この記事はPRが含まれていますが、直接取材・調査した一次情報を元に書かれています。
そんなときに利用を検討したいのがエンジェル投資家です。
日本ではあまり馴染みのない制度ですが、世界的に見ると数兆円の規模があり、資金調達の一般的な制度になっています。
そこでこの記事では、
- エンジェル投資家がどのような制度なのか
- どんなメリットやデメリットがあるのか
- どうやってエンジェル投資家とつながるのか
- 出資確率を高めるコツはないのか
についてを解説しています。
メリットやデメリット、探し方なども詳しく解説しているので、エンジェル投資家を利用する際は、ぜひ参考にしてください。
エンジェル投資家とは
エンジェル投資家とは、起業家に出資する個人投資家のことです。
出資された企業側は、見返りに株式などを提供します。銀行の融資などとは異なり、基本的には返済の必要がありません。
もともと、映画業界などで個人的に事業を支援している資産家をエンジェルと呼んでいたことから由来しているといわれています。
エンジェル投資家と聞くと日本では馴染みがありませんが、海外では一般的な投資法として利用されています。
新規で事業を始めるときは多くの人が融資を受けますが、実績がない状態で銀行などの金融機関から融資を受けるのは難しいです。
ベンチャーキャピタルでは扱う金額が大きいため、数百万円の規模で資金を集めたいときに向いていません。
エンジェル投資家は数百万円からと金額が小さく、ベンチャーキャピタルよりも審査が優しいもの特徴です。
エンジェル投資家ってどんな人?
エンジェル投資家のほとんどは、元起業家や経営者です。少ないのですが、俳優やミュージシャン、スポーツ選手などもいます。
エンジェル投資家は資金を提供するだけではなく、事業を軌道に乗せるために、企業に対して経営のアドバイスも行います。
そのため、経営に関して豊富な知識や経験が必要になります。
アメリカでは数十万人のエンジェル投資家がいるといわれています。
それに対し、日本は1万人程度で、動いている金額も全体で数百億と非常に少ないです。
しかし、マッチングサイトの増加や認知度が増えてきていることもあって、利用は年々増加傾向にあります。
投資家のあいだでも注目されているので、これからエンジェル投資家が増えていくと予想されています。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルとの違いは?
ベンチャーキャピタルは、これから成長が期待できる企業に対して出資する投資会社のことです。
その企業が成長し、上場したあとに株式を売却することで利益を得ることを目的としています。企業側は返済の必要もなく、経営のアドバイスも貰えます。
非常にエンジェル投資家と似ていますが、ベンチャーキャピタルとは異なる以下の特徴があります。
- 金額が数百万円からと少額
- 審査が通りやすい
- 出資を受けるまでが早い
金額が数百万円からと少額
エンジェル投資家は個人投資家ということもあり、金額が数百万円からがほとんどです。
ベンチャーキャピタルは1億からのことが多く、規模が大きくなります。
審査に通りやすい
審査に関しては、エンジェル投資家は個人投資家になるため、起業家の魅力で判断することが多くあります。
ベンチャーキャピタルはあくまで投資会社なので、会社の経営に関わってくることもあり、厳しい審査が行われます。
出資を受けるまでが早い
金額が小さく、審査も個人でするため、出資までが非常に早いのも特徴の1つです。
ベンチャーキャピタルは金額も大きいこともあるので、売上も安定している企業の事業拡大に向いています。
起業して間もない企業は、エンジェル投資家が適しているでしょう。
エンジェル投資家を利用するメリット
エンジェル投資家を利用する主なメリットは、
- 多額の資金を調達できる
- 経営に関するアドバイスが貰える
- 実績のある経営者と繋がりを持てる
の3点です。
銀行融資や日本政策金融公庫、ベンチャーキャピタルにはないメリットもあるので、チェックしておきましょう。
メリット1:多額の資金を調達できる
事業を始めるには、多額の資金が必要になります。必要な資金は平均で1,000万円ともいわれています。
自己資金で始める人もいますが、1,000万円という金額は大きいので、用意できない人も多いでしょう。
資金を貯めているあいだにビジネスのチャンスを逃してしまうことも考えられます。
エンジェル投資家を利用すれば、数百万円から数千万円の事業資金を調達できます。
銀行や日本政策金融公庫では審査が厳しく、ベンチャーキャピタルを利用するほど資金が必要ではない場合に最適です。
エンジェル投資家によっては1億円以上の大きな金額を出資してくれるケースもあります。
メリット2:経営に関するアドバイスが貰える
エンジェル投資家のほとんどは、経営に関して知識と経験が豊富な人ばかりです。
そういった人たちから経営に関するアドバイスを貰えます。
全くの未経験から始めた起業家にとっては、資金面だけではなく経営面もサポートしてもらえるのは、非常に大きいでしょう。
エンジェル投資家は経営が上手くいけば、最終的に利益が入ることもあり、親身になってアドバイスをしてくれます。
一線で活躍する経営者から直接アドバイスを貰えるのは、大きなメリットです。
積極的にアドバイスを貰いたい場合は、出資を受ける前にしっかりとコミュニケーションを取って経営に関わってほしいことを伝える必要があるでしょう。
メリット3:実績のある経営者と繋がりを持てる
エンジェル投資家は実績のある経営者が多いです。
実績のある経営者と繋がりを持ち、会社の株主になってもらうということは、企業の信頼にも繋がってきます。
また、そこから他の経営者などとの人脈を築ける可能性もあります。
経営のアドバイスを貰えることも考えると、資金を提供してくれるだけの銀行よりも会社の発展に繋がっていくでしょう。
エンジェル投資家を利用するデメリット
資金を調達や経営に関するアドバイスなど、大きなメリットもある一方で、デメリットもあります。
主なデメリットとして挙げられるのは、
- 経営に関して意見される
- 投資詐欺の可能性
の2点です。
メリットばかりに目を向けずに、デメリットも確認して、出資を受ける際は慎重に検討していきましょう。
デメリット1:経営に関して意見される
メリットに「経営に関するアドバイスが貰える」とありましたが、裏を返せば経営に口出しされることにもなります。
アドバイスを望んでいないときでも、経営に関して意見するエンジェル投資家もいます。
自由に自分の思い通りに経営したいと考えている起業家にとっては、不都合になることもあるでしょう。
そのような不満がないように、出資を受ける前にエンジェル投資家と意見を交換するなど、コミュニケーションを取っていくのが大切になります。
また、エンジェル投資家が所有している株式の割合が多ければ、企業から追い出されてしまう可能性もあります。
悪意のある投資家は少なからずいるので、契約等は口約束ではなく、きちんと書面にしておきましょう。
デメリット2:投資詐欺の可能性
エンジェル投資家を名乗って起業家を騙す詐欺が発生しています。
勉強会への参加費と称してお金を要求してくるなど、悪質な投資家もいるので、きちんと信頼できる人物か見極める必要があります。
投資詐欺は一般的には、投資家側が被害を受けることが多いです。しかし、資金を早く手に入れたい起業家をターゲットにする場合もあります。
コンタクトを取る際は、投資家の経歴などをしっかりと調べましょう。
エンジェル投資家を探す方法
ここでは、具体的にどのようにして、エンジェル投資家とつながればいいのかについて紹介しておきます。
主な探し方については、以下の3つとなります。
- マッチングサイトを利用する
- イベントに参加する
- コンテストに参加する
では、それぞれについて順に見ていきましょう。
探し方1:マッチングサイトを利用する
エンジェル投資家を探す一番簡単な方法が、マッチングサイトを利用する方法です。
あまり知られていませんが、日本にもいくつかマッチングサイトがあります。
なかには10年以上運営されているサイトもあり、多くの投資家が登録しています。
サイトは無料から利用できるものが多いので、登録してパソコンで自宅にいながら気軽に投資家を探すことが可能です。
ただし、投資家の質については実際にコンタクトを取らないと分からない部分が多いため、注意しなくてはいけません。
探し方2:イベントに参加する
マッチングサイト以外の方法では、イベントや交流会への参加がおすすめです。
エンジェル投資家は、イベントや交流会に顔を出すことが多くあります。
そこで名刺交換など、何かしらコンタクトを取りましょう。
その後メールなどで出資をお願いするという流れになります。
マッチングサイトよりも時間とお金がかかる方法ですが、もし投資家の目に留まれば大きなチャンスに繋がります。
探し方3:コンテストに参加する
なかなか投資家と繋がれない場合は、ピッチコンテストと呼ばれる、製品やサービスなどを投資家にプレゼンして出資を募るイベントへの参加もおすすめです。
いずれの方法を取るにしても、自分が信頼できると思った投資家に依頼するようにしましょう。
必要以上に経営に意見されたり、会社を乗っ取られる可能性もゼロではありません。
審査される側ですが、こちらも投資家を審査する目線が必要です。
エンジェル投資家から投資を受けるコツ
エンジェル投資家はベンチャーキャピタルとは異なり、個人投資家になります。
そのため、数字よりも熱意や積極性で投資を決める傾向が強いです。
しっかりとしたプレゼン資料も大事ですが、積極的に話すことが何よりも重要になります。
ここでは、具体的にどんな方法を行っていけば、エンジェル投資家の方に振り向いてもらえるのかについて解説していきます。
具体的な方法については以下の3つが挙げられる出法。
では順に紹介していきます。
コツ1:ビジネスプランは入念に
エンジェル投資家に振り向いてもらうには、ビジネスプランがない事にはお話になりません。
まずは、どういったビジネスをするのかについて考えていきましょう。
またある程度の概要が決まってきたら、そのビジネスについて細かい部分まで落とし込むことも大切です。
市場調査や今後の見込みを立てることも忘れずに行いましょう。
また実際に見せる資料については、わかりやすくシンプルな内容にすることを心掛ける必要もあります。
長文でだらだらと書かれた資料では、誰もが目を通す気にはならないでしょう。
コツ2:身近な人から目標を伝えていく
まずは、身近な人から自身の起業計画や、今後の展望について伝えていくようにしましょう。
人数としては最低でも50人、可能であれば100人と、多ければ多いほどいいです。
これをやることの意味としては、以下の3つが挙げられます。
- プレゼンスキルが磨かれる
- メンタルが強くなる
- 協力者が増える
身近な人から、徐々に枠を広げていくことで難易度も上がりますが、それに伴いプレゼンスキルも上がります。
また中には前向きな反応を示さない方もいるでしょうが、それでも伝え続けることで、メンタルも強くなるでしょう。
そうやって伝えていると、その目標に対して応援したいという人も現れてきます。
そうなれば、自然と人脈を紹介してくれることもあるため、より協力者が増えていくでしょう。
これら3つのメリットを受けることにより、エンジェル投資家へアタックする時にも、有利に進めることができるようになります。
コツ3:積極的にメールでアタック
資金力があり信頼性の高いエンジェル投資家は、はじめから直接会えることはそうないでしょう。
そのため、まずはメールを利用しアタックしていくようにしてください。
しかし、経営の第一線で活躍している人にとって、起業家のメールなどは最優先ではないため、返信がないことがほとんどです。
それでも、諦めずに100通、200通とアプローチを続けることが、投資をして貰えるきっかけに繋がってくるでしょう。
エンジェル投資家以外の資金調達方法
エンジェル投資家はメリットも多いですが、必要な資金や目的によっては他の資金調達方法が適している場合もあります。
ここからは、エンジェル投資家以外の資金調達方法をご紹介していきます。
ここで紹介する方法は以下の4つです。
- ベンチャーキャピタル
- クラウドファンディング
- 日本政策金融公庫
- 銀行融資
これら以外にも資金調達方法を見てみたい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。
個人事業主も法人も要チェック!事業資金の調達方法14選ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、これから成長が見込める企業に対して投資をする投資会社のことです。
投資をした企業が上場した後に、株式を売却することで利益を得ることを目的としています。
エンジェル投資家と似ていますが、前述したとおりベンチャーキャピタルは金額が大きく、審査も厳しいという特徴があります。
数億円の資金調達や事業の規模が大きい場合は、ベンチャーキャピタルのほうが適しているでしょう。
ベンチャーキャピタル(VC)とは?その仕組みや向いている企業についてクラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを利用して複数人の支援者から資金を集める方法です。支援者にはリターンとして、製品やサービスなどを提供します。
目標の金額に到達しなかった場合は、支援者からの支払いは行われず、リターンもありません。
つまり、実験的なアイデアであっても出資を募りながら、ユーザーからのダイレクトな反応を確かめられます。
ここ数年でクラウドファンディングサイトも増え、一般にも認知されてきています。
きちんとした製品やサービスを提供できれば、これまで実現が難しかった事業も資金調達が容易に可能です。
クラウドファンディングの仕組みとは?やり方も徹底解説!ただし、入金までは数ヶ月かかるため、すぐに資金を用意したいときには向いていません。
また、支援者が共感する内容でなければ、多額の資金を集めるのは簡単ではないので、注意しましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が管理している金融機関です。
一般の銀行よりも融資が通りやすく、金利も低く設定されています。
銀行は利益を出すことを目的としていますが、日本政策金融公庫は企業を助けることを目的としています。
そのため、銀行で断られた場合でも日本政策金融公庫なら融資が受けられたというケースも少なくありません。
ただし、融資まで1ヶ月近くかかることがあるため、すぐに資金を用意したい場合には向いていません。
金額は初回の融資では、数百万円程度とされているので、事業によっては少ない場合もあるでしょう。
銀行融資
銀行の融資は、金利が低いですが、審査の難易度は非常に高いです。
日本政策金融公庫は日本経済の発展や成長が目的でしたが、銀行は利益を出すのが目的なので、確実に返済が可能な企業にしか融資をしません。
創業したばかりで実績の少ない企業は、不動産や保証人などの担保がないと融資は難しいと考えたほうがいいでしょう。
実績があり、担保も用意できる場合は、銀行は金利も低くおすすめです。
取引を重ねていけば、資金面で長期的にサポートしてくれますし、金利の交渉にも応じてくれることもあります。
銀行融資の金利の相場と決まり方とは?【法人・個人事業主向け】信頼できるエンジェル投資家を見つけよう
エンジェル投資家がどういった制度なのか、メリットやデメリット、探し方について詳しく解説してきました。
日本では馴染みがありませんが、資金提供の他に、経営のアドバイスを貰えるなど、メリットも多い方法です。
資金の調達というと、銀行融資や日本政策金融公庫などが利用されることがほとんどでした。
しかし、ここ数年でエンジェル投資家やクラウドファンディングなども注目され、利用されることが多くなってきました。
どちらも法律やマッチングサイトなどがまだ整っていない部分が多いです。
資金調達に焦るあまり不利な条件で契約したり、詐欺に利用される可能性もあります。
しっかりと自分の目で、信頼できる投資家を見つけ出すのが重要です。