ICOにおける資金調達のやり方とメリット・デメリットを徹底解説!

ICOにおける資金調達のやり方とメリット・デメリットを徹底解説!

仮想通貨ブームのなかで、登場した新しい資金調達方法が「ICO」です。

この記事では、

  • ICOとはどんな仕組みなのか
  • それを行うことのメリットやデメリットにはなにがあるのか
  • 法的な問題にはなにがあり、どうすれば解決できるのか
  • 具体的なやり方はどうするのか

なども分かりやすく解説しています。

ICOのやり方に関しても詳しく解説しているので、資金調達の際は、ぜひ参考にしてください。

ICOとは

ICOとは、「Initial Coin Offering」の略です。一般的にはICOと呼ばれますが、トークンセールやクラウドセールと呼ばれることもあります。

トークンと呼ばれる仮想通貨を発行し、それを投資家に購入してもらうことで、事業資金を調達する仕組みのことです。

トークンの購入には、ビットコインやネムなどの仮想通貨を使用します。

世界中に広く資金調達を募集できるので、効率的に素早く資金を集められます。

株式発行とは違い、手数料が安いのも魅力の1つです。

トークンを購入した投資家は、単純に価値が上がったあとにトークンを売却すれば、利益を上げられます。

トークンは、売却するだけではなく、商品やサービスの購入にも利用できます。

仮想通貨を使った新しい資金調達方法として、近年注目されています。

ICOと他の資金調達方法との違い

ICOと他の資金調達方法との違い

ここからは、ICOと他の資金調達方法との違いについて詳しく解説していきます。

ICOとよく似ているのが、

  • クラウドファンディング
  • IPO

の2つです。

ICOを理解するためにも、他の資金調達方法との違いを見ていきましょう。

ICOとクラウドファンディングの違い

クラウドファンディングは、プロジェクトを専用のサイトに掲載し、応援してくれる支援者を集める方法です。

支援者に対しては、資金を提供してもらう代わりに、「リターン」という形で商品やサービスを提供します。

ここ数年で、日本語のサイトも多数登場し、利用者数を大きく増やしているサービスです。

ショッピング感覚で利用できるため、投資家だけではなく、普段投資をしない人の利用が多いのも特徴の1つです。

広く募集を呼びかける点、利益の分配ではなく、商品やサービスを提供する点などがICOとよく似ています。

違いとしては、投資家に提供するのがトークンのような通貨ではないため、売却して利益を上げることはできない点です。

また、クラウドファンディングで調達できるのは、仮想通貨ではなく現金になります。

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ICOとIPOの違い

IPOとは、新規株式を公開して、投資家に買ってもらい資金を調達する方法です。

資金調達できるだけでなく、株式上場することで、会社の知名度と社会的信用も上がります。

知名度や社会的信用が上がることで、銀行などから資金を調達しやすくなります。

広く募集できる点は共通していますが、IPOは証券会社などを間に挟む必要があります。

その結果、IPOはコストも時間もかかってしまいます。

ICOは資金調達までが非常に早く、証券会社などの第三者を挟まないこともあり、会社が自由にルールを設定できます。

また、IPOの場合は、株主総会に参加できる権利である議決権が与えられる点もICOと異なる点です。

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ICOのメリット

ICOのメリット

ICOの主なメリットは、

  1. 世界中から資金を集められる
  2. 調達資金の返済が必要ない
  3. 手数料が安い
  4. 資金調達までが早い

の4つです。

次から1つずつ解説していきます。

メリット1:世界中から資金を集められる

ICOは、株式などとは違い仮想通貨を使って投資家から資金を集めます。

そのため、ドルや円などよりも自由な取引ができます。

仮想通貨を使った取引が世界中で注目されていることもあり、世界中の投資家から資金を簡単に集められます。

もちろん、日本語だけではなかなかアピールできないので、英語などに翻訳してプロジェクトをアピールする必要があるでしょう。

メリット2:調達資金の返済が必要ない

ICOは、調達した資金を返済や利益を分配する必要がありません

トークンを発行して、トークンと引き換えに商品やサービスを提供していくのが基本です。

IPOのように、議決権を渡す必要もないため、経営に口出しされることもありません。

メリット3:手数料が安い

よく似ている仕組みであるIPOと比較したときに、証券会社や銀行を介さずに取引できるため、手数料は非常に安いです。

資金調達を考えたときに、手数料はマイナスでしかありません。

当然、投資する側も手数料が安いほうが購入しやすいので、結果的に多くの人から資金を集めることになります。

メリット4:資金調達までが早い

ICOは、証券会社や銀行などが間に入らないため、審査がほぼありません。

そのため、資金調達までが非常に早いです。

しっかりとプロジェクトをアピールするための準備は必要ですが、準備さえできていれば一気に資金を調達できる可能性があります。

実際に開始から1時間も経たずに数億円の資金を調達したプロジェクトも多いです。

ただし、ICO自体が新しい制度なので、現在は審査がない状態になっていますが、今後審査する機関が誕生する可能性はあります。

審査に関しては頻繁に議論がされており、状況も変化しているので、ICOに関するニュースなどはチェックしておきましょう。

ICOのデメリット

ICOのデメリット

メリットの多いICOですが、いくつか注意しておきたいデメリットもあります。

主なデメリットとしては、

  1. 調達額の予測ができな
  2. 法整備が進んでいない
  3. トークンが買い占められる可能性がある

の3つがあります。

では、1つずつ解説していきます。

デメリット1:調達額の予測ができない

ICOは数時間で数百億円を集めるなど、抜群の資金調達力があります。

しかし、しっかりとした戦略を立ててから、トークンを販売しないと投資家は購入してくれません。

実際にトークン販売前は、多くの投資家から注目を集めているプロジェクトでも、PR不足などによって全く資金が集まらなかった会社も少なくありません。

また、ICOを利用した詐欺行為などが蔓延して利用者が離れたこともあり、どのくらい資金が調達できるか予測しにくいのが現状です。

デメリット2:法整備が進んでいない

2017年に仮想通貨の世界的なブームによって、ICOの利用も一気に拡大しました。

しかし、発展のスピードが早いこともあり、法律の整備が全く追いついていません。

その結果、ICOを利用した詐欺行為が蔓延してしまいました。

規制が厳しい国も多く、中国と韓国では、ICOが禁止になっています。

日本での法律の他に、海外から資金を集める場合は、海外の法律や規制をしっかりと確認しましょう。

日本を含め、各国がICOの規制に関して、話し合いが進められています。

実際に資金を集めてから、法律に触れていたということがないように、ICOに関する情報は常に新しいものを取り入れるようにしましょう。

デメリット3:トークンが買い占められる可能性がある

トークンを販売した直後に、一部の投資家によってトークンが買い占められる可能性があります。

買い占められてしまうと、意図的に価格を上げられるなど、不当に価格が操作されてしまいます。

万が一操作されてしまうと、会社として信頼を失うことにもなります。

トークンの販売の際は、購入制限を設けるなどの対策をしておくことが大切です。

ICOで資金調達する前に確認しておきたいこと

ICOで資金調達する前に確認しておきたいこと

ICOで資金調達する前に、

  1. 他の資金調達方法
  2. 法的な問題

の2つを確認しておきましょう。

他の資金調達方法も確認しておくこと

ICOは資金調達のスピードや金額など、優れている部分が多くあります。

しかし、他の資金調達方法よりも認知度が低く、日本に限っていえば利用者は多くありません

事業の種類によっては、他の資金調達方法を選ぶほうがいい場合もあります。

とくに日本向けのプロジェクトはIPOやクラウドファンディング、銀行の融資などが適していることもあります。

他の資金調達方法と比較して、最も適している方法を利用しましょう。

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法的な問題に注意する

ICOは仮想通貨を使った新しい資金調達方法です。

そのため、法整備が進んでおらず、国によって大きく規制が変わってきます。

海外からも資金を集める際は、慎重に進めていく必要があります。

また、詐欺行為があまりにも多いため、規制も検討されています。

ICOの準備をすすめている最中に規制が追加される可能性もあります。

常に法的な問題には注意しておきましょう。

ICOの法的な問題を事前に解決しておく

ICOの法的な問題を事前に解決しておく

ここではICOを行う上で、避けては通れない法的な問題について、詳しく紹介していきます。

中には違法となってしまい、罰則がつくものもありますので、しっかりと確認するようにしましょう。

何が法的に問題か

ICOを実施するためには、トークンを発行しなくてはなりません。

この発行するトークンが、仮想通貨の条件に当てはまっているか否かが、この法的問題のミソとなります。

仮想通貨の条件とは?

仮想通貨と呼ばれる条件は、主に以下の4つにすべてあてはまる場合となります。

仮想通貨の条件4つ
  1. データーとして保持でき、PCなどのデバイス間に移せること
  2. 商品販売などにより、不特定多数の人同士で、対価を支払う手段として利用できること
  3. 通貨自体に価値があり、不特定多数の人同士で売買できるほどであること
  4. 通貨としての区分が存在していないこと(ユーロ、ドル、円などの法定通貨に該当しない)

これら条件にあてはまり、「仮想通貨」として認識されてしまえば、改正資金決済法が適用され、「仮想通貨交換業」として登録することが義務化されてきます。

しかし、この登録は非常にハードルが高いため、登録をせずにトークンを発行している会社も多いのが現状です。

ただし、仮想通貨として扱われるにも関わらず、登録もしていない場合は違法となります。

そうなれば、

  • ~300万円の罰金
  • ~3年の懲役

の両方、もしくはいずれかが科せられてしまうのです。

では登録をせずに、つまりトークンが法律上「仮想通貨」として扱われないためには、どんな方法があるのでしょうか。

具体的には、次の3つの方法があります。

1:トークンに譲渡の制限をつける

仮想通貨は「不特定の人が売買に利用できるもの」とされています。

そのためトークンに譲渡制限(他者に渡せない制限)をかけることで、仮想通貨としての条件からは外れます。

2:トークンの売買を他社に任せる

仮想通貨交換業者として登録している業者にトークンの売買を委任すれば、自社では販売していないため、とくに問題ありません。

3:トークンの予約権を販売する

トークンではなく、トークンと引き換えできる権利を販売する方法です。

トークン販売時は予約権しか販売していないため、問題ないと判断されます。

いずれの方法を取るにしても、間接的には、仮想通貨を売買していることになるため、慎重に進めていく必要があります。

正式に売買するには、やはり仮想通貨交換業者として登録するのがいいでしょう。または規制が緩い海外を拠点にするのがおすすめです。

規制が緩い海外でICOを検討する場合は

ICOを国内で実施しようとすると、それなり規制があり、上手く進まないといったケースも存在するでしょう。

その点を回避するひとつの手段として、「海外を拠点にICOを実施する」というものがあります。

しかしこれにも実はトラップがあり、それを回避できなければ海外拠点で実施したとしても、結局日本の規制にかかってしまうのです。

ここでのトラップのミソとは、

  • 海外拠点でICOを実施した場合、日本在住の人も対象となるのか

という点です。

日本在住の人を対象とすることの問題点は、国内に向けてもICOを行うことを意味するため、日本の規制に則って実施する必要があるということにあります。

つまり日本をターゲットにしている以上は、海外拠点でICOを実施したとしても、その規制から逃れることはできないのです。

それに加え、海外の規制にも則る必要があるため、手間は増えてしまうでしょう。

国内をターゲットにしたいのなら、国内を拠点にそのルールに沿ってやるべきともいえます。

逆に海外なら海外に絞って、ICOは実施するようにしましょう。そうすれば日本の規制は関係ありません。

ICOで資金調達をするやり方

ICOで資金調達をするやり方

ここからはICOで資金調達をする流れについて解説していきます。

ICOのやり方としては、以下のような流れになっています。

ICOの流れ
  1. ICOの計画を立てる
  2. トークンを作成する
  3. ホワイトペーパー・WEBサイトを作成する
  4. オファーを設定する
  5. トークンの販売開始

では、順を追って解説していきます。

1:ICOの計画を立てる

まずは、他の資金調達方法と同様に事前に計画を立てていくのが基本になります。

トークンを資金調達だけに使用するのか、他のサービスで利用できるようにするのか、などを計画していきます。

対象の地域を日本にするか、海外にするかによってアプローチ方法も変わってきます。

2:トークンを作成する

トークンは、公開されているオープンソースを元に自作することも可能ですが、1から作成することになるため手間もかかり、知識も必要になります。

アプリなどを利用すれば手間をかけず、すぐに作成できます。

たとえば、

  • カウンターパーティー
  • Waves
  • イーサリアムなどのトークンプラットフォーム

から作成が可能です。

作成には作成料がかかりますが、数百円程度でできます。

利用するプラットフォームによって機能や使い方などが異なるので、作成する前に確認しておきましょう。

3:ホワイトペーパー・WEBサイトを作成する

ホワイトペーパーとは、ICOのスケジュールや詳しい内容をまとめた事業計画書のことです。

作成しなくてもICOは開始できますが、プロジェクトの内容や魅力をアピールするための重要なものなので、作成しましょう。

ホワイトペーパーには、

  • ICOのスケジュール
  • プロジェクトの内容
  • トークンの役割や機能
  • トークンの発光量
  • リスクの説明

などを記載します。

必要なことはしっかりと記載したいですが、長くなると分かりにくくなります。

簡潔に分かりやすくまとめましょう。

また、自社のサイトではなく、ICOの情報を掲載するWEBサイトも作成しておくのも大切です。

プロジェクトの内容や日程、ホワイトペーパーなどを掲載し、投資家が情報をチェックしやすい環境を作りましょう。

4:オファーを設定する

オファーは契約条件に関して定めたもので、スケジュールや使用する仮想通貨などを設定します。

ホワイトペーパーの内容と同じ部分もありますが、オファーの内容を元に取引を進めていくため、重要なものになります。

オファーを設定したら、WEBサイトへ掲載しましょう。

5:トークンの販売開始

トークンやホワイトペーパーを作成したら、次はいよいよトークンの販売です。

トークンの販売は「トークンセール」や「クラウドセール」と呼ばれています。

制限を設けていない場合は、購入金額に上限がないため、多額の資金を短時間で一気に集められます。

当然ですが、販売を開始しただけでは購入してくれる投資家はいません。

販売までに投資家にとって、魅力的なプロジェクトにしなくてはいけませんし、WEBサイトなどを通してPRしていく必要があります。

販売して事業資金を集めたあとは、集めた資金を元に事業を進めていくことはもちろん、トークンの管理もしなくてはいけません。

投資家とコミュニケーションを取っていくのも大切です。

ICOを利用して効率的に事業資金を集めよう

仮想通貨を使った新しい資金調達方法であるICOは、クラウドファンディングやIPOとは異なる点がいくつもあります。

ドルや円といった法定通貨にはない自由度があり、資金調達までが非常に早いです。

ICOを利用することで、チャンスを逃すことなく、事業をスタートできます。

しかし、法的な問題は、まだ議論が続いており、トークンの買い占めにも注意しなくてはいけません。

新しい制度だけに、慎重に利用を検討しましょう。

利用の際は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

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