ベンチャーキャピタル(VC)とは?その仕組みや向いている企業について

ベンチャーキャピタル(VC)とは?その仕組みや向いている企業について

ベンチャーキャピタルでの資金調達を検討しているのであれば、その仕組みや特性を把握しておくことが大切です。

また一般的な融資とは特性が全く異なるため、中にはベンチャーキャピタルでの資金調達が向いていない事業もあるでしょう。

ここでは、ベンチャーキャピタルについて、以下のことが理解できるようになります。

  • ベンチャーキャピタルの基礎知識がわかる
  • ベンチャーキャピタルの仕組みやメリットがわかる
  • ベンチャーキャピタルでの資金調達が本当に合っているのかを判断できる
  • 利用する際に流れがわかる

では早速順にみていきましょう。

ベンチャーキャピタル(VC)とその種類とは

ベンチャーキャピタル(VC)とその種類とは

ここではまず、ベンチャーキャピタルとは一体何なのか、一般的な融資とは何が違うのかなど、事前に知っておくべき内容について紹介していきます。

では早速、順にみていきましょう。

ベンチャーキャピタル(VC)とは

ベンチャーキャピタルとは、今後成長が見込まれる企業に対して、資金や経営の知識などを提供し、経営をサポートする機関のことをいいます。

またベンチャーキャピタルは、出資先の企業価値が上がった後に、IPOや会社売却が行われることで利益を得られるため、出資を受ける企業はその点も意識する必要があるでしょう。

一般的な融資と何が違うのか

一般的に資金調達といえば、「融資」という言葉が頭に浮かぶものです。

ではベンチャーキャピタルが行う「出資」とは何が違うのでしょうか。

ここでは、その違いについてわかりやすく表にまとめておきますので、ベンチャーキャピタルの特性を理解するためにも目は通すようにしておきましょう。

出資 融資
返済義務 なし あり
利息 なし あり
資金の扱い 資本金 負債金
審査ポイント 事業の成長見込み 安定した返済能力

ベンチャーキャピタル(VC)の4つの種類とは

単にベンチャーキャピタルとはいっても、その種類には主に4つあります。

またそれぞれには特徴もありますので、自身の事業内容や規模に合わせて選択するようにしましょう。

独立系VC ・  投資家が設立したベンチャーキャピタル

・  起業経験者が経営のアドバイスをしてくれる可能性が高い

・  企業によって出資金額の差が大きい傾向にある

事業系VC

(CVC

・  事業会社が母体となっているベンチャーキャピタル

・  優れた経営資源を提供してくれる可能性が高い

(母体である事業会社によって得意分野が異なる)

・  事業シナジーを求める傾向にある

金融機関系VC ・  金融機関が母体となっているベンチャーキャピタル

・  幅広い業種に対して出資を行う

・  IPO目前の企業を求める傾向にある

政府系VC ・  政府や地方公共団体が母体となっているベンチャーキャピタル

・  銀行が融資を断るような事業であっても、成長見込みがあれば出資する可能性が高い

・  経営については口出ししない傾向にある

上表では、4種類のベンチャーキャピタルについて紹介しましたが、これらは、

  • 「クラシック系」
  • 「マーチャント系」

の2種類にさらにわけることができます。

クラシック系

クラシック系は、資金だけでなく経営の知識などもサポートし、経営に深く関与するのが特徴です。

 

マーチャント系

マーチャント系は資金の提供はするものの、経営に関してはあまり口出しをしません。

そのため、独自の経営スタイルで進めていきたい方は、ーチャント系一択となるでしょう。

また近年では起業する方も多く、ベンチャーキャピタルの出資先企業も増加しているため、各企業の経営に深く関与することがむずかしい状況となっています。

そういった背景から、ベンチャーキャピタルの主流は、マーチャント系となっているのが現状です。

ベンチャーキャピタル(VC)のメリットとは

ベンチャーキャピタル(VC)のメリットとは

ベンチャーキャピタルの概要について紹介してきましたが、次はそれを利用することのメリットについて、順に紹介していきます。

またデメリットについても、後に紹介しておきますので、そちらも目を通しておくようにしましょう。

メリット①:経営のアドバイスを受けられる

ベンチャーキャピタルの中には、資金だけでなく経営に必要な知識や資源についても、サポートするところがあるとお伝えしました。

このメリットは、特に起業経験が浅い方にとって嬉しいものとなるでしょう。

基本的にベンチャーキャピタルでは、経営に関する知識が蓄積されていますので、そういった情報源や資源を上手く活用していくことで、よりスムーズな事業拡大が狙えるようになります。

経営の知識や資源を提供するベンチャーキャピタルは、いわばメンター的な立ち位置となってくれるということです。

ただし相性もありますので、アドバイスをすべて聞き入れたからといって、事業拡大が確実になるものでもありません。

アドバイスを受けた際は、事業にとって良い方向に働くのかを検証する必要も時にはあるでしょう。

メリット②:出資金の返済義務がない

先にお伝えした通り、出資は融資とは異なるものです。

出資は株式と引き換えに資金を受けるものですから、返済義務だけでなく担保や保証人も必要ありません

これは経営者にとって、事業に失敗した際のリスクが低くなるため、精神面でも大きなメリットとなります。

メリット③:将来性で勝負できる

一般的に融資の審査では、返済能力を重視するものです。

しかし、返済義務のない出資を行うベンチャーキャピタルでは、出資先企業のIPOや会社売却により利益を得ることを最終目標としているため、

事業の成長はどの程度見込めるのか

という将来性を重視して審査を行います。

そのため事業内容がその点で優れていれば、現状の事業の安定性や担保力がなくとも資金調達ができます。

また、大きな成長見込みがあると判断されれば、資金の調達額も大きくなる傾向にあり、この点もメリットとなるでしょう。

メリット④:企業の信用度が上がる

一部のベンチャーキャピタルから出資が実行されれば、その事業が評価されていることの証明となるだけでなく、出資という特性から資本金の増額にもつながるため、企業としての信用度が向上します。

そういった信用度が高まれば、他のベンチャーキャピタルからの出資を受けやすくなることはもちろん、出資を受ける前ではむずかしかった銀行からの融資についても、受けやすくなるメリットもあるでしょう。

ベンチャーキャピタル(VC)のデメリットとは

ベンチャーキャピタル(VC)のデメリットとは

ここまででベンチャーキャピタルのメリットが目立っていますが、一方でデメリットももちろん存在します。

ベンチャーキャピタルの利用を検討している方は、メリットとデメリットの両方を把握したうえで、事業にとって最適な資金調達方法かを見極めるようにしましょう。

では早速、順に紹介していきます。

デメリット①:短期間での成果を求められる

ベンチャーキャピタルは、出資先企業がIPOや会社売却を行うことで、資金回収や利益を受け取れるビジネスモデルです。

そのため、その目標達成までの期間があまりに長期的になる事業には、そもそも出資をしません。

大体のベンチャーキャピタルでは、長くとも5年程度で目標達成するよう求めてくるものです。

こういったことから、自身のペースで事業拡大をしていきたい方は、ベンチャーキャピタルでの資金調達は向かないといえます。

またベンチャーキャピタルの審査では、事業拡大のスピードはもちろんですが、経営者自身に事業拡大を短期間で達成できるだけの熱意と実行力があるのかも注目されます。

そういった部分に特に問題がなければ、ベンチャーキャピタルでの資金調達の恩恵は大きなものとなるでしょう。

デメリット②:経営の主導権がなくなることも

ベンチャーキャピタルの出資では、その引き換えとして株式を渡すこととなります。

その比率が高い場合、経営に関する意思決定が自由に行えなくなる可能性があり、経営者が目指す方向性とはズレが生じることもあるでしょう。

そういったことを防ぐためにも、持株比率は1割程度に抑えておくことが重要となります。

デメリット③:資金回収されることも

先にお伝えした通り、出資には返済義務がありません。

しかし、IPOや会社売却の目標達成が厳しい状況となれば、ベンチャーキャピタル側はリスクを減らすために株式の買取請求などをし、資金回収を迫るケースもあります。

こういったケースでは、投資契約書内にあらかじめその旨が記載されていることが大半で、経営者はその買取請求に応じなくてはなりません。

そのため契約時は、そういった書面をしっかりと確認し、お互いが納得できるように話し合う必要があるでしょう。

ベンチャーキャピタル(VC)の仕組みとは

ベンチャーキャピタル(VC)の仕組みとは

ベンチャーキャピタルは、出資という形で将来性のある事業をサポートしてくれますが、いくら事業に将来性があるとはいっても、それはあくまで可能性の話であって確実なものではありません。

つまり、利益どころか資金回収すらままならない可能性も大いにあるのです。

それにもかかわらず、なぜベンチャーキャピタルは事業の将来性で出資をすることが可能なのでしょうか。

ここではその仕組みについて、掘り下げて紹介していきます。

どんな仕組みか

まずここでは、ベンチャーキャピタルの資金源や、どのような流れで利益獲得を目指しているのか、その大まかな仕組みについて表でまとめておきます。

では早速みていきましょう。

①   ファンド組成 ベンチャーキャピタルがファンド設立をし、資金確保や出資実行、分配などの管理運営を行う

※ファンドには10年間などの運用期限がある

②   資金確保 ファンドに賛同した投資家や事業会社などから、資金を募る
③   企業審査 事業拡大の見込みや経営者の能力などをもとに、出資するに値する企業かを判断していく
④   出資実行 審査に通った企業に対し、ファンドが出資を実行する
⑤   経営サポート 出資先企業に対し、EXITをするための経営知識や資源の提供を行う
⑥   EXIT 出資先企業がIPOや会社売却を行う
⑦   資金回収 出資先企業がEXITして得られた利益で資金回収を行う

※ファンドの運用期限が迫ってもEXITが厳しい場合、株式の買取請求により資金回収することもある

⑧   資金提供者へ分配 ファンドは、回収した資金を資金提供者に分配する

※参考:Future Venture Capital

なぜハイリスクな投資が実現できるのか

ベンチャーキャピタルがハイリスクな投資(出資実行)を実現できているのは、EXITにより得られるリターンが大きいことにあります。

たとえば、出資先企業が大きく成長しIPOに至ったとなれば、場合によっては数百倍のリターンを受けることすらあるでしょう。

こういったリターンの大きさから、ベンチャーキャピタルは数社に投資したとしても、その中の1社がEXITを果たせば、トータル的に利益を出すことができるようになっているのです。

ベンチャーキャピタル(VC)に向いている企業とは

ベンチャーキャピタル(VC)に向いている企業とは

いくらベンチャーキャピタルがハイリスクな投資を行うとはいっても、成長見込みのある企業であれば何でも投資するわけではありません。

では一体どういった企業であれば、投資される可能性が高まるのでしょうか。

ここでは、その企業の特徴について紹介していきます。

革新的なビジネスモデルである

既に多数の企業が参入している領域のビジネスは、緩やかな成長は見込めるものの、急成長とまではいきません。

また参入のしやすい事業についても、競合との差別化が図りづらいため、ベンチャーキャピタルは出資を渋る傾向にあります。

出資されやすい事業の特徴としては、ITを活用した革新的なビジネスモデルであり、実際に出資されている事業の半数以上が、そういったビジネスモデルとなっています。

短期的な事業拡大とEXITが見込める

ベンチャーキャピタルでは、ファンドの運営期限や早期の利益獲得のために短期間でEXITすることが求められると先にお伝えしました。

これは、ただ漠然とそうなるという予想ではもちろんNGで、市場リサーチEXITまでの計画などを入念に行い、その結果をベンチャーキャピタルへと提示しなくてはなりません。

そのため、EXITまでの明確な道筋が立てられないようなビジネスモデルであれば、出資を受けることはむずかしくなるでしょう。

経営者に熱意と実行力がある

どんなに事業に将来性があったとしても、その舵取りをする経営者に熱意や実行力がなければ、EXITの達成は見込めません。

短期間でEXITを果たすということは、それなりにタイトなスケジュール感にもなるため、体力や精神力も重要な要素となってきます。

ベンチャーキャピタルの求める経営者は、そういった資質の高さや、事業拡大のために1日中没頭できるほどの熱意を持ち合わせている人物となるでしょう。

ベンチャーキャピタル(VC)向きではないビジネスモデル

前項では、ベンチャーキャピタルに向いている企業には、どういった特徴があるのかについて解説してきました。

基本的に、ベンチャーキャピタルで資金調達を検討しているのあれば、前項に挙げた項目でもある、

  1. 革新的なビジネスモデルである
  2. 短期的な事業拡大とEXITが見込める
  3. 経営者に熱意と実行力がある

の3つにすべてに当てはまる必要があります。

それらに当てはまらない場合では、ベンチャーキャピタルで資金調達できる可能性は低くなるでしょう。

また、仮にすべて当てはまっている場合でも、実店舗展開のビジネス」についても出資される可能性はなります。

その理由については、次からみていきましょう。

実店舗展開のビジネス

実店舗展開ということは、その地域密着型ともいえます。

基本的に売上となるお金を支払うのは、その地域に住んでいる方や企業となるため、そもそも利益獲得できる顧客数に限りがあります。

これでは、大きく売り上げを伸ばそうとしても、店舗数を増やすという戦略が主になるため、それなりの時間が掛かってしまうことになるでしょう。

しかしそれでは、ベンチャーキャピタルに向いている企業の特徴のひとつ、「短期的な事業拡大とEXITが見込める」という項目から外れてしまいます。

そのため、実店舗展開のビジネスはどうしても、ベンチャーキャピタルとの相性が悪くなりがちなのです。

ベンチャーキャピタル(VC)が向かない場合の資金調達は?

ベンチャーキャピタルでの資金調達がむずかしいのであれば、他の方法を探らなくてはなりません。

たとえば、先ほどの実店舗展開するようなビジネスの場合では、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」からの融資を検討すると良いでしょう。

日本政策金融公庫では、創業者向けに融資をするなど、通常の銀行融資では実績がなく融資審査に落ちてしまうような方でも、利用できるように配慮がされています。

また、低金利で利用できることはもちろん、制度によっては無担保・無保証人での融資も可能ですので、まず試すべき資金調達方法となるでしょう。

詳しくは、以下の記事でわかりやすく紹介されていますので、目を通すようにしましょう。

日本政策金融公庫から創業融資!その流れと審査に通すための注意点も日本政策金融公庫から創業融資!その流れと審査に通すための注意点も

ベンチャーキャピタル(VC)を利用する際の4つの流れ

ベンチャーキャピタル(VC)を利用する際の4つの流れ

では実際にベンチャーキャピタルを利用するとなれば、企業側はどういったステップを出資までに踏んでいけばよいのでしょうか。

ここでは、そのステップについて4段階にわけて紹介していきます。では早速、順にみていきましょう。

STEP1:ベンチャーキャピタル(VC)とつながる

まず事業の成長ステージ(シードやアーリーなど)に合わせて、ベンチャーキャピタルは選んでいきましょう。

これはベンチャーキャピタルによって、出資対象が異なるためです。

またそれ以外にも、自身のいる業界に対して出資実績があるのかを確認することも重要です。

ベンチャーキャピタルは、それぞれ得意分野が異なるため、畑違いの事業に出資することはほぼありません。

実際にベンチャーキャピタルとつながる方法としては、公式HPからのコンタクトはもちろん、知人の紹介やSNSからのコンタクトも近年では可能です。

その際は、あらかじめ事業計画書を準備しておき、コンタクトは1社に絞るのではなく、なるべく多くのベンチャーキャピタルへとアタックしていきましょう。

STEP2:必要書類の提出

ベンチャーキャピタルからの反応があれば、まずは審査対象になるのかを判断するのに必要な書類を提出しなくてはなりません。

この書類は、各ベンチャーキャピタルによっても要求される内容は異なります。

ここでは、主に要求される書類の一部を紹介しておきますので、参考にしてみてください。

必要書類の例
  • 会社紹介資料
  • 登記簿謄本
  • 定款
  • 決算書
  • 組織図
  • 事業計画書
  • 資金繰り表

STEP3:審査

投資委員会の審査対象だと判断されれば、出資するにあたっての条件が提示されます。

その条件は、投資契約書に記載してありますので、自身が納得できる内容かはしっかりと確認するようにしましょう。

条件にお互いが納得できれば、いよいよ審査が行われます。

審査結果が出るまでには、大抵1~2ヶ月ほどの期間が必要ですので気長に待ちましょう。

また内容に納得できないのであれば、お互いが納得いくように着地点を探ることも必要です。

自身にとって不利な条件は、今後のためにも簡単に飲み込んではいけません。

STEP4:出資の実行

審査に無事通れば投資契約をかわし、ようやく出資が実行されます。

その後は、ベンチャーキャピタルから時にアドバイスをもらいながら、EXITに向け事業拡大に専念していきましょう。

ベンチャーキャピタル(VC)で事業を加速させよう

ベンチャーキャピタルは、ビジネスモデルの革新性やEXITまでのスケジュール感が厳しいことは確かですが、そういった課題をクリアすれば、ベンチャーキャピタルは心強い味方となってくれます。

経営のアドバイスも上手に活用しながら、成功に向けて事業を加速していきましょう。

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