリストに掲載されていた場合、審査の通過は不可能であると考えたほうがいいでしょう。
注意点2:安定した収入を証明する書類を用意すること
安定した収入を証明する書類とは、
- 法人であれば決算書
- 個人事業主であれば確定申告書
などが挙げられます。
法人と個人事業主が共通する書類を挙げるとするなら、
- 所得証明書
- 納税証明書
などに該当します。
収入を証明する書類が手元にあるのなら、その書類を提出することで、法人カードの審査通過率の向上が見込めるでしょう。
注意点3:虚偽記載がないこと
虚偽記載とは、本来の収支が赤字にも関わらず、決算書に黒字を見せかけ、赤字の要因や事実などを隠蔽することをいいます。
虚偽記載で審査が通ったというケースは、インターネット上で少なからず聞きますが、後から虚偽記載の事実が判明した場合は、必ずと言っていいほどトラブルが起きます。
最悪のケースでは、文書偽造の罪で逮捕される可能性もありますので、十分に注意したい項目のひとつとなるでしょう。
単純な記入ミスだった場合は、指摘されたところを修正すれば良いのですが、意図的となれば、先ほど申したトラブルが起きる確率が高くなります。
そういったトラブルが起きないように、虚偽記載を無くすようにしましょう。
個人信用情報に自信はある?自分の信用情報を確認しよう
自身の信用情報がどうなっているのか、不安に感じる方は少なくないでしょう。
そんなときには、信用情報機関を活用して、自分自身の情報を開示してもらうといいです。
ここではその方法について、具体的な手順も踏まえながら紹介していきます。
では早速、順に確認していきましょう。
信用情報機関を利用する
前項でも紹介した通り、個人の信用情報は「CIC、JICC、KSC」などで管理されています。
個人の信用情報を確認するには、この3か所の機関に直接問い合わせることで、情報の確認することができるのです。
具体的な確認方法として、まずは各公式HPから手続きを行い、本人確認書類や電話番号を準備し手数料(1,000円)を支払います。
その後、郵送での開示、またはネット上での開示が可能になるといった流れです。
早く確認したいという方は、ネット開示を選択するといいでしょう。
そう負担のない手数料で、自分自身の個人信用情報を確認できますから、ムダな作業を減らす意味でも定期的に活用すると良いかもしれません。
個人信用情報はいつまで残るのかも把握しておこう
個人信用情報は、悪いステータスがついてしまったとしても、いつまでも永遠に残り続けてしまうといったことはありません。
悪いステータスが消えれば(ブラックでなくなれば)、審査の判断も良い方向に考えてくれるようになるので、早く悪いステータスは解消したいものです。
では、どういった事実に対して、どの程度その情報は掲載され続けてしまうのでしょうか?
この疑問については、以下の表をご参照ください。
CIC | JICC | KSC | |
61日以上 or 3ヶ月以上の延滞 | 5年間 | 1年間 | 5年間 |
代位弁済 | 5年間 | 5年間 | 5年間 |
強制的な解約 | 5年間 | 5年間 | 5年間 |
債務整理(個人再生・自己破産など) | 5年間 | 5年間 | 10年間 |
このように、信用情報機関によって、記録として残る期間はまちまちです。
とはいえ、代位弁済(保証会社や保証人が立て替え)や強制的な解約では、どこも5年間となります。
もし記憶が残ってしまっているのなら、地道に良い信用を積み重ねるほかないので、コツコツと日々意識を向けることが大切です。
信用情報を改善するための裏技はないということですね。
もしも審査なしで、どうしても法人カードのようなものが欲しいという方は、次項を参考にすると良いでしょう。
審査が不安!審査なしで発行できる法人カードはないの?
法人カードの中には、審査なしで発行できるカードはあるのでしょうか。
答えは「ノー」です。
理由はというと、カード発行会社にとって信用がない方は、貸し倒れリスクがあるために「損をしてしまう」と考えるため。
しかし、法人カードではありませんが、審査なしで発行できる法人カードのようなカードもあります。
それが、法人デビットカードです。
法人デビットカードなら、口座に入っている金額から引き落としがかかるので、審査は必要ありません。
さらには、使い方が法人カードとそう変わりないので、利便性は上がることでしょう。
中でも「Visaビジネスデビット」はおすすめです。
こちらは、個人事業主や法人の代表者が申し込みできるデビットカードとなります。
法人カードの場合は、申込みの際に決算書類を提出する必要がありますが、こちらのデビットカードは提出しなくても大丈夫です。
また年会費もかからず、利用額も1日付き50万円~500万円利用可能。
審査なしで法人カードを探している方は、こちらを検討してみるといいでしょう。
他にも法人デビットカードについて確認したいという方は、以下の記事も参考にしてみると良いでしょう。
審査が不安な方は、こういったカードを利用するのも手となります。
法人デビットカード比較10選!個人事業主&法人に向けて徹底解説法人カードの審査基準を把握してしっかりと対策しよう
法人カードの審査基準の内容と、審査を通過するために覚えておきたいポイントと注意点を紹介しました。
法人カードの審査が甘い金融機関を探している方は多くいると思われますが、実際の法人カードの審査は非常に厳しいです。
法人カードを提供している金融機関にとって、情報が少ない法人または個人事業主への法人カード発行そのものが高いリスクとなり、そのリスクを回避するために、審査を厳しくしなければならないのです。
本当に法人カードがほしい方はまず、申し込み条件をクリアし、記述した審査基準を基に、法人カードの利用を申し込みましょう